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IAUD国際デザイン賞2023 審査講評

2024.02.20掲載

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IAUD国際デザイン賞2023 審査委員長からのメッセージ

IAUD国際デザイン賞2023 審査委員長/ノルウェイ EIDDデザインフォーオール・ヨーロッパ理事/イノベーションフォーオール AS 創設者)
オンニ・エイクハウグ


写真:エイクハウグ氏
審査委員長のエイクハウグ氏

世界は厳しい課題に直面し国際的にも緊張が高まっています。そのような状況においても、IAUD国際デザイン賞は多様な人々のニーズとより公平な世界における生活の質と機会の向上に対する私たちの集団的な願望にスポットライトを当てることで、より良い未来への道を指し示し、多くの希望の光を提供しています。

今年の受賞者たちは、まさにそれを実現しており、デザインとイノベーションがどれほど重要な変化をもたらすのかを示す素晴らしい例として、私たちが日常的に使用するサービス、建物だけでなく、社会のさまざまなセクター全体においても生かされると思います。2023年の大きな特徴は、小規模の民間グループ、行政関係、起業家、大企業、医療など、応募者の幅の広さとバリエーションです。UDおよびインクルーシブ・デザインが、特別支援だけでなく、主流デザインのあらゆる分野において、イノベーションの強力な原動力となることを証明しているようです。

2023年はまた、AIが日常的に現実味を帯びてきた年でもあります。その急速な発展は、私たちの生活のさまざまな領域へ影響を及ぼし潜在的な利益をもたらす一方、不用意にあるいは悪意を持って使用されれば、平和と安全への大きな脅威となります。AIは私たちの働き方、生活、遊び方に影響を与えることは間違いなく、ユニヴァーサルデザインにとって新たな機会であり大きな挑戦であることは間違いありません。AIの適切な活用は、人類の利益のために重要な役割を果たすことができますし、また必ずそうしなくてはなりません。

AIを基本とし、それに触発されたイノベーションが倫理的かつ健全であることを証明するためには、人間の多様性と包摂性の視点に基づいたアプローチ、方法、およびツールを開発することが極めて重要です。そうすることで、より持続可能かつ柔軟な解決策が生まれ、商業的にもより実行可能なものとなります。また、UDに関わる私たち全員が、この分野を先導していることを認識することも重要です。なぜなら、ユーザー中心に考えられた商品開発は、組織の幅広い連携ネットワーク構築への鍵となるからです。

歴史的にみると、元々は特定のニーズやユーザーグループに向けて開発されたものが、誰にとっても良いものだったので、やがて主流になってきました。リモコンや予測テキストはその例ですが、これらはいずれも、重度な障害を抱えるユーザーが直面する問題の解決策として生まれたとは信じがたいほど、私たちの日常生活で中心的な役割を果たしています。実際、予測テキストはそれ自体が人工知能の初期の例と言えます。重要なのは、少数のリードユーザーのニーズに焦点を当てることで、ゲーム・チェンジャーとなりうる革新的な製品を生み出すことができるということです。

実際に使用したユーザーの意見を取り入れた、真のユーザー・リサーチから生まれる予測不可能かつ独創的なアイデアは過小評価されがちです。まず、「本当の問題は何か、誰のためか」といった疑問を探求することで、驚くほど異なる結果をもたらす、まったく異なるデザインや製品開発のシナリオを導き出すことができます。
今年の大賞受賞作品である「タルサの集いの場」は、ユニヴァーサルデザインの優れた実践例であり、私たち誰もが学ぶことのできるものです。市民との広い協議や関わりを持ち、様々な効果的なデザイン手法で裏付けられています。

今年提出されたプロジェクトの中には、ユーザーとの関りを重要視したデザインリサーチプロセスを経たものもあります。このプロセスの、特にオープンエンドの段階では、幅広いユーザーの視点が、チームの方向性や結果に重要な影響を与え、それが革新的なものを生み出します。このような余分な努力は報われる可能性があり、ユーザー参加の全体的な質は、審査委員が各年のエントリーを評価する際に特に注目している点の一つです。

IAUDがこの20年間に成し遂げてきたのは非常にユニークなことです。 IAUDは発足以来、世界的に有名な日本ブランドの企業を会員に持ち、刺激的で意欲的な一連の国際会議、知識と能力の共有と普及を目的としたプログラム、そしてもちろん国際デザイン賞そのものを通じて、ユニヴァーサルデザインの分野を世界の舞台で支持し発展させてきました。
審査委員長として審査委員会を率いることは、今回も大変光栄なことであり、このような機会を与えていただいたことに感謝しています。特に、知識豊富で熱心かつ明晰な審査委員の方々のおかげで、 いつも私はとても知的で刺激的な仕事ができています。



IAUD国際デザイン賞2023 大賞(1件)
IAUD国際デザイン賞2023 金賞(12件)
IAUD国際デザイン賞2023 銀賞(9件)
IAUD国際デザイン賞2023 銅賞(10件)
IAUD国際デザイン賞2023 学生デザインチャレンジ優秀賞(1件)
IAUD国際デザイン賞2023 学生デザインチャレンジ賞(1件)
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審査基準

「ユニヴァーサルデザイン(UD)の理念を掲げ、その成果として優れた活動が提案、または遂行されていること」を主たる選考理念とし、理念実践とその成果である活動行為の両面で審査し、総合的に評価しました。なお、応募要項に記載されている審査基準および本質的目標も重視されました。

  • 斬新で躍動的な、ユニヴァーサルデザインの新境地を開くものであること
  • 市場から排除されがちな障害者等との密接な関係を基にした質の高いユーザー中心の研究が認められること
  • 特定のユーザーグループが技術革新から取り残されないよう配慮されていること
  • 多様なユーザーグループに属する特殊な問題を捉え解決策を提供するなど、従来の「ユーザビリティ」を超える提案であること
  • 企業の全社的なビジョンと継続的な改善計画に基づいたUDへの長期的組織的実践が示されていること
  • 誠実で説得力のある説明資料に裏付けされていること


