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IAUD国際デザイン賞2022 審査講評

2023.03.01掲載

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IAUD国際デザイン賞2022 審査委員長からのメッセージ

IAUD国際デザイン賞2022 審査委員長/ノルウェイ EIDDデザインフォーオール・ヨーロッパ理事/イノベーションフォーオール AS 創設者)
オンニ・エイクハウグ


写真:エイクハウグ氏
審査委員長のエイクハウグ氏

IAUD国際デザイン賞は、ユニヴァーサルデザインの理念に基づき、優れた模範となるプロジェクトや製品、サーヴィスを表彰する、世界で唯一の国際的な賞です。製品、サーヴィス、環境を開発する際の社会的なニーズや人類としての視点の重要性を強調しています。この賞の本質は、多様性と包摂性にあります。これらは、国連のSDGsで定義されている3つの主要な持続可能性の柱― 社会、経済、環境を理解する上で非常に大切です。

現在の世界情勢や世界中の人々が経験している困難な状況を考えると今後の見通しがよくないように思われます。人々は困難に遭遇しており、日々新しい課題に悩まされています。その状況は私たち全員同じですが、中でも最も社会の中で排除され、疎外されている人々が一番苦労しているのです。

ニュースを観るのが怖いと感じることもよくありますが、しかし、ありがたいことに、グローバル・コミュニティは協力しています。私たちには問題に対して効果的な解決策を見つけ、現状を改善しようとするイニシアチブ、行動、そして強い意志があるのです。デザインはここで大切な役割を担っています。デザインによって、社会のニーズを理解し、多様な人々を明確に理解することができます。重要なのは、デザインとはインパクトであるということです。デザインは、刺激的で想像力豊かな方法で現実の問題を解決するための強固で包摂的な方法を導き出してくれます。これこそがユニヴァーサルデザインの核心です。これが私たちの仕事です。

日本はユニヴァーサルデザインの長い伝統があり、ビジネスでも行政でも活用されています。日本の大企業はユニヴァーサルデザインを開発・イノベーション戦略の一環として導入し、開発の各段階で実際のユーザーに協力してもらい、テストをしてきたという長い歴史があります。ユーザーへの共感と細部への配慮が大きな違いを生み出しました。その結果しばしば、製品や公共サーヴィスなど、さまざまな分野で新しいスタンダードを確立する革新的なソリューションが導きだされました。IAUDがこの国際デザイン賞を通じて日本と世界のプロジェクトを紹介することは、国際社会にとって、またユニヴァーサルデザインの概念を推進する上で、大きな価値があります。

今年の受賞作品は、幅広い分野、デザイン領域、セクターを代表しています。これらの受賞作品は、ユニヴァ―サルで包摂的なデザインプロセスを実践することで、新しい発明や革新がよりすばらしく、よりユーザー中心で、より大きな価値を生み出すことができるということを示しています。その恩恵は、個人だけでなく、ビジネスや社会にも、さまざまところまで及んでいます。私たちは、新しいサーヴィスを通じて、多様な人々が自立し、持続的に生活できるようにする社会革新プロジェクトに賞を授与しています。

デジタル技術、特にAIの活用は今後期待できます。新旧の問題に対して刺激的で包摂的なソリューションを提供し、今後数年間のイノベーションのための大きな可能性と機会があるでしょう。しかし、それは人間の多様性や包摂性の重要性を反映したユニヴァーサルデザインの観点に基づくものでなければならず、開発者はその責任を真剣に受け止めなければならないのです。インクルーシヴでユーザー中心のコンセプトを作るためには、メインストリーム、いわゆる多数派や標準的な人に焦点を合わせることがいい出発点とは言えないのです。

今年度のIAUD国際デザイン賞の審査員会は、まったく異なるカテゴリーのプロジェクト2つを大賞に選びました。双方ともユニヴァーサルデザインの優れた先駆的な事例です。ユーザーニーズのリサーチと深い洞察が、いかに素晴らしい結果をもたらすかを示しています。開発の段階ごとに適切なツールと方法を用いて行った様々なユーザーグループを巻き込んだインクルーシヴデザインのプロセスは、教科書に載るくらい価値のあるものです。ベルゲン大学は、公共エリアにおける修復と複雑な建築プロジェクトの研究であり、学生にとってもスタッフにとっても成功例となりました。もう一つの受賞者であるHSBCは、国際的な大手金融機関であり、全社員を対象にアクセシビリティに関する意識向上と研修プログラムを実施するという野心的な目標を掲げています。

すべての受賞者のみなさま、おめでとうございます、そしてお疲れさまでした。誠実で責任感のある審査をして下さった審査委員の皆様、この賞を運営してくださったIAUDの皆様、本当にありがとうございました。皆様、審査委員の評価に基づく、それぞれの受賞作品に対する講評をじっくりとご覧になってください。とっても感銘を受けるはずです。

