2025.03.18
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2025.02.28掲載
2010年にIAUDアウォードとして創設以来、IAUD国際デザイン賞はコンセプトとしてのユニヴァーサルデザインやインクルーシヴデザインを推進するだけでなく、世界中のあらゆるセクターや生活階層からのライトハウスプロジェクトを紹介することで、このアプローチの利点を強調するユニークな賞となっています。
この点で、この賞はユニヴァーサルデザインの明白なコミュニティーをはるかに超えた多くの型破りなプロジェクトによって実証されたように、政府にとってもビジネス界にとってもインクルーシヴデザイン戦略の重要性と価値を伝えるのに役立っています。
私たちの理念は、人間の多様性に対する深い理解と、持続可能な開発の枠組みにおける包摂性の確保という願望に基づいており、それは今も昔も変わりません。過去14年の間に、この賞はアプローチや方法論の面でも、また応募者のタイプや範囲の面でも進化してきました。参加国の数はかつてないほど広がっており、この賞の認知度と重要性が拡大していることを裏付けています。
今年は、いくつかの興味深い進展がありました。
私たちは、ユニヴァーサルデザインやインクルーシヴデザインが集合的で国際的なプロジェクトであり、その成功は他の科学や学問分野と同様に情報や経験を共有することで築かれるという考えに慣れています。しかし、ビジネスの世界では事情が異なり、デザイン・プロセスは知的財産とみなされるため、あまりオープンに共有されることはありません。
ただ、今年の大賞のうち2つは、その考えを覆すものでした。アクセシビリティを中核事業とするOkeeneaよりもパナソニックの方がより明確かもしれませんが、両社とも長年にわたって学んできたことを共有している点で共通しています。これは素晴らしいニュースであり、企業の社会的コミットメントを示す指標としてのユニヴァーサルでインクルーシヴなデザインを強調するものです。
社会の利益のために知識を共有し、時間をかけて、そしてしばしば多大なコストをかけて得た知識や経験を他の人々が活用できるようにしようとするこのような意欲は、持続可能で省資源のアプローチに沿ったものであることは明らかであり、とりわけビジネスの世界からの発信であることから、不確実な世界で私たちが直面している大きな課題に対するより集合的なアプローチへの道を指し示す、新しくエキサイティングな発展と言えます。
インクルーシブ・デザイン・プロセスは、洗練度や複雑さを問わず、人々を中心としたあらゆる状況やプロジェクトに適用することができます。これは、総合的な公共プロジェクトから小さくとも実用的な解決策まで、つまり、有名な渋谷にある17の芸術性溢れたインクルーシブ・トイレから、公共空間民間整備として市民との共創プロセスで開発された前橋市の小さな町並みまで、今年のエントリーの興味深い多様性に反映されています。
また、これまで参加が見られなかった国々が、多くの候補者の中に、そして受賞者の中にも現れてきているのは頼もしい限りです。さらに、数年前に新たに参加したばかりの人々が、新規プロジェクト、または以前のプロジェクトを新しく改良したものを携えて戻ってきたり、ヘルスケア、高齢化、教育などの分野で、より包摂的で集中的なAI技術の応用が出現したりと、まったく予期しなかったわけではありませんが、とても期待できる未来を感じさせます。
IAUD国際デザイン賞においては、多くの人々、特にIAUDの組織運営に携わる人々のUDに対するたゆまぬコミットメントが1年を通した多くの活動に現れています。これまで、この賞は定期的に開催される、世界的にも最も目に見えてわかるプロジェクトでした。しかし、国際ユニヴァーサルデザイン研究講座が成長しつつある今、この状況は変わるかもしれません。この重要なオンラインUD教育の内容を、IAUDのウェブサイトからじっくりご覧いただくことをお勧めします。
国際デザイン賞は、多くの段階を経るプロセスであり、国際選考委員会はそのスタートから関わり、それぞれのネットワーク内でこの賞の周知とプロモーションを行なっていますが、より重要なのは、最終的な評価と選考の段階で多くの応募作品を検討することです。考慮すべき基準が多く、カテゴリーも多岐にわたるため、時間がかかる困難な作業ではあリますが、私たち審査員全員にとって最もやりがいのある、また勉強になる作業でもあります。世界中のこの分野で何が起こっているのかを垣間見ることができ、普段はなかなか得られないような新しい見識や情報に触れることができるのです。この仕事の主なアウトプットは、審査員の視点から各プロジェクトを説明し、コメントする「講評」の作成です。ぜひご覧になって、インスピレーションを得ることをお勧めします。
受賞に値するすべての方々を心から祝福して、このメッセージを終わりたいと思います。
受賞することは大変な偉業であり、当然のことながら誇りに思うべきことです!