本質的目標

  1. サステイナブルとユニヴァーサル~持続可能な共生社会創造のための理念と実践
  2. 多様性と包摂性~伝統、文化、生活様式、そして人間の多様性を理解し、少数を排除せず、積極的に包含することで、質的に豊かで幸福な暮らしを実現する
  3. 安全・安心な社会~人権を守り人間性を尊重した社会の仕組み、制度、モラルの構築
  4. 自発的、かつ持続的な対話~企業・行政・研究機関・NPO、そして生活者間の継続的な交流、及び関係の構築
  5. 世代を超えた知恵と技の継承~ユニヴァーサルデザインの普及啓発により次世代を担う人材を育成する



IAUD国際デザイン賞2023審査委員会

審査委員長: オンニ・エイクハウグ(ノルウェー EIDDデザインフォーオール・ヨーロッパ 理事(前会長)/イノベーションフォーオール AS 創設者)
副委員長: 益田文和(株式会社オープンハウス代表取締役/名古屋学芸大学客員教授)
審査顧問: ロジャー・コールマン(英国王立芸術大学院名誉教授)
審査委員: フランセスク・アラガイ(スペイン デザインフォーオールインターナショナル代表/プロアソリューションズ S.L. 創設者)
同: トーマス・バーデ(ドイツ IUDユニヴァーサルデザイン研究所 創設者/顧問)
同: ヴァレリー・フレッチャー(米国人間中心デザイン研究所所長)
同: ラーマ・ギーラオ(英国王立芸術大学院ヘレンハムリンセンター所長)
同: アンティカ・サワスリ(タイ モンクット王工科大学 建築・芸術・デザイン学部 学部長)
同: 川原啓嗣(名古屋学芸大学名誉教授/一般財団法人国際ユニヴァーサルデザイン協議会専務理事)


SDGsの表示について

UDの基本理念である包摂性(inclusivity)は「誰一人取り残さない」というSDGsの原則と一致します。つまり、UDとSDGsとは連動していると言えます。そのことを、より分かりやすくするために各受賞作品と関係の深いSDGsの目標を表示しています。

SDGs#1 貧困をなくそうSDGs#2 飢餓をゼロにSDGs#3 すべての人に健康と福祉をSDGs#4 質の高い教育をみんなにSDGs#5 ジェンダー平等を実現しようSDGs#6 安全な水とトイレを世界中にSDGs#7 エネルギーをみんなに そしてクリーンにSDGs#8 働きがいも経済成長もSDGs#9 産業と技術革新の基盤をつくろうSDGs#10 人や国の不平等をなくそうSDGs#11 住み続けられるまちづくりをSDGs#12 つくる責任 つかう責任SDGs#13 気候変動に具体的な対策をSDGs#14 海の豊かさを守ろうSDGs#15 陸の豊かさも守ろうSDGs#16 平和と公正をすべての人にSDGs#17 パートナーシップで目標を達成しよう






IAUD国際デザイン賞2023 大賞(1件)

地域計画部門
Gathering Place for Tulsa
[タルサの集いの場]

Michael Van Valkenburgh Associates Inc.:アメリカ

Photo:Gathering Place for Tulsa

「タルサの集いの場(Gathering Place for Tulsa)」は、オクラホマ州タルサ市の中心からわずか2マイルのアーカンソー川沿いに広がる66エーカーの公園です。市や地域の人々の協力のもと開発された「集いの場」として、年齢、身体能力、バックグラウンドなど関係なく、人々を公平に受け入れている大規模多目的公園です。様々な移動手段を利用する人々のための広い離合スペースや、手話の会話もゆっくりできる静かな環境スペースを備えるなど、法的要件をはるかに上回っています。生態系を考慮し、様々な素材を贅沢に使用したこの想像力豊かな遊び場は、タルサ地域でまだ支援を受けていない団体にも喜ばれる施設として創られています。

審査員のコメント:
ユニヴァーサルデザインの原則に根ざした公共スペースプロジェクトとして優れています。さまざまな方法で幅広く市民も協力しています。プロトタイプ、モックアップや模型を繰り返してできた包摂的なデザインは、模範的であり深く考えさせられます。この公園は人間の多様性や異なるニーズ、能力、経済的状況を配慮して創られており、人々の健康増進だけでなく、異なる民族、悲劇的歴史から出来た地域内をつなぐ特筆すべき場所です。

SDGs#4 質の高い教育をみんなにSDGs#10 人や国の不平等をなくそうSDGs#11 住み続けられるまちづくりをSDGs#15 陸の豊かさも守ろう

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IAUD国際デザイン賞2023 金賞(12件)


プロダクトデザイン部門
Access™ コントローラー
ソニー・インタラクティブエンタテインメントLLC:日本

Photo:Access™ コントローラー

障害を持つプレイヤーがゲームをより簡単に、快適に、かつ長時間にわたってプレイできるように設計された、カスタマイズ性の高いPlayStation®コントローラーキットです。コントローラーの配置は、様々な身体的ニーズに合わせて自由に構成でき、さまざまなボタンやスティックキャップが位置変更可能なアナログスティックと共に組み込まれています。このコントローラーは、障害を持つプレイヤーと、主要なユーザー団体との協議を経て開発され、ゲームへのアクセスを広げ、ゲーム環境をより自由にコントロールできるように開発されました。

審査員のコメント:
Accessコントローラーは、アクセシビリティとPS5™の洗練されたデザインを融合させ、機能性だけでなく、美しさも兼ね備えています。このアプローチは、包摂的なデザインを重視し、すべてのユーザーがより没入感と満足感のあるゲーム体験を楽しめるようにしています。また、ゲーマーの身体的および個人的な要件に合わせてカスタマイズできるため、特殊な製品にまつわる差別や偏見を回避し、すべてのゲーマーに柔軟な解決策を提供します。