ありがとうございました。



IAUD国際デザイン賞2022 大賞(2件)
IAUD国際デザイン賞2022 金賞(8件)
IAUD国際デザイン賞2022 銀賞(8件)
IAUD国際デザイン賞2022 銅賞(4件)
IAUD国際デザイン賞2022 学生デザインチャレンジ賞(1件)
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審査基準

「ユニヴァーサルデザイン(UD)の理念を掲げ、その成果として優れた活動が提案、または遂行されていること」を主たる選考理念とし、理念実践とその成果である活動行為の両面で審査し、総合的に評価しました。なお、応募要項に記載されている審査基準および本質的目標も重視されました。

  • 斬新で躍動的な、ユニヴァーサルデザインの新境地を開くものであること
  • 市場から排除されがちな障害者等との密接な関係を基にした質の高いユーザー中心の研究が認められること
  • 特定のユーザーグループが技術革新から取り残されないよう配慮されていること
  • 多様なユーザーグループに属する特殊な問題を捉え解決策を提供するなど、従来の「ユーザビリティ」を超える提案であること
  • 企業の全社的なビジョンと継続的な改善計画に基づいたUDへの長期的組織的実践が示されていること
  • 誠実で説得力のある説明資料に裏付けされていること


本質的目標

  1. サステイナブルとユニヴァーサル~持続可能な共生社会創造のための理念と実践
  2. 多様性と包摂性~伝統、文化、生活様式、そして人間の多様性を理解し、少数を排除せず、積極的に包含することで、質的に豊かで幸福な暮らしを実現する
  3. 安全・安心な社会~人権を守り人間性を尊重した社会の仕組み、制度、モラルの構築
  4. 自発的、かつ持続的な対話~企業・行政・研究機関・NPO、そして生活者間の継続的な交流、及び関係の構築
  5. 世代を超えた知恵と技の継承~ユニヴァーサルデザインの普及啓発により次世代を担う人材を育成する



IAUD国際デザイン賞2022審査委員会

審査委員長: オンニ・エイクハウグ(ノルウェイ EIDDデザインフォーオール・ヨーロッパ理事/イノベーションフォーオール AS 創設者)
副委員長: 益田文和(株式会社オープンハウス代表取締役/名古屋学芸大学客員教授)
審査顧問: ロジャー・コールマン(英国王立芸術大学院名誉教授)
審査委員: フランセスク・アラガイ(スペイン デザインフォーオールインターナショナル代表/プロアソリューションズ S.L. 創設者)
同: トーマス・バーデ(ドイツ IUDユニヴァーサルデザイン研究所  創設者/顧問)
同: ヴァレリー・フレッチャー(米国人間中心デザイン研究所所長)
同: ラーマ・ギーラオ(英国王立芸術大学院ヘレンハムリンセンター所長)
同: アンティカ・サワスリ (タイ モンクット王工科大学建築学部長・教授)
同: 川原啓嗣(名古屋学芸大学名誉教授/一般財団法人国際ユニヴァーサルデザイン協議会専務理事)


SDGsの表示について

UDの基本理念である包摂性(inclusivity)は「誰一人取り残さない」というSDGsの原則と一致します。つまり、UDとSDGsとは連動していると言えます。そのことを、より分かりやすくするために各受賞作品と関係の深いSDGsの目標を表示しています。

SDGs#1 貧困をなくそうSDGs#2 飢餓をゼロにSDGs#3 すべての人に健康と福祉をSDGs#4 質の高い教育をみんなにSDGs#5 ジェンダー平等を実現しようSDGs#6 安全な水とトイレを世界中にSDGs#7 エネルギーをみんなに そしてクリーンにSDGs#8 働きがいも経済成長もSDGs#9 産業と技術革新の基盤をつくろうSDGs#10 人や国の不平等をなくそうSDGs#11 住み続けられるまちづくりをSDGs#12 つくる責任 つかう責任SDGs#13 気候変動に具体的な対策をSDGs#14 海の豊かさを守ろうSDGs#15 陸の豊かさも守ろうSDGs#16 平和と公正をすべての人にSDGs#17 パートナーシップで目標を達成しよう






IAUD国際デザイン賞2022 大賞(2件)

住宅・建築部門
Western Norway University of Applied Sciences - Campus Kronstad
(西ノルウェー応用科学大学 (HVL) クロンスタッドキャンパス )

Metropolis arkitektur & design AS (interior designer) / HLM arkitekter AS (architect 2014) / L2 arkitekter AS (architect 2020) / Statsbygg (owner/builder) / Høgskulen på Vestlandet/Western Norway University of Applied Sciences:ノルウェー