最後に、IAUD、審査員、そしてこの受賞の実現に携わったすべての人々に心から感謝します!
IAUD国際デザイン賞2024 大賞(3件)
IAUD国際デザイン賞2024 金賞(7件)
IAUD国際デザイン賞2024 銀賞(6件)
IAUD国際デザイン賞2024 銅賞(11件)
IAUD国際デザイン賞2024 学生デザインチャレンジ優秀賞(1件)
IAUD国際デザイン賞2024 学生デザインチャレンジ賞(1件)
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「ユニヴァーサルデザイン(UD)の理念を掲げ、その成果として優れた活動が提案、または遂行されていること」を主たる選考理念とし、理念実践とその成果である活動行為の両面で審査し、総合的に評価しました。なお、応募要項に記載されている審査基準および本質的目標も重視されました。
審査委員長: | オンニ・エイクハウグ(ノルウェー EIDDデザインフォーオール・ヨーロッパ 理事(前会長)/イノベーションフォーオール AS 創設者) |
副委員長: | 益田文和(株式会社オープンハウス代表取締役/名古屋学芸大学客員教授) |
審査顧問: | ロジャー・コールマン(英国王立芸術大学院名誉教授) |
審査委員: | フランセスク・アラガイ(スペイン デザインフォーオールインターナショナル代表/プロアソリューションズ S.L. 創設者) |
同: | トーマス・バーデ(ドイツ IUDユニヴァーサルデザイン研究所 創設者/顧問) |
同: | ヴァレリー・フレッチャー(米国人間中心デザイン研究所所長) |
同: | ラーマ・ギーラオ(英国王立芸術大学院ヘレンハムリンセンター所長) |
同: | アンティカ・サワスリ(タイ モンクット王工科大学建築学部長・教授) |
同: | 川原啓嗣(名古屋学芸大学名誉教授/一般財団法人国際ユニヴァーサルデザイン協議会専務理事) |
ClassAllは、すべての子どもたちに平等な学習機会を確保することを目標に、教育現場での活用が進むデジタル教科書に適応可能なユーザーインターフェースを作ろうという本格的な試みです。教師はデータに基づいた授業をデザインし、生徒はパーソナライズされたAI最適化コンテンツに取り組み、保護者は子供の学習活動の詳細な最新情報を受け取ります。ユーザーカスタマイズが可能な機能により、視覚や認知に障害のあるユーザーの読みやすさや理解しやすさが向上し、教師にはパフォーマンスに基づいた有益なフィードバックが生成され、生徒には追加の練習問題や情報が提供されます。ユーザーからのフィードバックは、継続的な開発プロセスの重要な一部となっています。
審査員のコメント:
この応募作品は、共通のプラットフォームから多様なニーズに対応することで、ユニヴァーサルデザインと平等な学習機会を実現するAIの可能性を明確に示しています。審査委員会は、教育者と生徒の双方をサポートできるオーダーメイドの学習教材を作成するためのAIの革新的な活用を、包摂的教育の実践例として評価しました。