SDGs#10 人や国の不平等をなくそう

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プロダクトデザイン部門
FACT-X現金自動取引装置
富士通株式会社/富士通フロンテック株式会社:日本

Photo:FACT-X現金自動取引装置

FACTシリーズは、業界で初めてユニヴァーサルデザインのコンセプトを取り入れた自動現金預払機(ATM)でした。その後も進化を続け、UD対応では国内ATMを主導し、より多くの人々がATMを通じて金融サービスを利用できる社会の実現へ貢献しています。最新モデルであるFACT-Xは、操作部の視認性向上、操作部・画面案内の色調統一、文字サイズとコントラストの向上、誤操作や修正方法・箇所のわかりやすさなど、より多くの人々に安心して操作できるようにデザインされています。

審査員のコメント:
FACT-Xは、すべての人にとって安全で使いやすいことを保証する多くのUDイノベーションを含むATMデザインにおける重要な前進であり、富士通はこの分野で長期にわたって明確に先導的な役割を果たしてきました。審査員は、デザインプロセスにおけるユーザーの関与について言及がなく、それがデザイン決定に影響を与える可能性があったことについて若干の留保をつけました。

SDGs#9 産業と技術革新の基盤をつくろうSDGs#10 人や国の不平等をなくそうSDGs#11 住み続けられるまちづくりを

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医療・福祉部門
リハビリ・ウェルビーングゲーミフィケーション
ソニーグループ株式会社/株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメント:日本

Photo:リハビリ・ウェルビーングゲーミフィケーション

上肢または体の片側に麻痺のある患者やシニア向けの新しいリハビリゲームです。認知、運動、反復を重視し、リハビリテーションの厳しいプロセスへゲームを取り入れることで、より楽しく継続しやすくすることを目指しています。テレビに接続されたカメラがプレイヤーの手の動きを追跡し、画面上に可視化され、落ちてくる妖精を捕まえてキノコに乗せることで、動くことや反応することを促進します。

審査員のコメント:
このプロジェクトはソニーの二つの部門間で共同開発され、イノベーション・プロセスにおける共創を優先し、操作機器の代わりにプレーヤーの手がインターフェースとなっています。ソニーはリハビリテーションの目標を支援し、ユーザーに楽しさを提供するためにゲーム使用時の大きな障害を取り除くことに成功しました。

SDGs#3 すべての人に健康と福祉をSDGs#4 質の高い教育をみんなにSDGs#8 働きがいも経済成長もSDGs#10 人や国の不平等をなくそう

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医療・福祉部門
世界の失明と視覚障害を新眼科医療機器「Smart Eye Camera」で根絶
株式会社OUI:日本

Photo:Smart Eye Camera

世界の盲人人口は4300万人で、そのうち半数以上は白内障などの予防可能な状態によるものですが、低開発地域や農村では医療従事者が不足しており、知識と資源に乏しい救急隊員に頼っている状況です。OUI Inc.は、スマートフォンのアタッチメントであるSmart Eye Cameraを中心とした包括的な眼科診断モデルを通じて、救急隊員が遠隔地の眼科医と画像を撮影・共有することでこの問題に対処することを目指しています。さらに、位置情報を取得することで、疫学研究に役立つという利点もあります。

審査員のコメント:
医療施設、人材、設備が乏しいアフリカやその他の十分な医療を受けられない国々における眼疾患に関連する診断の課題に対するシンプルで実用的、かつ公平な解決策です。訓練を受ければ誰でも簡単に使用でき、救急隊員や専門家ではない人材への迅速なトレーニングを可能にし、農村地域に効果的に専門医療を拡大できます。

SDGs#3 すべての人に健康と福祉をSDGs#8 働きがいも経済成長もSDGs#10 人や国の不平等をなくそう

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医療・福祉部門
要介護認定訪問調査システム ALWAYS® V
株式会社 東芝/東芝デジタルソリューションズ株式会社:日本

Photo:要介護認定訪問調査システム ALWAYS® V

介護ニーズ調査の効率化は、需要の増加と著しい熟練労働者不足のために喫緊の課題となっています。ALWAYS® Vは、ソーシャルワーカーが限られた時間内で、介護が必要と予想される受給者の健康状態を十分かつ慎重に診断できるようにデザインされたタブレット型PCアプリケーションです。手書き入力とタッチ入力を自由に切り替えることで、効率的なメモ書きと並行してクライエントとの対話を促進し、正確で公正な調査とデータ収集を保証します。

審査員のコメント:
すべての要介護認定の対象者の客観的で平等な評価を保証する、健康データの収集と介護ニーズの評価の効率的で標準化された方法です。日本は医療介護分野におけるペーパーレスシステムへの移行がやや遅れており、これは日本の介護保険制度と連動して、必要な人々に対して公正で質の高いケアを保証する重要な一歩となります。

SDGs#3 すべての人に健康と福祉をSDGs#8 働きがいも経済成長もSDGs#9 産業と技術革新の基盤をつくろうSDGs#10 人や国の不平等をなくそう

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医療・福祉部門
口腔洗浄器
株式会社 豊洋製作所/九州大学:日本

Photo:口腔洗浄器

口腔洗浄器は、介護が必要な高齢者にとって特に重要な口腔衛生を十分かつ効率的に行うことができ、使用方法も簡単で安全なため介護者の負担を軽減することができます。
マウスピースを咥えるだけで、細かい気泡が放出され口腔内全体を優しく洗浄し、すすぎ水は安全に排出されます。研究開発チームは医療とデザインの経歴を生かして特定のニーズを把握し、高齢者による反復テストを経てエンドユーザーに受け入れられる製品を開発しました。
  