Photo:Western Norway University of Applied Sciences - Campus Kronstad

ベルゲン大学クロンスタッドキャンパス(現在は西ノルウェー応用科学大学HVL校の一部)は、インクルーシヴデザインの原則を採用したパイオニアとして知られ、授業中も授業外もすべての人のための学習を提唱しています。このクロンスタットキャンパスプロジェクトは、文化遺産である古い建物の修復と新しい建物の設計・建設を組み合わせて、一つの統合されたキャンパス環境と施設を作り上げています。

この大規模なプロジェクトでは、設計戦略から調達に至るまで、ユニヴァーサルデザインに焦点を当てています。また、ユーザーグループやステークホルダーとの密接な関わりも重視しました。過去と未来、古いものと新しいもの、大学とその近隣地域を「つなぐ」ことがこのプロジェクトのキーワードです。

審査委員会は、クロンシュタット・キャンパスを、ユーザー関与のプロセスを通じて実現されたユニヴァーサルデザイン施設の優れた例として、満場一致で承認しました。照明や家具などを含む重要な特徴を統一し、全体的なまとまりを表現しています。ノルウェーで大規模プロジェクトにユニヴァーサルデザインを適用したパイオニアであり、ユーザー関与を非常に大切にしていることは賞賛に値します。

SDGs#4 質の高い教育をみんなにSDGs#7 エネルギーをみんなに そしてクリーンにSDGs#10 人や国の不平等をなくそうSDGs#11 住み続けられるまちづくりをSDGs#12 つくる責任 つかう責任

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コミュニケーションデザイン部門
HSBC Accessibility Hub
(HSBC アクセシビリティハブ)

HSBC:英国

Photo: HSBC Accessibility Hub

HSBCは世界で最もデジタル面でアクセスしやすい金融サーヴィスプロバイダーになることを目指しています。これは約25万人のスタッフ、請負業者、サプライヤーが業務においてユニヴァーサルデザインの理念を実践する必要があることを意味しています。この目標を達成するため、HSBCは世界中の従業員、請負業者やサプライヤーネットワークに必要なトレーニングを提供しようと、「アクセシビリティ入門eラーニング」コースを作りました。この教材は、開発の初期段階から実施直前まで、実際のユーザーに関わって頂き、それに基づきストーリー性のある教材となっています。金融ツールやサービスの開発における同社のユニヴァーサルデザイン・アプローチは、称賛に値するだけでなく、健全なビジネスセンスでもあります。

審査委員会は、HSBCアクセシビリティハブを、世界をリードする大手金融機関による包摂的なスタッフトレーニング・プログラムの優れた例であると評価しました。HSBC は、金融セクターおよび企業全体にベンチマークを示すことができる世界的な企業です。
この研修プログラムはまだトライアルの段階のようですが、審査委員は皆、HSBCが設定したグローバル規模の従業員のスキルアップという目標を称賛し、HSBCの目標に合った成果を得られることを願っています。

SDGs#8 働きがいも経済成長もSDGs#9 産業と技術革新の基盤をつくろうSDGs#10 人や国の不平等をなくそうSDGs#12 つくる責任 つかう責任SDGs#16 平和と公正をすべての人に





IAUD国際デザイン賞2022 金賞(8件)


ソーシャルインクルージョン部門
資生堂 ライフクオリティー メイクアップ
株式会社資生堂:日本

Photo:SHISEIDO LIFE QUALITY MAKEUP

生まれつきのあざ、病気や治療による見た目の変化、やけど跡や傷跡など、肌に深いお悩みがある方は多くいらっしゃいます。これらの悩みに応えるために、資生堂は通常のファンデーションではカバーが難しい肌のお悩みに対応するベースメークシリーズを開発しました。そして、このシリーズは個人個人に合わせてカウンセリングし、提供されます。

長年にわたる研究を通じて、資生堂は皮膚のトラブルと、そのトラブルが与える人々の日常生活への影響の分野で優れた知識を得てきました。顧客の健康を増進し、精神的ストレスを軽減するという資生堂の目標に、このベースメークアップシリーズとカスタマーサポートプログラム(カウンセリング)の組み合わせはぴったりです。肌に深い悩みを持つ人たちが不安を解消し、自分自身をより良く感じられるようにすることで、人付き合いや日常生活を楽しくすることに貢献しています。

このライフクォリティメークアップは、審査委員にとってもメイクアップのパワーと重要性を示すものでした。審査委員は、このイノベーションが世界的に広がっていく可能性があり、インクルーシヴなデザインと思考による継続的な製品開発の非常にいい例として、とてもわくわくするものであると評価しました。

