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標準化研究WG 松田副主査(2/4)

2011.03.20掲載

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開発段階での使用

まずは、1. 開発段階での使用イメージです。このように、縦軸と横軸のあるマトリックスを設定いたします。マトリックスの横軸には、ユーザーの特性を、縦軸には製品の操作タスクを記述していきます。
ここでは複写機、コピーの機械を例にしています。そして、クロスするそれぞれのマス目に対して、配慮ニーズの抽出や対応アイデアの検討をおこなっていきます。この例では全盲のユーザーが電源を入れるタスクで、製品側に音やスイッチ形状の工夫が求められるということが抽出されています。このような確認と抽出を進めていくことにより、もれなく効率的なUD開発が可能となります。

評価段階での使用

つづいて、2. 評価段階での使用イメージです。たとえば、ユーザーの生活空間の評価を行うとします。マトリックスの横軸には、さきほど同様に、さまざまなユーザー特性が記されていますが、縦軸にはユーザーの身の回りの環境構成要素を入れることによって、ユーザーの生活環境の中の問題点や改善の可能性を抽出することができます。
誰も気づいていない、隠れたニーズを発見できれば、使い手にとっては生活の質の向上、作り手にとってはビジネスの拡大と、それぞれにメリットが生まれる可能性があります。UDマトリックスは、このように利用していきます。

UDマトリックスのオリジナル

UDマトリックスのオリジナルは、日本人間工学会によって開発・発表されたものですが、私たちは これを実際に使い、有効性を確認した上で、研究のテーマとして扱ってまいりました。ワーキンググループでは、さらなる改善と発展の検討を進め、2007年に「IAUD・UDマトリックス」として会員向けに発表し、皆さんで共有いたしました。

IAUDのUDマトリックスには、以下のような特徴をもたせました。
1つ目に、横軸となるユーザー特性の細分化や統計的な人数などの詳細情報を付加し、情報集としての性格をもたせました。
2つ目は、障害をユーザーの身体特性に沿ったものだけでなく、たとえば暗い場所での使用など、悪条件によって起こることも「状況としての障害」ととらえ、そのような例を多数示しました。
最後の3つ目。エクセルの機能を利用して、見たい部分だけを表示したり、一時的に隠したりすることができるつくりといたしました。

エクセル版UDマトリックス1
エクセル版UDマトリックス2

それでは、エクセル版IAUD・UDマトリックスのイメージを紹介いたします。これは、ユーザーの身体特性による分類をすべて大分類で表示したマトリックスです。詳細情報を表示させてみます。ユーザー大分類「聞く」の上にあるボタンをクリックすることによって、「聞く」についての詳細なユーザー情報が表示されます。

エクセル版拡大

もう少し拡大してみます。さきほど申し上げた詳細情報や、状況によって起こる障害、一般的にどんな配慮が必要か、といった細かな内容が記されています。

全体のイメージ

これは、マトリックスすべての情報を展開した状態です。大変大きくて、マトリックスをそのまま使うことはあまりないでしょうが、開発初期の段階で一度、俯瞰してみることをお勧めします。一見関係がなさそうに見えるユーザー層の間に、実は共通のニーズが見つかることもあります。ユーザー拡大や新しいビジネスにつながるかもしれません。
エクセル版IAUD・UDマトリックスのページはこちら


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