審査員のコメント:
介護を必要とする高齢者にとって良好な口腔衛生を確保するための便利な機器であり、有効な解決策がなかった問題への画期的な解決策です。ユーザーテストの結果、快適で使いやすく効果的な機器であり、簡単にメンテナンスが可能なことが確認されました。

SDGs#3 すべての人に健康と福祉をSDGs#8 働きがいも経済成長もSDGs#10 人や国の不平等をなくそう


医療・福祉部門
ヘルスケア領域のデータポータビリティ「ポータブルカルテ」
富士通株式会社:日本

Photo:ポータブルカルテ

カルテの一元化は諸外国では進んでいますが日本ではまだ黎明期にあり、この新しいクラウドベースのサービスは、医療領域におけるデータの移行をシンプルかつ高度に整理された方式で迅速に行います。患者は、使いやすいインターフェイスのスマートフォンアプリを通じて、自分の健康・医療データを主体的に閲覧・整理することができ、医療従事者は、ダッシュボード形式で表示される大画面で患者データを確認することができます。

審査員のコメント:
電子カルテは日本ではまだ新しいシステムですが、今後、標準的なものになると思われます。医療情報へ安全で便利にアクセスできることは、カルテの共有とアクセスへの重要な一歩であり、効率性を高め、ミスを減らし、コミュニケーションを促進します。重要なのは、各個人の医療情報が医師ではなく個人に属するという考えが、将来、人間中心の医療システムの中心概念になることです。

SDGs#3 すべての人に健康と福祉をSDGs#8 働きがいも経済成長もSDGs#9 産業と技術革新の基盤をつくろうSDGs#10 人や国の不平等をなくそう

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共創デザイン部門
デジテク・カード~ユーザー視点と技術視点をつなぐアイデア発想ツール~
富士通株式会社:日本

Photo:デジテク・カード

デジタルテクノロジーカードは、専門家でなくてもデジタルテクノロジーを直感的に把握できるアイデア発想支援ツールで、日常生活で生まれる課題へ新しいアイデアや解決策を生み出すように設計されています。27枚のカードで構成されており、高齢者施設、NGO、ボランティア団体、地方自治体、営利団体などの主要分野において、新しいデジタルサービスやソリューションの革新と開発にエンドユーザーの参加を促すことで、デジタルトランスフォーメーションを加速させることを目的にしています。

審査員のコメント:
あらゆるビジネスや組織におけるアイデア発想や製品開発プロセスにおいて、専門家とそうでない人とのギャップを埋めるための非常に興味深く有用なツールです。その目的は、共創し、ハイブリッド・コラボレーションを促進し、技術革新が、恵まれない人々や新技術にあまり馴染みのない人々を含む、すべてのユーザー・グループにとってアクセスしやすく有益なものになるようにすることです。

SDGs#4 質の高い教育をみんなにSDGs#8 働きがいも経済成長もSDGs#9 産業と技術革新の基盤をつくろうSDGs#10 人や国の不平等をなくそう

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インテリアデザイン部門
Collaborative Spaces: Embracing Diversity and Inclusion at BDP’s Toronto Studio
[コラボレーション・スペース:BDPトロント・スタジオにおける多様性と包摂性の受け入れ]

BDP Quadrangle:カナダ

Photo:Collaborative Spaces

BDPクアドラングルでは、トロントにある新しいスタジオと北米本社に代表されるように、インクルーシヴデザインをすべてのプロジェクトの根底に据えています。
同社は18の社内ガイドラインを開発しており、これは単なる物理的デザイン配慮を超え、すべてのユーザーが平等に考慮され、評価され、力を発揮できると感じる空間を作り出すためのものです。スタジオは、コラボレーションとインクルージョン、アクセシビリティとウェルネスを促進する刺激的な空間であり、その結果、すべての人にとって健康的で回復力のある職場となっています。

審査員のコメント:
大企業がインクルーシヴデザインに意欲的であることは注目に値します。BDPがより良い包摂的な職場環境のための18のガイドラインを挙げたことは、その良い証拠であり、同社のトロントスタジオは、COVID後の多様な働き方に対応する真に包摂的な職場となっています。しかし、ナビゲーションとオリエンテーションに関するいくつかの問題はまだ十分に対処されていないと審査員は感じました。

SDGs#8 働きがいも経済成長もSDGs#11 住み続けられるまちづくりをSDGs#13 気候変動に具体的な対策を

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インタラクションデザイン部門
XRキャッチボール
ソニーグループ株式会社:日本

Photo:XRキャッチボール

視覚障害を持つ父親が、息子とキャッチボールをしたいという願いから着想を得て、SonyのチームはXR Catchと呼ばれる仮想ボールを使用するゲームを開発しました。これにより、障害の有無にかかわらず、あらゆる年齢の人がキャッチボールの喜びを体験できるようになりました。「仮想ボール」という制約が、プレイヤーの想像力を刺激し、誰もが楽しめるゲームを生み出すとわかったことは、ユーザーと一緒にプロジェクトを進める中で、ソニーのチームが得た多くの気づきのひとつです。

審査員のコメント:
ソニーは、視覚障害の有無にかかわらず、他の人と楽しく一緒に運動するための創造的なゲームを開発することで一歩先を行っています。このプロジェクトは、あらゆる年齢層や身体能力の異なるユーザーからの意見を取り入れてゲーム体験を向上させることで、ユニヴァーサルデザインの模範となっています。この協力的な開発プロセスにより、幅広い人々がゲームを楽しめ、アクセスしやすくなっています。

SDGs#3 すべての人に健康と福祉をSDGs#4 質の高い教育をみんなにSDGs#10 人や国の不平等をなくそう

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多様性包摂文化部門
発達障がい児童のためのセンサリールーム観戦の取組み
富士通株式会社:日本