SDGs#3 すべての人に健康と福祉をSDGs#5 ジェンダー平等を実現しようSDGs#10 人や国の不平等をなくそう

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ファッションデザイン部門
キヤスク: 身体の不自由な人への服のお直しサービス
株式会社コワードローブ/株式会社博報堂ケトル:日本

Photo: Kiyasuku

障害や病気などの理由で、自分の好みよりも「着やすいかどうか」を優先して着る服を選んでいる人のために考えられたのが、このオンラインの洋服お直しサービス「キヤスク」です。身体の不自由の有無にかかわらず、既製服を着やすくするお直しを、気軽に簡単に依頼できます。

このオンラインの洋服お直しサービス「キヤスク」は、インクルーシヴファッションの優れた一例で、すでに日本国内で他にも賞を受賞しています。このサービスは、ユーザ―リサーチとユーザー参加に基づいて開発され、2022年にスタートしました。好きなものを着られるということは、だれにでも与えられている自由ではありません。このサービスは、特定のニーズを持つ人々に、オーダーメイドに近い形で既製品の洋服のお直しをリーズナブルな価格で提供するものです。

審査委員からは、ファストファッションの代替として既製品の洋服に手を加えることは環境に優しく、このように身近で魅力的、リーズナブルな価格のサービスは、より多くの方が利用するようになるだろうとコメントがありました。

SDGs#10 人や国の不平等をなくそうSDGs#12 つくる責任 つかう責任

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ファッションデザイン部門
きものを介助無し座ったままで着付けできる瞬着きもの
ライナス有限会社:日本

Photo:new style of Kimono

着物は、日本の大切な文化遺産であり、アイデンティティーの一部です。着物は複雑な衣服であり、着るためには専門的な知識が必要で、今日では日本人でさえも難しいと感じる人が多いです。着物を着ることは大きな喜びをもたらすのに、着物を着ることが難しいと思う理由はいくつかあります。身体的なもの、技術的なもの、そして知識不足によるものなど、さまざまです。

ライナスが目指すのは、誰でも着られる着物のデザインを提供することで、着物文化の再興に貢献することです。どの年齢層の方にも、身体の不自由の有無にかかわらず、そして外国人の方にも、専門家の手を借りずに着て頂けるユニヴァーサルデザインの着物を開発しました。

審査委員会は、このプロジェクトを特に着物を着ることを困難に感じている人にとって、素晴らしいコンセプトであると評価しました。デザインも優れていて、純粋な愛好家だけでなく、より多くの人を取り込むことで、着物文化の活性化に貢献することができます。ライナスが開発したこの製品はより多くのユーザーを取り込むことで、この洗練された衣服文化を促進する文化的意義のあるUD製品です。ブラボー!

SDGs#10 人や国の不平等をなくそう

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医療・福祉部門
安心見まもりサポート MelCare
三菱電機株式会社:日本

Photo:MelCare

高齢者介護サーヴィス業界は、深刻な人手不足と業務負担の増大に直面しています。MelCare は、センサーを活用して入居者の状況をスタッフに知らせることができるため、夜間の訪問回数を減らすことができます。そして、転倒の有無、室内の空調、生活リズムを自然に見守り、そこで暮らす入居者やスタッフが安心して過ごせるようサポートしてくれます。

MelCareは、複数の介護施設のスタッフと入居者を対象にした大規模な調査をもとに、ストレスの軽減、スタッフの介護以外の業務負担の軽減、入居者の安全・安心な環境を確保することに重点を置いて開発されました。この見守りサポートシステムは、AI技術とインタラクションデザインをベースに、スタッフの負担軽減、入居者のプライバシー尊重を重視し、両者の生活の向上を目指しています。

同様のシステムが世界に存在するという指摘も審査委員の中でありましたが、現在深刻化している人手不足の問題に対する、より適切な代替案を見出そうとしている点を高く評価しました。重要なことは、その解決策は、人のケアに取って代わるものではなく、むしろ人のケアを手厚くすべきものであるということです。

SDGs#3 すべての人に健康と福祉をSDGs#8 働きがいも経済成長もSDGs#9 産業と技術革新の基盤をつくろうSDGs#10 人や国の不平等をなくそうSDGs#11 住み続けられるまちづくりを


インタラクションデザイン部門
SoundUDトリガーパネルおよび施設向けインターフォンサービス「スマホでインターホン」
ヤマハ株式会社:日本

Photo:Intercom via your Smartphone

駅や施設に設置されたパネルで構成されるインターホンシステムです。来訪者はパネルにスマートフォンをかざすだけで、係員と対話できます。環境にもやさしく感染症対策にも配慮したユニヴァーサルデザインで、外国人観光客も含む、あらゆる年齢層や、障害の有無にかかわらず、誰にでも利用できるサービスです。このシンプルで、ユニヴァーサルデザインに配慮しているインターホンシステムは、設置やメンテナンス、人件費のコストを節約しながら、従来のシステムにとって代われるだけではなく、多様なユーザーに対応することができます。