2006年のIAUD国際ユニヴァーサルデザイン会議において、パナソニックの戸田一雄副社長は、ユニヴァーサルデザインのビジョンの源泉として、「古来より日本人の中に息づいてきた(独自の)配慮と気配りの精神」を挙げました。20年以上にわたり、パナソニックはこのアプローチを支持し、世界をより良い方向に変革するデザインの可能性に対する深い理解を反映した、模範的なデザインの印象的なポートフォリオを生み出してきました。パナソニックはこの理念を社内に浸透させ、最近ではユニヴァーサルデザインからインクルーシブデザインへの移行を成功させました。これは、イノベーションの原動力として、多様性、ライフスタイル、願望をよりよく理解するために、ユーザーの能力とその限界を超えたところに目を向けることの価値と利点を認識したものです。この豊富な経験は現在、インクルーシブデザインの知識ベースとしてまとめられ、同社は社会変革と社会包摂の広範な推進を支援するため、惜しみなくオープンに共有しています。
審査員のコメント:
世界有数のブランドであるパナソニックが、インクルーシブデザインの考え方を企業のビジネス戦略の最前線に押し上げるという模範を示していることは高く評価できます。これは、ユーザーのニーズを深く理解し、共感主導型共同デザインプロセスの価値を示しています。このメッセージが、世界中の企業や政府に大きな影響を与えることを期待しています。
このイノベーション・パートナーシップの目標は、研究、開発、実施、検証の全プロセスに参加型デザインプロセスを適用することで、2024年パリオリンピック・パラリンピック選手村のために、耐久性があり、長持ちし、適応性のあるサインシステムを制作することであり、模範的な方法でこれを達成しました。2024年パリオリンピックのサインは、あらゆる意味で先駆的な実証プロジェクトであり、その方法論と学んだ教訓を共有しようとする重要なプロジェクトでもあります。これは、他の都市で自由に複製し、他の文化や環境に適応させることができる、テストされ証明されたサインシステムであり、最高のインクルーシブデザインの背後にある集団精神の素晴らしい例です。
審査員のコメント:
このサインシステムが綿密に調査され、参加型のデザインプロセスによって構築されたものであることは明らかです。世界中の都市にインスピレーションを与えるこのシステムは、詳細なガイドによって再現が容易になっています。
現在、高度な介助を必要とする乗客や、既存の設備が手狭で利用しにくい乗客のための航空機トイレには大きな問題があります。メタモルフィック・ラバトリーは、限られた機内スペースを最も効率的に利用できる拡張可能なアクセシブルラバトリー設計により、このような厳しい乗客のニーズに対応します。地上施設と同じように、介助者を伴って使用することが可能で、かつ実用的であることを保証することで、全介助が必要な乗客にも対応することができます。また、乳幼児や発達障害児、オストメイトにも配慮した設計となっているため、すべての方にご利用いただけます。
審査員のコメント:
優れたユーザーリサーチにより、限られたスペースを賢く革新的に利用し、航空機設計における重要な課題に取り組んでいます。より多様な旅行者に快適で実用的なラバトリー空間を提供することで、メタモルフィック・ラバトリーは、航空会社が実生活のニーズを十分に満たすことができることを示しています。大胆な取り組みです!