Photo:センサリールーム観戦

富士通のチームは、誰もがスポーツを楽しめるようにすることで、包摂社会の実現と障害への理解を深める取り組みの一環として、日本で初めて、発達障害を持つ子供たちのために感覚ルームにおけるスポーツ鑑賞体験を実施しました。
アメリカンフットボールと女子バスケットボールの9試合において、感覚ルームの試験運用を行い、大きな音、明るい光、賑やかな人混みが苦手な子供たちが怖がらずに、家族と一緒に選手たちを応援できるようにしました。

審査員のコメント:
音や光に過敏に反応する発達障害のある子どもたちが、家族と一緒にゲームを楽しめるようにすることで、あまり注目されず、解決策もほとんど存在しない真のニーズに応える、興味深く称賛に値する取り組みです。この取り組みは、発達障害に対する包摂性と認識を促進し、インクルーシヴ・スポーツ施設のモデルとなり得ます。

SDGs#3 すべての人に健康と福祉をSDGs#4 質の高い教育をみんなにSDGs#10 人や国の不平等をなくそう

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住宅・建築部門
Life Skills Training Center at Washington State School for the Blind
[ワシントン州立盲学校における生活技能訓練センター]

Washington State School for the Blind (Client) / Mahlum (Architect) / Chris Downey (Blind and Low Vision Consultant):アメリカ

Photo:Washington State School for the Blind

ワシントン州立盲学校の生活スキルトレーニングセンターは、全盲や弱視の若者たちが成人期を乗り越える力を与えることを使命としており、自立した生活を送るために必要なツールを提供するだけでなく、日常生活に必要な物や建築資材を複数の形式で示したり、日常生活の主要な活動に不可欠な製品や設備とのさまざまな関わり方を紹介しています。
目標は、参加者が自立して生活する能力を高め、利用可能な選択肢の実体験に基づいて具体的なニーズを明確に説明できるようになることです。

審査員のコメント:
ユニヴァーサルデザインとデザインジャスティスの概念を融合させた実践的でユーザー中心のアプローチの素晴らしい例であり、視覚障害のある若者が自分たちの環境について決定権を持ち、自信を持って自立生活を送るための必要なスキルを身につけることを可能にしています。

SDGs#4 質の高い教育をみんなにSDGs#8 働きがいも経済成長もSDGs#10 人や国の不平等をなくそうSDGs#11 住み続けられるまちづくりを

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IAUD国際デザイン賞2023 銀賞(9件)


医療・福祉部門
病院向け多用途搬送サービスロボットシステム
三菱電機株式会社:日本

病院の多様なニーズに対応するために設計された、交換可能なカートを備えた自律型多目的デリバリーロボットシステムです。感知センサと制御システムにより、障害物を自動的に回避し、エレベーターに乗り降りすることができます。建物内を縦横に安全かつ自律的に移動し、省力化に貢献するとともに、スタッフや患者にも受け入れられやすい、親しみやすく安心感のある外見をしています。
 
審査員のコメント:
可愛く働き者で適応性のあるロボットは、重い物の持ち上げや運搬作業から貴重な人員を解放し、介護者が大切な人との触れ合いや交流に集中できるようにすることで、人に優しいロボット工学への道を開きます。

SDGs#3 すべての人に健康と福祉をSDGs#8 働きがいも経済成長もSDGs#9 産業と技術革新の基盤をつくろう


医療・福祉部門
おいしく手軽に飲める ユニバーサルデザインのとろみ付き緑茶「伊藤園 とろり緑茶」
株式会社伊藤園:日本

嚥下障害を持つ人々のニーズに応える、ユニヴァーサルデザインの新しいとろみ付き緑茶飲料です。「とろり緑茶」は、お茶にとろみを付けるのに時間と手間がかかる、そしてとろみがお茶の風味を消してしまうという、ケア提供者にとって重要な2つの課題に対処しています。これらは、味を損ねない天然のとろみ付け剤と、開けやすく注ぎやすいボトルデザインを組み合わせて、誰にでも便利な製品を実現しています。

審査員のコメント:
これは身近な問題であり、正しい主張です。一般的にとろみ剤は飲み物の味を変え、長期的に安定しないという問題があります。とろり緑茶の開発は、特定のユーザーのニーズを理解し、介護者とお茶を飲む人の双方に有効な解決策を導くことでUDの面白い活用法を示しています。

SDGs#3 すべての人に健康と福祉をSDGs#10 人や国の不平等をなくそう


ソーシャルインクルージョン部門
'SAME' Model for meaningful & innovative leisure & independent social inclusion in the community for people with disabilities
[障害者のための有意義で革新的な余暇とコミュニティにおける自立した社会的包摂のための「SAME」モデル]

Shekulo Tov Group:イスラエル

2005年、Shekulo Tovは、イスラエルで3,000人の障害者に社会的レクリエーション・サービスを提供する革新的なプログラムを設立しました。
このプログラムは、現在イスラエル全土の障害者の積極的な自立を支援している、有意義で自立したレクリエーションのSAMEモデルに基づいています。過去1年間、Shekulo Tov Groupはこのサービスをユダヤ人とアラブ人の両方のコミュニティから障害を持つ人々に適切な社会的レクリエーション活動へのアクセスを提供し、文化的にも適応された一連の専用オンラインサイトとして拡張しました。

審査員のコメント:
このプログラムは、コミュニティ活動を通じて孤独感を減少させ、精神的健康、自信、自己啓発を高めることに焦点を当てています。オンラインサイトの導入によりプログラムの範囲はさらに広がり、ユダヤ教とアラブ教の両方のコミュニティに属する障害者が、自立して包摂的に社会生活に参加ができるようになっています。

SDGs#4 質の高い教育をみんなにSDGs#8 働きがいも経済成長もSDGs#9 産業と技術革新の基盤をつくろうSDGs#10 人や国の不平等をなくそうSDGs#17 パートナーシップで目標を達成しよう