この革新的なソリューションは、無人の公共交通機関の駅など、幅広い用途で革命的な役割を担う可能性があると審査委員からコメントがありました。外国語対応や緊急通報ボタンなど、いくつかの機能を備えたシンプルなシステムなのですが、唯一の難点はスマートフォンが必要だということです。

SDGs#9 産業と技術革新の基盤をつくろうSDGs#10 人や国の不平等をなくそうSDGs#11 住み続けられるまちづくりをSDGs#12 つくる責任 つかう責任


コミュニケーションデザイン部門
社会課題の解決と多様性ある13万人の社員を包含した富士通のcorporate VI
富士通株式会社/Interbrand UK Limited/株式会社インターブランドジャパン:日本

Photo:Fujitsu's corporate VI

富士通はデジタル技術で競争力を高めながら、お客様とともに社会的課題への解決を推進する「DX企業」への変革を進めています。社内のインクルーシヴデザイン活動を通じて、世界中に広がる多くの拠点のアクセシビリティを向上させることを目指しており、そのコーポレート VI は、さまざまなステークホルダーが会社のスタンスをよりよく理解できることを目的としています。
  
富士通のコーポレートVIは、情報デザインに優れたフォーカスを当てており、最高の国際標準に合わせていることが印象的です。審査委員は、企業の方向性と使命を、技術中心から、包摂的なデザイン活動とステークホルダーとの関わりを通じて、社会のサステナビリティに基づくものにシフトしている点を高く評価しました。

SDGs#8 働きがいも経済成長もSDGs#10 人や国の不平等をなくそうSDGs#12 つくる責任 つかう責任

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コミュニケーションデザイン部門
UD online library: Securing sustainability and expandability of UD through the online UD guideline
(UDオンラインライブラリー:オンラインUDガイドラインによるUDの持続性・拡張性の確保)
Seoul Metropolitan Government (Design Policy Division) / Seoul Universal Design Center:韓国

Photo:UD online library

このUDオンラインライブラリーは、素早い検索や画像の即時配信などの機能によって、簡単なコミュニケーションツールを提供しています。音声読み上げ機能、拡大表示、高コントラスト変換、自動翻訳などのツールにより、データベースのアクセシビリティを大幅に向上させました。また、画像や事例などの情報を簡単に添付することができるため、メンテナンスも容易です。

審査委員会は、このオンラインライブラリーを「他の人々にインスピレーションを与えるソリューションであり、包括的にデザインされたデータベース。事例やケーススタディを含むユニヴァーサルデザイン要件に関する関係者や意思決定者のための情報ツールである」と評しました。

審査委員の一人がコメントしているように、ソウルで実施されているユニヴァーサルデザインをよりスマートに進化させています。イラストにこだわり、レスポンシブデザインを採用したことで、現場での使い勝手がよく、また、オンライン化されたことで、世界中の人々に広がっていくことでしょう。

SDGs#4 質の高い教育をみんなにSDGs#9 産業と技術革新の基盤をつくろうSDGs#10 人や国の不平等をなくそう

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未来への提案部門
電車の音、初めて知った。「エキマトペ」
富士通株式会社:日本

Photo:EKIMATOPEIA

エキマトペは駅のアナウンスや電車の音といった環境音を、文字や手話、オノマトペとしてディスプレイに視覚化する装置です。富士通は、このプロジェクトを開発するために、川崎市立聾学校の生徒たちと一緒に聴覚障害者が、必要な情報をタイムリーに感じ取る事ができる安全安心な駅利用を目指して、アイデアを出し合いました。

審査委員会は、「エキマトペ」を遊び心にあふれ、様々な人々に役立つ価値のあるものと評価しました。オノマトペに着目したデザインは、「共生社会にむけた装置」というネーミングと同様、素晴らしいアイデアです。このコンセプトは、アニメや漫画にインスパイアされ、聴覚障害者だけでなく、子どもやお年寄り、脳に障害のある人たちにもアピールすることができ、大きな助けとなることでしょう。

SDGs#9 産業と技術革新の基盤をつくろうSDGs#10 人や国の不平等をなくそうSDGs#11 住み続けられるまちづくりを

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IAUD国際デザイン賞2022 銀賞(8件)


教育部門
An inclusive music education model
(インクルーシヴ音楽教育モデル)