2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向け、渋谷区内にある17の公衆トイレを改修し、多様性を受け入れる社会としての日本をアピールすることを目的とした「THE TOKYO TOILET」プロジェクト。16人の著名な建築家やデザイナーが、使い勝手の悪かった設備を、社会包摂と喜びの名所へと変貌させることに挑戦しました。このプロジェクトを際立たせているのは、その構想や実現に携わったクリエイティブな才能を持つスターたちの顔ぶれや、その野心的なスケールの大きさもさることながら、東京の象徴的な地区に誕生した17の画期的なトイレ空間の質の高さです。あまりにも軽視され、疎外されがちな公衆トイレを日本人の配慮の象徴に変えることで、THE TOKYO TOILETチームは真に日本的な精神で多様性の祭典を実現し、スタイリッシュで温かみのある人間中心の社会包摂を実現しました。
審査員のコメント:
インクルーシブ・トイレデザインにおける日本の世界的リーダーシップの認知度を高めた、注目すべき一連のデザインソリューションです。すべての人のための公衆トイレの重要性を世界に示すユニークで魅力的な方法であり、利用者への敬意と共感を兼ね備えた日本の包摂的精神をアピールしています。
ノルウェー初の樹上散歩は、ノルウェーのハマレン・アクティビティ・パークを楽しくエキサイティングに彩るものとして、2023年にオープンしました。1kmの板張りの遊歩道が林床から頂上まで支柱の上に伸びており、誰もが森の樹冠にアクセスできるようになっています。ハマレンのチームと地元コミュニティが、この模範的な施設の発展と2021年の大賞受賞の継続にコミットしているのは素晴らしいことです。高レベルの利用者参加と地元の関与が相まって、普遍的にデザインされた体験が提供され、年齢、能力、身体的制限に関係なく、自然を愛するすべての人々に、樹上を歩くというセンセーショナルな感覚を提供しています。
審査員のコメント:
誰もが楽しめる樹上散歩とは、素晴らしい響きです!誰もが楽しめる、感動的で高揚感のある体験。北欧の社会包摂の考え方がここで実践されています。
影島区社会福祉センターは、施設の老朽化にもかかわらず、24時間利用可能なバリアフリートイレや地域中心のプログラムにより、地域住民にとって欠かせない空間となっています。そのリデザインは、市政府によって行われ、センターの利用者とのインタビューやワークショップを通じて特定された様々な主要課題に基づき、ユニヴァーサルデザインによる解決策が導き出されました。地元コミュニティとの完璧なリサーチ、ステークホルダー・マッピングやカスタマージャーニーの把握など、確立されたインクルーシブデザインの手法に基づく段階的な参加型共同デザインプロセスは、アイデア創出と検証のための明確な文脈を提供し、センターのためのよく解決されたデザイン提案につながりました。
審査員のコメント:
多様な利用者、この場合は釜山市民を巻き込んだ参加型設計プロセスのモデルとして価値があります。ユニヴァーサルデザインのアプローチは、具体的なデザイン要素から建物全体の外観の改善に至るまで随所に見られ、韓国におけるユニヴァーサルサービスデザインの最良の例となり得ます。
CEATEC 2023のソニーのブースでは、インクルーシブデザインから生まれた製品やサービスを紹介しました。このブースは、アクセシブルでユーザーフレンドリーなブースの構成要素やデザインを試行・評価するためのテストベッドとして企画されました。ブースはオープンで誰もが移動しやすいように設計され、これを実現するために、グラフィックの見やすさから通路幅に至るまで、すべての空間要素の設計において幅広いユーザーと専門家が協力しました。CEATEC 2023で実際にテストを行った結果、将来の見本市のためのデザインガイドラインが作成されました。
審査員のコメント:
展示会をアクセシブルデザインの評価プラットフォームとして活用することで、ユーザーフレンドリーで誰もが利用しやすいソニーブランドと製品をサポートするという、巧みなアイデアです。この展示デザインガイドラインが今後のソニーブースのテンプレートとなれば、より多様な顧客層を迎え入れることで競争力を高め、同時にソニーブランドをアピールすることができるでしょう。