未来への提案部門
高齢者が自分らしく人生を創造できるプロジェクト
立命館大学産業社会学部永野聡ゼミナール:日本
「60歳からの人生ゲーム」は、高齢者が前向きかつ積極的に老いについて考えるための方法として、将来の人生について考え、希望や願望を探る機会を提供します。その過程で、洞察に満ちたデータが得られ、高齢者の人生の目標やニーズの変化に対する理解を深め、介護を改善するために利用することができるのです。

審査員のコメント:
重要でありながらもしばしば無視されがちな事前介護計画のための優れたツールです。ただし、日本人の平均寿命が60歳を過ぎてもほぼ25年はあることを考慮すると、終末期プランにとどまらないことを考える機会を逃しています。60代の人々はまだ比較的若いので、慎重に行われなければ、このゲームの焦点が否定的に受け取られるかもしれません。

SDGs#3 すべての人に健康と福祉をSDGs#4 質の高い教育をみんなにSDGs#8 働きがいも経済成長もSDGs#10 人や国の不平等をなくそう


プロダクトデザイン部門
環境にも子どもの身体にも負荷をかけない新時代のランドセル NuLAND<ニューランド>
合同会社RANAOS:日本

これまで選択肢が1つしかなかった日本市場向けの、新しく改良された軽量ランドセルです。大幅な軽量化、リサイクル可能な素材、包摂的で使いやすい機能など、数々の重要なイノベーションを採用しながら、求めやすい価格帯を実現したNuLANDランドセルは、子どもたちと親にとって、子どもに優しい新しい選択肢を提供しています。

審査員のコメント:
日本の伝統的なランドセルに大幅な改良を加え、子どもたちのニーズを考慮して生まれ変わりました。さらに、リサイクル可能な生地を使用することで、持続可能性への決意を示しています。残念ながら、特別なニーズを持つ子どもたちや、体力や運動能力が不足している子どもたちへの配慮や対応については示されていませんでした。

SDGs#4 質の高い教育をみんなにSDGs#10 人や国の不平等をなくそう


プロダクトデザイン部門
東芝 コードレス衣類スチーマー TAS-MX6
東芝ライフスタイル株式会社:日本

状況に応じてコードレスでもコード式でも使える、使いやすい衣類スチーマーです。握りやすさと水位の見やすさを重視し、水平、垂直、あらゆる角度で使用できるよう、注意深く商品開発がなされています。左右対称のデザインは、左利きでも右利きでも使用でき、閉じたハンドルは安全なグリップと確実な操作を保証します。

審査員のコメント:
アイロンとしてもスチーマーとしても使えるユーザーフレンドリーな製品で、軽量化と様々な角度での操作を可能にすることで、手首の負担を軽減するように設計されています。残念ながら、明確なUDプロセスやユーザーの関与については説明がなされていません。

SDGs#11 住み続けられるまちづくりを


ファッションデザイン部門
片手でらく~に着れるシャツ:スルースリーブ
株式会社KUTO:日本

株式会社KUTOは、自分で服を着ることが困難で、そのために生活が制限されている人たちのために、障害者が状況に応じた服を選び、ファッションを再び楽しめる着やすいシャツを開発しました。デザイン上の特徴は、腕の動きが制限されている人が経験する最も一般的な問題に対応し、マグネット式留め具と組み合わせて、日常的に発生する問題をなくし、ユーザーに新たな自由感を与えます。

審査員のコメント:
見た目が他のシャツと変わらないよくデザインされたシャツで、制限された腕の動きにもかかわらず身なりを整えることの重要性を考慮してあり、これを着なければ受け入れられない状況になる人々の特別なニーズを満たしています。

SDGs#3 すべての人に健康と福祉をSDGs#10 人や国の不平等をなくそう


ファッションデザイン部門
つぶさないバストフラットインナー “Nstyle ハーフトップ/タンクトップ”
株式会社エル・ローズ:日本

エル・ローズは、バストをよりコンパクトに、より小さく見せたい人のために、革新的なバストフラットインナーを開発しました。従来のバストを平らにする下着は、主に大きなバストサイズを対象としており、特に長時間着用すると不快になることがありましたが、このインナーウェアはXSからLLまでの5つのサイズがあります。製品には下からしっかりとサポートする2枚の専用板があり、ボリュームを上方に再配分しています。これにより、快適な着心地と優雅で健康的な、より平らなバスト・シルエットが保証されます。

審査員のコメント:
より広いジェンダーのニーズに焦点を当ててデザインされた下着です。エル・ローズのバストフラットインナーは、軽量で着やすく、着心地が良いという使い勝手の良い特徴をいくつか備えていますが、製品開発プロセスにおけるユーザーの関与やUDに関する具体的な説明がなされていないのが残念です。

SDGs#3 すべての人に健康と福祉をSDGs#5 ジェンダー平等を実現しようSDGs#10 人や国の不平等をなくそう


公共空間デザイン部門
階段昇降装置 IKOO – 歴史建築物に共存したセルフリフト –
東京大学先端科学技術研究センター/株式会社バリアフリーカンパニー/大同工業株式会社:日本

歴史的に重要な建物の地下空間への車椅子のアクセスを可能にする、適所対応の階段昇降機のデザインです。ユーザー心理学、機能的な形状、素材、色彩を統合し、車椅子研究者によるユーザビリティ評価を尊重したデザインとなっています。この階段昇降機の視覚的な特徴は、建物の歴史的意義と建築理念を尊重し、利用者のために環境との調和を優先しています。

審査員のコメント:
ユニヴァーサルデザインを考慮した特注リフトの研究、ユーザー参加、慎重なデザインは、ユーザー・インターフェースのあらゆる面(ボタン、セーフティーバー、音声コミュニケーション)に注意を払い、反復的なユーザー・テストを行ったことで称賛に値します。しかし、一点ものなので必然的に高価にならざるを得ません。