Dr. Francisco Borro Reverendo:スペイン

IAUD国際デザイン賞2020で銅賞を受賞した際の審査委員会の推薦を受けて、インクルーシヴ音楽教育モデルは、EMMD Pozuelo de AlarcónやTeatro Real de Madridなど、スペインのいくつかのセンターで実践されています。社会的包摂の一例として、音楽教育モデルは、異なる能力を持つ音楽家が同じ時間と空間の中で共通の音楽を共有することを可能にし、社会の多様性への扉を開くものです。
 
審査委員会は、音楽の共同制作と共同演奏という点で非常に強力であることを証明できる興味深い教育モデルであると評価しました。この取り組みは革新的で、異なる能力を持つ音楽家同士も共有できます。とても心強いのは、この取り組みが実際に実施されていることです。審査委員は、この脅威育モデルの開発自体にユーザーが密接に関与していることを高く評価しました。

SDGs#4 質の高い教育をみんなにSDGs#10 人や国の不平等をなくそう


教育部門
Digital Proficiency Questionnaire (DPQ) & A Custom Training Program
(デジタル能力アンケート (DPQ) とカスタム トレーニング プログラム)

Shekulo Tov Group:イスラエル

障害者のソーシャルインクルージョンを阻む最も一般的な障壁の一つは、プログラム、アプリケーション、知識の習得など、デジタルプラットフォームに対する理解とアクセスの欠如です。このトレーニングプログラムは、今まで排除されてきた人々のデジタルに対する習熟度をチェックし、それぞれのレベルにあった適切なトレーニングを提供することで、デジタル習熟度の向上を支援するものです。

このアンケートの作成は、ユーザー調査やユーザー参加に基づくもので、その結果、多様な障害者にデジタル技術を提供できる、より適切でより優れた教育プログラムになりました。

ただし、審査委員からは「この種のものとしては優れているが、グローバルな文脈では必ずしも革新的とはいえない」というコメントがありました。

SDGs#4 質の高い教育をみんなにSDGs#8 働きがいも経済成長もSDGs#9 産業と技術革新の基盤をつくろうSDGs#10 人や国の不平等をなくそうSDGs#12 つくる責任 つかう責任


教育部門
Tactile Graphic Books of Chinese Language for Primary School
(中国の小学校国語教科書の触知図形補助教材)

Dalian Minzu University / Guangdong Ocean University / Multi Sensation Design Studio
(大連民族大学/広東海洋大学/多感覚デザインスタジオ):中国

視覚障害者を想定し、小学生向けの中国語を使用した多感覚中国語教材です。この製作のために、触覚・聴覚・視覚の三位一体融合グラフィック80セットを、対象者のニーズに細心の注意を払って、デザインしています。また、これは中国の公式出版物としては初めて触感グラフィックを活用した教材だということも重要なポイントです。

審査委員会は、この作品は視覚障害児のための刺激的で徹底的にデザインされた教材であり、この分野での大きな一歩となると評価しました。技術という点では、世界的には目新しくないかもしれませんが、中国語を話す多くの視覚障害児に大きな影響を与える可能性があります。

SDGs#4 質の高い教育をみんなにSDGs#10 人や国の不平等をなくそう


教育部門
Development of 3D printed educational materials for visually impaired students
(視覚障がい者のための3Dプリント教材の開発)

UD DREAM FACTORY (Universal Design Dream Factory) / Hankyong National University:韓国

目の不自由な生徒が、従来の印刷物から動物や植物、有名な建造物などを認識・理解することはほとんど不可能です。そこで、これらの困難に対処するために3Dプリンターで物体を製作し、点字板を設置することで、障害のある生徒が物体を詳細に理解することをサポートします。
  
これは、目の不自由な生徒にとって、教育や学習を容易にし、物や動物の動きに対する理解を深めることで、障害のない生徒との学習ギャップを埋めるのに役立つ教育ツールです。

審査委員会は、このプロジェクトは、目の不自由な子どもたちに物の形を伝えるという3Dプリンティングの価値を最大限に引き出す重要なステップだと評価しました。最終的な学習価値は、アイテムの選択、3Dプリントでの再現の品質、そして使用するコンテンツや内容によって異なりますが、この技術を応用して視覚障害児のアクセシビリティを高めたことは興味深い前進と言えます。

SDGs#4 質の高い教育をみんなにSDGs#10 人や国の不平等をなくそう


インタラクションデザイン部門
カタログポケット
株式会社モリサワ:日本

カタログポケットは、日本語で作成された印刷用のデータを、英語、中国語簡体字・繁体字、韓国語、タイ語、ポルトガル語、スペイン語、インドネシア語、ベトナム語の最大9言語(2022年7月時点)へ翻訳し、音声読み上げにも対応をしたデジタルブックとして配信することができるツールであり、デジタル技術を活用した質の高い情報発信を実現します。