ソニーのデザインチームと聴覚障害のある指導者が参加した共同デザインプロセスによって実現した楽しいアイデアです。 ハグドラムは、そのデザインにおいてインクルーシブであり、また、その使用において明らかな波及力を持つ、包摂的な打楽器です。この想像力豊かなコンセプトを開発するために、ソニーのデザイナーは聴覚障害の先導的ユーザーやプロのミュージシャンと協力しました。その結果、光と振動で音を伝える包摂的な打楽器が完成しました。
審査員のコメント:
誰もがすぐにドラムの演奏に参加したいという気持ちになります。聴覚障害者がごく自然に、対等なレベルで参加できることを示す感動的なデモンストレーションです。ソニーチームが仕掛けた共創のプロセスで、熟練したユーザーとプロの音楽家が融合し、誰もが楽しめる楽器が誕生しました。
サンタンデールは「顧客にとって重要な瞬間に寄り添う、インクルーシブかつアクセシブルな銀行」を目指しています。これを実現するために、サンタンデールの主要なユーザーインターフェースでは、さまざまな能力を持つ人々が参加する共同デザインプロセスが実施され、サンタンデールの小売・銀行業務の最新版アプリが、日々の財務管理に利用している1000万人近いすべての人々にとって使いやすいものとなっています。これは、クロスプラットフォームの使いやすさを実現する技術的な焦点と、すっきりとしたグラフィックデザイン、シンプルさとわかりやすさに重点を置いた、明確で適応性のあるユーザー中心のインターフェースデザインの優れた例です。まさに、英国を拠点とするトップ企業に期待されるものです。
審査員のコメント:
サンタンデールは、障害のあるスタッフを含む広範な共同ユーザー調査から得た洞察に基づき、銀行業務アプリに新しく非常にユーザーフレンドリーな機能を組み込むことで、WCAG標準をはるかに超えています。このプロジェクトとそのプロセスは、金融業界の模範となり、道標となりうるものです。 素晴らしい例です!
地元住民の多くが参加した、実現性の高い中心市街地再生プロジェクトです。当初はユニヴァーサルデザインプロジェクトとして意図されていませんでしたが、ターゲットユーザーの高齢化により、徐々にユニヴァーサルデザインプロジェクトへと変貌し、地元のちょっとした魅力をも併せ持ちながら実現しました。その結果、地元のマーケットに人が戻り、地域に新しい息吹が吹き込まれているようです。地元の人々は、このプロジェクトの全過程において関わりを持ち、今も持ち続けています。
審査員のコメント:
民間と公共の利害関係者を巻き込み、市民の参加がより良い環境づくりにいかに役立つかを示した好例です。社会に対するインクルーシブデザインの考え方の重要性と価値を強調しています。
古い博物館に新たな息吹を吹き込むには、来館者が博物館とその収蔵物をどのように体験するかを深く考え直すことが必要な場合が多く、ストーリーテリングの手法がますます重要な役割を果たすようになってきています。しかし、ノルウェー文化史博物館は、ユーザー参加と協議をこの大規模改修の中心に据えることで、物理的要素、情報提示のサインやナビゲーションの扱いにおいて貴重な先例を作り出し、すべての人にとって非常に利用しやすく、包摂的で、訪問者に優しい体験を提供しました。
審査員のコメント:
古い公立博物館の建物と常設展示にユニヴァーサルデザインを取り入れた好例です。開発段階から障害のある利用者が参加したことが成功の鍵となり、包摂的かつ参加型の展示デザインのベンチマークとなりました。テキストと音声でデジタル編集された展示コンテンツを備えたミュージアム・アプリは、歴史的展示を、訪問中も訪問後も、誰もが楽しめる魅力的でアクセシブルな体験にしています。
富士通のGraphical User Interface Next Plus (FGNP)は、Webインターフェースデザインを効果的に実装するためのビルディングブロックベースのツールキットです。このツールキットは、プロセスを簡素化し標準化することで、年齢、言語、障害の有無にかかわらず、誰もが快適に使用できるWCAG 2.2に準拠したソリューションの実現に向けて、ウェブデザイン、開発、制作チームをガイドします。継続的なユーザーテストとフィードバックがツールキットを支えており、これは視覚障害ユーザーによる画面読み上げの検証で実証されています。