SDGs#3 すべての人に健康と福祉をSDGs#4 質の高い教育をみんなにSDGs#10 人や国の不平等をなくそうSDGs#11 住み続けられるまちづくりを






IAUD国際デザイン賞2023 銅賞(10件)


地域計画部門
あなたの声がまちをつくる「マチカドプロジェクト」~人に優しいデジタルを活用した市民参加型のまちづくり~
川崎市中原区役所/富士通株式会社:日本

「マチカドプロジェクト」は、可能な限り幅広い住民の声を反映させることで、まちづくりを推進し、住民のまちへの関心を高めることを目的としています。これは、市民、行政、企業が参加する市民参加型のコラボレーションであり、人間中心のデザインと使いやすいデジタル技術を活用して、住民が自分たちのまちをもっと知り、その思いを伝えるためのシステムを作ることで、その有効性を実証しました。

審査員のコメント:
参加のハードルを下げることで、既存のデジタル市民参加型プラットフォームにある制限を無くし、広範な地域住民がコミュニティの発展に参加しやすくしています。しかしながら、入力オプションは限られており、明確なフォローアップ戦略が見られないのが残念です。

SDGs#9 産業と技術革新の基盤をつくろうSDGs#10 人や国の不平等をなくそうSDGs#11 住み続けられるまちづくりを


地域計画部門
千葉ウシノヒロバ
株式会社Chicabi:日本

千葉は日本の酪農発祥の地でありながら、千葉市乳牛育成牧場は酪農家の減少により経営難に陥っていました。株式会社Chicabiは、理念主導型のクリエイティビティを掲げて事業を引き継ぎ、牛が暮らす体験型キャンプ場を訪れる人々に自然との向き合い方や人間とは何かを考えさせる機会を提供し問題解決を行いました。

審査員のコメント:
もともとの事業をインフォテインメント・パークに変えることで、酪農業界のネガティブなトレンドに想像力豊かに対応していますが、社会的・文化的な貢献はあるものの、明確なユニヴァーサルデザインの要素は不足しています。

SDGs#10 人や国の不平等をなくそうSDGs#11 住み続けられるまちづくりをSDGs#12 つくる責任 つかう責任SDGs#15 陸の豊かさも守ろう


地域計画部門
THE GREENERY 189
[ユニヴァーサルデザインタウン グリーナリー189]

GS E&C / D.ONE / SAMSUNG C&T RESORT:韓国

地域景観の拡張として構想され、自然環境と都市のバリアフリー・デザインが融合したGaepo Jugong Complex 4の再建計画は、既存の都市環境を尊重し、住民のために楽しい空間を展開することで、隣接するコミュニティの中心部を生き生きとしたものへ創造しようとしています。

審査員のコメント:
都市環境における樹木、植物、水の重要性と価値を訴える、美しい緑豊かな都市エリアです。これは公衆衛生と空気の質の向上のためであり、すべての人にとって包摂的であるように見えますが、ユーザーの関与や評価が行われた形跡を見出せないのが残念です。

SDGs#10 人や国の不平等をなくそうSDGs#11 住み続けられるまちづくりをSDGs#15 陸の豊かさも守ろう


地域計画部門
地域に開かれた「管の広場・水まもりトイレ」
管清工業株式会社/T2Pアーキテクツ株式会社:日本

神奈川県厚木市の「管の広場・水まもりトイレ」は、アクセシブルで視認性の高い公衆トイレとして計画されており、日常的な交流の場としてだけでなく、災害時には避難場所としても機能します。パイプと水を主要な特徴とする空間を作ることで、人々が自然と向き合いながら水の価値と重要性について考える契機となることをデザイナーたちは期待しています。

審査員のコメント:
よくデザインされた多機能トイレは公共空間の中心的位置にある大胆なメッセージです。公衆トイレの重要性は過小評価されるべきではなく、このトイレは良い例ですが、残念ながら、ユニヴァーサルデザイン対応のトイレとしては、効果的な色のコントラストや機能的要素など、いくつかの重要な要件が欠けています。ユーザー参加やユーザー評価については触れられていないのも残念です。

SDGs#6 安全な水とトイレを世界中にSDGs#11 住み続けられるまちづくりを


コミュニケーションデザイン部門
FT Manifest UD (Thai Universal Design Font)
[FTマニフェストUD(タイ語ユニヴァーサルデザインフォント)]

Assistant Professor Dr. Rachapoom Punsongserm (Faculty of Fine and Applied Arts, Thammasat University):タイ

FTマニフェストUD書体は、視界がぼやけるタイ人読者を支援するために細心の注意を払ってデザインされました。可読性と視認性を確実に向上させるために実証的研究が考慮され、各字形の特徴を明確に区別し可読性を高めるために注意深く作られました。

審査員のコメント:
弱視者が経験する一般的な問題である視界のぼやけに対して、このフォントデザインはエレガントに対応しています。高齢者が経験する可読性と弱視に焦点を当てたことは称賛に値し、フォントの開発は明らかにエビデンスに基づいています。
ただ、プロセス全体にわたって先導的なユーザーの関与が不足しており、理解につながるはずの重要な説明に欠けていることが残念です。

SDGs#4 質の高い教育をみんなにSDGs#9 産業と技術革新の基盤をつくろうSDGs#10 人や国の不平等をなくそう


住宅・建築部門
美と遊ぶ・美を巡る・美の循環を知るーお客さまに開かれた工場のデザイン
株式会社資生堂/資生堂クリエイティブ株式会社:日本

資生堂の工場では、原材料の調達から製品の顧客への配送までのすべてのプロセスにおいて、品質、安全性、および持続可能性を維持しています。会社の美の考え方を顧客が知ることができるように、資生堂は年齢、能力、国籍、性別などにかかわらず誰にでも楽しめる、ユニヴァーサルでアクセシブルな工場見学施設をデザインしました。