これは、訪日外国人を含め、すべての人が日本語の印刷データにアクセスするための非常に実用的なツールのようです。ただ、審査委員からは、提出された資料はどちらかというとマーケティング志向だったので、もっとデジタル・アクセシビリティへの取り組みが見られたら、なお良かったでしょうとコメントがありました。

SDGs#9 産業と技術革新の基盤をつくろうSDGs#10 人や国の不平等をなくそう

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インタラクションデザイン部門
あなたそっくりのコエでたくさんのおはなしを読み聞かせ coemo (コエモ)
株式会社タカラトミー:日本

「coemo」は、ママやパパそっくりの合成音声で物語を読み聞かせしてくれる玩具です。最新のAI音声合成技術を活用しており、感情や抑揚も表現できます。「読み聞かせの機会をより多くのお子さんに」という信念のもと、玩具や専用アプリに視覚障害者の方にも楽しんでいただける工夫を凝らしています。

これは視覚障害者で本を読むことができない親が、自分の声を事前に録音して、子どもに読み聞かせをすることができる可能性を秘めた、賢いアイデアです。また、録音しておけば、夜に電気をつけて自分で読まずに、子供と一緒に本を楽しむことができます。ただし、音声のクオリティに依存するため、審査委員から実際の音声のサンプルを聞いてみたいという意見がありました。

SDGs#4 質の高い教育をみんなにSDGs#10 人や国の不平等をなくそう

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インタラクションデザイン部門
家族によるパソコンのリモートサポートをお手伝い 「ふくまろおしえて」 クイックアシスト支援機能(デジタル弱者支援サービス)
富士通株式会社/富士通クライアントコンピューティング株式会社:日本

このサービスは無料で、離れて暮らす家族でパソコン操作やデジタル活用で困っている人を、家族がサポートする(逆の場合もあり)というシンプルなツールです。AIアシスタントの「ふくまろ」が、フレンドリーに仲介してくれ、困っている人と教える人の双方の心理的・PCリテラシーの障壁を取り除く手助けをしてくれます。

審査委員会は、このAIベースのデジタルアシスタントについて、いわゆる「カスタマーサービス」を利用する際に感じることが多いフラストレーションを解消し、デジタル技術に詳しくないユーザーを家族が遠隔で簡単にサポートできるシンプルなツールであると評価しました。コンピュータに詳しくない人が助けを必要とするときに無料で利用できる実用的なサービスです。

SDGs#4 質の高い教育をみんなにSDGs#8 働きがいも経済成長もSDGs#9 産業と技術革新の基盤をつくろうSDGs#10 人や国の不平等をなくそう


公共空間デザイン部門
インクルーシブ遊具「フレディ」
株式会社 アネビー:日本

大人数の子供対応のブランコ遊具です。体重によって変形する座面、押したり引いたりするロープの配置の仕方が、子どもたちのスキンシップや協調性・共感を引き出します。この遊具を利用するのに高い身体能力は必要としないので、身体能力に差がある子供たちも一緒に遊ぶことができ、また高齢者のリハビリにも利用することができます。

審査委員会は、「フレディ」を異なる能力の子どもたちが一緒に楽しく遊べる、インクルーシヴ遊具の優れた一例だと評価しました。近年、日本でもインクルーシヴな公園ができていて、インクルーシヴ社会の実現に向けた最良のソリューションとされています。そうユニークな製品ではないが、多様なユーザーによる入念なテストを経て、イギリスとヨーロッパの規格に適合しており、よく考えられた製品と言えます。

SDGs#4 質の高い教育をみんなにSDGs#10 人や国の不平等をなくそう






IAUD国際デザイン賞2022 銅賞(4件)


プロダクトデザイン部門
らくらくスマートフォン F-52B
富士通株式会社/FCNT株式会社:日本

らくらくスマートフォンF-52Bは、高齢者のデジタル化への対応と拡大するデジタルデバイドの解消を支援し、日常生活をより豊かにすることを目的に開発された5Gスマートフォンです。
富士通の目標は、スマートフォンを通して『時代に合わせたサービス体験』や『最新のテクノロジーを使いこなす喜び』を提供することで、誰もが安心して使えるように、使いやすさにこだわってデザインしています。

これは「らくらくスマートフォン」のアップデートで、デザインとアプリケーションの両方で継続的に製品を改良し、ユーザーエクスペリエンスとインタラクションを更新している好例です。新しく、適切な、わかりやすい機能は、高齢者のデジタル社会への参加を促します。特に、「マスク通話モード」は審査委員から高く評価されていました。