審査員のコメント:
富士通のFGNPは、企業がデジタル製品にユニヴァーサルデザインとユーザーエクスペリエンスを一貫して統合することを容易にし、それによって時間とコストを節約し、デジタルソリューションがアクセシブルでWCAGガイドラインに準拠していることを保証しています。富士通のデザインが共創を通じて進化し続けている好例です。
認知症の人たち自身がプログラムを進行できるように設計されたCONNECTは、エビデンスに基づいた方法論を用い、認知のあらゆる段階にある人たちの参加と学習体験を適応させます。ジョン・ツァイゼルはこの分野の研究でよく知られており、多くの時間を割いています。CONNECTは、利用者やその介護者と慎重に協力しながら、非常に徹底的に研究され、試行されており、臨床試験によって明確な利点が特定され、定量化され、検証されています。デジタル・プラットフォームのビデオは説得力があり、システム自体は発売準備が整っています。
審査員のコメント:
これは、強力なリサーチと明確なユーザー評価データに支えられた、認知症への取り組みの素晴らしいケーススタディです。シンプルで、社会的で、かつ楽しく、認知トレーニングの活動に患者を参加させることに焦点を当てており、とても説得力があります。
一人暮らしの高齢者を見守ることは必然となっていますが、そのためには直接の監視を最小限にするのが最善の方法です。「MeAMOR(ミアモール)」は、家電を使って離れて暮らす家族の様子を目立たないように見守るライトタッチのサービスです。専用機器を必要とせず、家電1台で見守りを開始できます。さらに、接続する家電の数を増やすことで、日常生活のさまざまなシーンをより詳細に見守ることができます。カメラで監視するわけではないので、プライバシーを守りながら、必要に応じて家族の生活状況を見守ることができます。ユーザーアンケートをもとに設計され、幅広いユーザーが利用できる料金体系になっているなど、配慮が行き届いています。
審査員のコメント:
人口動態の変化に対応するためには、シンプルで迅速に展開できるソリューションが必要です。 MeAMORは、この課題に対する家電メーカーからの重要かつ革新的なアプローチであり、同社の製品サービスの延長線上にあります。
High-Enterは、他の2つのShekulo Tovグループのエントリーと共に、特に情報技術分野で満足のいく仕事を見つけるために必要なスキルや知識を障害者に身につけさせ、さらに長期にわたって継続的な専門能力開発を目標に支援するという総合的なアプローチの一部を形成しています。これは、職業訓練と生涯教育を通じて、イスラエルのハイテク企業に障害者を受け入れてもらうための創造的な解決策を提供する専門的なモデルです。
審査員のコメント:
社会包摂の問題に対する認識を高めつつ、従業員と企業を支援する、優れた持続可能なアプローチであり、他のどこでも簡単に応用できるモデルです。
一連の福祉サービスが、包摂的で人にやさしい単一のブランディングのもと、首尾一貫した全体へとつながったという楽しいストーリーです。その結果、釜山市の社会福祉サービスと、彼らがサービスを提供する社会的弱者との間の視覚的なつながりが深まり、質の高いサービス提供に対する釜山市議会の強いコミットメントが浮き彫りになりました。
審査員のコメント:
このハート型のロゴを通じて、障害者を中心とした都市デザインとサービスの価値をアピールしています。利用者がこのデザインプロセスにどのように関与したかは明確に記述されていませんが、さまざまなサービスはすべて、市民をケアする強いコミットメントを証明しています。
Shekulo Tov Groupは、イスラエル全土に25の店舗と物流センターを持つRebooksチェーンで働けるよう、障害者に必要なスキルを身につけさせる質の高いトレーニングを提供しています。Rebooksはイスラエル最大のオンライン古書販売会社で、障害者の雇用に力を入れていますが、これを促進するために、Shekulo Tov Groupは、障害者が満足のいく仕事を探せるよう必要なスキルと知識を身につけさせるというグループの全体的なアプローチの一環として、アクセシブルかつユニヴァーサルデザインのカスタムデジタルプラットフォームを開発しました。