審査員のコメント:
このような体験型見学施設の背景には、ワークショップや感覚的な体験を通じて、さまざまな人が利用しやすく、楽しめるような学習や想像力を刺激する意図があります。しかし、このプロジェクトをサポートするために提供された資料には、資生堂が他で取り組んでいるユニヴァーサルデザイン事業に見られるような明確なコミットメントが反映されていないのが残念です。

SDGs#4 質の高い教育をみんなにSDGs#11 住み続けられるまちづくりをSDGs#12 つくる責任 つかう責任


ファッションデザイン部門
だれでも着易いバスローブ「バスはおる®
一般社団法人 湘南くらしのUD商品研究室/浅野撚糸株式会社:日本

バスはおる®は、特に上半身の動きが制限されている人々が着やすいように設計されたバスローブです。

審査員のコメント:
着物風の袖を取り入れることで、このバスローブの使い勝手を向上させ、幅広いユーザーに利用しやすくしています。しかし、この製品はまだコンセプト段階のようで、デザイナーの個人的な経験があるにもかかわらず、ユーザー調査について述べられていません。

SDGs#3 すべての人に健康と福祉を


プロダクトデザイン部門
スライドノート
株式会社 研恒社:日本

研恒社のスライドノートは、パンチ穴を開けずに紙を束ねて1冊のノートを作ることができます。非常に軽い力でのワンタッチ動作で紙1枚でさえ綴じることができます。ノートの概念を「量」から「ページ」に転換すると同時に、手書きの生産性をあげることを目指しています。

審査員のコメント:
学生をはじめ、紙のノートを整理して作業する必要のあるすべての人にとって、実用的で賢い方法であり、よくデザインされた使いやすいクリップです。その使いやすさは明らかですが、ユニヴァーサルデザインの手順を踏んだ形跡が見られませんでした。

SDGs#4 質の高い教育をみんなにSDGs#12 つくる責任 つかう責任SDGs#15 陸の豊かさも守ろう


住宅設備部門
生活の邪魔をせずに室内の空気質を改善・維持する壁掛け式循環ファン
三菱電機株式会社:日本

空気清浄と脱臭機能を内臓したオフィスや商業空間向けの壁掛けファンです。 洗えば効果が復活する「ヘルスエアーユニット」はフィルター交換が不要で、自動運転により常にクリーンな空気を維持します。スリムなデザインと簡単な取り付けにより、壁に安全に取り付けることができます。

審査員のコメント:
三菱のもう一つの好例は、シンプルさと使いやすさを重視していますが、ユニヴァーサルデザインのプロセスについては明確な裏付けが見られません。

SDGs#3 すべての人に健康と福祉をSDGs#11 住み続けられるまちづくりを


住宅設備部門
大容量ホームフリーザー U22
三菱電機株式会社:日本

パンデミックの経験によって生活が変化した共働き世帯のまとめ買いや冷凍保存のニーズに対応するためにデザインされた大容量でコンパクトな冷凍庫です。2ドアのデザインは、冷気の漏れを抑え、庫内温度を安定させて食品の美味しさを長持ちさせることで、使いやすさとエネルギー効率を向上させています。

審査員のコメント:
明確なユニヴァーサルデザインとは言えませんが、操作のしやすさはユーザーと共感し、頻繁な買い物を避けたいカップルと単身者の両方にとって、より多く、より良い収納という点で、変化する消費者ニーズに対応していることがわかります。

SDGs#11 住み続けられるまちづくりを




IAUD国際デザイン賞2023 学生デザインチャレンジ優秀賞(1件)


コミュニケーションデザイン部門
点字・指文字の理解を深めるアプリケーション
後藤 優奈:日本

Photo:点字・指文字の理解を深めるアプリケーション

ほとんどの人は点字や指文字を学ぶ機会が少ないため、この方法しかない人と十分にコミュニケーションをすることができません。この問題に対処するため、後藤優奈さんは点字と指文字を楽しく簡単に学べるアプリケーションを作成し、これらのコミュニケーション方法に対する人々の理解を深めることを願っています。

審査員のコメント:
この生徒のアプローチは、点字や指文字に対する人々の認識を変えることが可能であり、彼女の共感力と創造性に審査員は強く感銘を受けました。候補者の年齢を考慮すると、さらに素晴らしいプロジェクトだと言えます。

SDGs#3 すべての人に健康と福祉をSDGs#4 質の高い教育をみんなにSDGs#10 人や国の不平等をなくそう




IAUD国際デザイン賞2023 学生デザインチャレンジ賞(1件)


プロダクトデザイン部門
A+Children's clothes hanger
[A+チルドレン(自閉症の子供)用洋服ハンガー]

Fujian Agriculture And Forestry University (Shunbin Zhou/Chenxin Yang/Jun Huang):中国

自閉症の子供たちにとって最大の課題は、社会的な対話とコミュニケーションスキルの不足です。このフロアスタンド型デザインの洋服ハンガーは、音の共鳴の原理を利用し、楽しいゲーム感覚で自閉症の子供たちが積極的に聞くことに興味を持ち、社会的な対話への欲求が高まるため、効果的なコミュニケーションスキルを育みます。

審査員のコメント:
アイデアと意図は優れていますが、このプロジェクトにはユーザー参加が不足しており、デザインソリューションとしては説得力に欠けます。

SDGs#4 質の高い教育をみんなにSDGs#10 人や国の不平等をなくそうSDGs#11 住み続けられるまちづくりを



IAUD国際デザイン賞2023 大賞(1件)
IAUD国際デザイン賞2023 金賞(12件)
IAUD国際デザイン賞2023 銀賞(9件)
IAUD国際デザイン賞2023 銅賞(10件)
IAUD国際デザイン賞2023 学生デザインチャレンジ優秀賞(1件)
IAUD国際デザイン賞2023 学生デザインチャレンジ賞(1件)
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