SDGs#9 産業と技術革新の基盤をつくろうSDGs#10 人や国の不平等をなくそうSDGs#11 住み続けられるまちづくりを


プロダクトデザイン部門
6ドア冷蔵冷凍庫 MR-MZ・WZシリーズ
三菱電機株式会社:日本

コロナ禍で増えたまとめ買いニーズに対応するため、三菱電機はWZシリーズの冷蔵庫を外形寸法を変えることなく内部容積を拡大しました。また、冷蔵庫の中身がよく見えるので、食材の整理がしやすく、家事の分担もしやすくなっており、使いやすい中央部は、ライフスタイルに合わせて野菜室にするか冷凍室にするか選べます。

審査委員会は、多様なユーザーのライフスタイルやニーズの変化に対応し、継続的に製品改良に取り組んでいる三菱電機の姿勢を評価しました。デザインもよく考えられており、中身が見やすく、取り出しやすい工夫が施されています。特に、過冷却現象を応用した三菱独自の技術で、食品を氷点下なのに凍らせず、肉や魚の鮮度を長く保ち、解凍時間を短縮できる機能は、審査委員から高く評価されました。

SDGs#9 産業と技術革新の基盤をつくろうSDGs#12 つくる責任 つかう責任

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プロダクトデザイン部門
エアコン向けリモコンのデザイン統一
三菱電機株式会社:日本

2018年に、三菱電機の「エアコン向けリモコンの開発」は、UDの理念に基づく標準的なリモコンの出発点として取り上げられ、IAUD国際デザイン賞を受賞しました。このプロジェクトの目標は、ユニヴァーサルデザインの原則に基づいたさまざまな標準化されたソリューションを通じて、エアコンのリモコンをシンプルかつ直感的に操作できるようにすることでした。

今回の銅賞は、主に設計の標準化に対して授与されました。ユニヴァ―サルデザインの原則に沿って、同一家庭内の機種違いの三菱エアコンのリモコンの使いやすさを向上させたことが評価されました。審査委員から、詳しく評価するためにはUDの原則がどのように適用されているのか、また、デザインスタンダードをどのようにユーザーの多様性に適応させ、調整したのかについての説明がもう少し欲しかったというコメントがありました。

SDGs#9 産業と技術革新の基盤をつくろうSDGs#12 つくる責任 つかう責任

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プロダクトデザイン部門
「もう一つの頭脳」をコンセプトとした超軽量薄型電子ペーパー端末 【QUADERNO】
富士通クライアントコンピューティング株式会社/富士通株式会社:日本

QUADERNOは、思考を深める「もうひとつの脳」をコンセプトに、アナログとデジタルを融合させ、常に持ち歩くツールとして「携帯性」「書きやすさ」「読みやすさ」を追求した超軽量・薄型電子ペーパーターミナルです。

審査委員会は、QUADERNOを幅広いユーザーにとって興味深く役に立つツールであり、素晴らしい製品であると評価しました。思考プロセスと書くプロセスは分離可能であるため、QUADERNOの表面の質感が紙の質感に似ていることが、書くための脳へのサポート刺激と判断され、さらに思考を深めることができます。液晶モニターに比べ、目にやさしく、省電力な電子ペーパーデバイスです。しかし、類似の製品が既に市場に存在していることもあり、ユニヴァーサルデザインの特徴やインクルージョンの利点がもっと述べられていたら良かったという意見がありました。

SDGs#8 働きがいも経済成長もSDGs#9 産業と技術革新の基盤をつくろう




IAUD国際デザイン賞2022 学生デザインチャレンジ賞(1件)


プロダクトデザイン部門
Knuttle – universal electric water kettle
(Knuttleーユニヴァーサル電気ケトル)

Yu-Chang Wu (Hochschule Hannover - University of Applied Sciences and Arts):ドイツ

Kunuttleは、触覚機能によって聴覚や視覚に障害のある方々のニーズに特に応えます。ケトルのセンサーを利用して、電磁石で水量を計ることができます。また、ケトルの背面から直接温度設定ができるのも特徴です。

審査委員会は、Kunettle をユニヴァーサルデザインに配慮してデザインされ、触覚機能を備えた直感的でスマートな製品で、一般市場でも十分通用すると評価しました。しかし、もっとより多くのユーザーを開発プロセスに巻き込み、最終的なソリューションの具体的な機能に繋がる洞察をレポートにまとめられると有意義だという意見がありました。

SDGs#10 人や国の不平等をなくそう



IAUD国際デザイン賞2022 大賞(2件)
IAUD国際デザイン賞2022 金賞(8件)
IAUD国際デザイン賞2022 銀賞(8件)
IAUD国際デザイン賞2022 銅賞(4件)
IAUD国際デザイン賞2022 学生デザインチャレンジ賞(1件)
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