審査員のコメント:
デジタルな仕事の世界で障害者に職業機会を与える重要なアプローチです。ユニヴァーサルデザインの電子商取引デジタル・プラットフォームは、在宅勤務を可能にし、障害者を労働市場に確実に取り込むことができます。このプラットフォームの経験と応用を他のプロバイダーに移転することは興味深いでしょう。
特に情報技術分野において、障害者が満足のいく仕事を見つけるために必要なスキルと経験を、専門職や学歴のある人たちに身につけさせることを目的とした総合的な研修プログラムです。このプログラムは、短期および長期の両方で必要な支援や指導を受けることができる一連のハブで運営されています。
審査員のコメント:
障害者の活躍を助けるキャリア開発が必要ですが、潜在的な雇用主がどのようにサポートされるのか、またユニヴァーサルデザインとの関連も言及されていません。
多様なニーズを受け入れ、配慮した複合用途のオフィスビルです。サインデザインはこのインクルーシブビルの重要な特徴であり、トイレエリアには特に注意が払われ、これらすべてがこのオフィスビルの包摂性を強調しています。
審査員のコメント:
素晴らしく、クリーンなインクルーシブデザインです! 配慮が行き届いており、(民間の)オフィスビルにありがちな、または期待されるレベルを超えています。しかし、UDの配慮はサインデザインにやや偏っているように見えます。
資生堂の熟年女性のためのプリオールスキンケアシリーズに、よく研究され位置づけられた製品が加わりました。このシリーズは、時を経てその妥当性が証明され、進化し続けています。開封しやすく、環境に配慮したパッケージ、わかりやすい情報や宣伝は、ブランドが約束する穏やかで自信に満ちた日常生活を実現しています。
審査員のコメント:
資生堂の、顧客の関心に常に寄り添い、多様な美的課題を受け入れる姿勢は、本当に素晴らしい。ユニヴァーサルデザインの視点から、あらゆる年代の女性の悩みや願望を理解する資生堂の姿勢は、同業他社とは比較にならないほど刺激的です。
コミュニティ環境における分散型生産の未来における、三菱電機によるスマート工場のコンセプト提案です。拡張現実(AR)技術により、工場内外の人々が協力し、コミュニケーションを図り、接続されたコミュニティでサービスや設備を共有することが可能になります。畑、農場、工場を中心とした自給自足のコミュニティが、ヒューマンスケールの生産と消費のネットワークで連携するという、19世紀のユートピア的アイデアの最新版と言えるでしょう。
審査員のコメント:
興味深い提案ではありますが、さらなる開発は、これらのARツールが本当に人間の幸福に貢献できるかどうかを検証するために、より包摂的でユーザー中心の研究によって裏打ちされるべきです。実際にどのように機能するのか?このコンセプトの段階では、まだユニヴァーサルデザインの事例とは言えません。
日本における色覚障害の学生のための特別な問題を解決するために開発されたペンセットです。カラーユニバーサルデザイン協会とのコラボレーションによるユーザーリサーチが功を奏し、明確なニーズが発見され、アイデア出し、共創ワークショップ、反復テストを経て、新しい機能を持つソリューションが開発されました。ユニヴァーサルデザインプロセスがいかにユーザーフレンドリーなイノベーションにつながるかを示す好例です。
審査員のコメント:
多数派との差別化にこだわらず、特定のグループのニーズに対応することで、ユニヴァーサルデザインのプロセスがいかに新しいユーザーフレンドリーなイノベーションにつながるかを示している点が新鮮です。海外の色覚障害の学生にも新しいツールとして応用できるかもしれません。
日本財団の「子ども第三の居場所」の助成を受け、放課後の子どもたちの居場所として、子どもたちや保護者、地域の人たちのために、家のような木造の小さな施設がデザインされました。主に片親家庭の子どもたちが不登校になったり、学校から誰もいない家に帰るという社会問題に対して、木造の小さな建物という形で対応したのが嬉しいです。自然素材がふんだんに使われ、細部まで配慮が行き届いていることから、支援を必要とする子どもたちのための環境づくりを目指す、繊細な共同作業がうかがえます。
審査員のコメント:
ユニヴァーサルデザインとは言い難いものの、その目的と成果は非常に興味深く、明らかにニーズをカバーしています。ただ、提出された資料に、利用者の評価の検証を含む客観的な説明や、建物内でどのように子どもたちが安全な空間を提供できるように設計されているのかが記載されていないのが残念です。
掃除機が押入れではなく主室に置かれるという意味で斬新なアイデアであり、最終的な製品もほどよく控えめにされています。重量と嵩を減らす方法として、掃除機はドッキングされた状態でホコリが取り除かれます。徹底的な研究開発とユーザーテストの結果、コンパクトで使いやすい掃除機が誕生しました。
審査員のコメント:
掃除機の使い方の選択肢を広げ、すべての人に使えるよう掃除機をシンプルにするという興味深いものです。ユニヴァーサルデザインの観点からの研究と同様に、実地試験と評価はより公正な評価を保証するのに役立つでしょう。
医薬品関連情報は、患者の安全において重要でありながら見落とされがちな要素です。そのため、薬物療法における情報の一貫性を確保するために、あらゆるレベルでの標準化が必要とされています。この富士通の医薬品情報サービスは、この複雑な問題の一部に対処しており、将来的にはさらに発展する可能性を秘めています。
審査員のコメント:
優れた医薬品情報システムであり、社会的ニーズを特定しソリューションを提供する富士通の能力には目を見張るものがありますが、このシステムが患者の体験にどのような影響を与えるかは現段階では不明です。ユニヴァーサルデザインとの関連をもっと明確にする必要があるでしょう。
See Color触覚言語は、3つのグラフィック要素(2つの線と1つの点)からなる点字のような文字で構成され、非常に実用的に実現された94の色彩参照システムです。シンプルで、言語を超えて理解でき、継続的なユーザー参加を行なって開発されたユニヴァーサルデザインです。
審査員のコメント:
視覚障害者向けとはいえ、See Colorシステムは容易な適応が可能なため、産業界が取り入れれば、メーカーを説得する難しさはあるものの、より広い範囲に普及する可能性があります。
特筆すべきは、このシステムがマンセル色相環と点字の関係に焦点を当てていることで、視覚障害者にも理解しやすくなっています。
Peraは、腸失禁者のための消化を追跡するウェアラブル健康補助具です。アクシデント防止のため、40分前に便の通過を予測できるリアルタイムの連続監視を提供します。広範なユーザーリサーチにより、実際の生活における問題や満たされていないニーズが特定され、それがデザイン開発プロセスの枠組みとなりました。医学的背景、ユーザー層、製品の機能性と排便予測能力をよりよく理解するために専門家の意見を求め、ユーザーテストとプロトタイプの検証を行いました。最終製品は目立たず、使いやすいものになっています。
審査員のコメント:
Peraが成功すれば、何百万人もの人々の生活を変えることができるでしょう。優れた大学院生のプロジェクトであり、現在ほとんど注目されていない深刻な健康問題に対応するユーザーリサーチとインクルーシブデザインの理想的な例です。
自閉症の子どもたちのためにデザインされた3つのクッションのセット。シンプルな素材と柔らかな色使いで、抱きしめられたような心地よさを感じられるよう、さまざまな体勢が用意されています。Coccolaは、ユーザーのニーズと環境問題の両方に取り組む、思慮深く、よく研究されたプロジェクトです。デザイン自体も親しみやすく安心感があり、快適で心地よいものになっています。よく解決された学生プロジェクトです。
審査員のコメント:
概要を満たし、すべての子どもが楽しめるシンプルなソリューションとなっています。保護者との相談はあったようですが、クッションの最終的な成果や形状に関して、ユーザー調査や綿密なデザイン検討が行われた形跡はありません。
IAUD国際デザイン賞2024 大賞(3件)
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