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ワークスタイルプロジェクト 2015年度成果報告

2016.07.06掲載

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室井 哲也副主査

これまでの活動

室井 哲也副主査

私たちワークスタイルプロジェクトは、様々な特性を持つすべての人が気持ちよく働ける未来のワークスタイルの実現を目指して活動を続けてきました。

活動開始当初は「会議のUD」に取り組み、冊子を作って配布しました。この冊子は現在でもIAUDのサイトからダウンロードが可能です。
次に筑波技術大学と共同で個人認証のUDについて研究し、2010年の国際会議で発表しました。

そして2011年からは「多様な働き方」について調査、分析しています。カタリストBAや2014年の国際会議でワークショップを開いて、外部の方にも参加いただき、議論を重ねてきました。



多様な働き方

図:多様な働き方

私たちが「多様な働き方」として取り上げ、調査してきたものは、在宅勤務、育児などによる時短勤務、オフィスの外のいろいろな場所で働くノマド、自分で起業する、違う会社の人が一緒のオフィスで働くコワーキング、子連れで出社する、などです。

そして2014年からは、特に「仕事の複線化」と「シニアの就労」に着目し、「多様な働き方」から「生きがい、働きがい」を研究しました。



仕事の複線化 「二枚目の名刺」

2015年8月にNPO法人「二枚目の名刺」の活動について、ワークショップを開催しました。
「二枚目の名刺」は、「たくさんの刺激を社会人に、そして社会に」をキーワードに、社会人がNPOを通して成長し、社会人が当たり前のように2枚目の名刺を持つことを目指しており、サポートプロジェクトやコモンルームなどの活動をしています。

その後のワークショップでは、「社会人の多くはやりたいことがわからないと悩んでいる」「何かに全力で踏み込むという自信がない」「本業を辞めずにチャレンジできるとしたら、多くの人が踏み込んでいける」「本業で手を抜かず、会社の中で価値を出せる人間を目指すことに大きな意味を持つ」などの議論がありました。



ワークストーリー

ワークストーリー

上図は私たちがお招きした方々に書いてもらっている「ワークストーリー」を模式的に表したものです。
横軸が時間軸で、基本的には働き始めた時期から現在までとしています。
縦軸はやりがいやモチベーションなどの気持ちを表したもので、上に行くほど元気一杯で盛り上がっていることを示し、逆に下側にぶれる場合は心身ともに元気がない状態を示しています。

この例では、就職して、仕事が慣れてくるにつれて自信がついて上に行きますが、病気で入院したり、転勤、単身赴任ということが原因で下がっています。
これを自分で書いてみると、自分がどういう状況のときに元気になるのか、どんなことが嫌なのか、ということに自分で気付くようになります。
また、他の人のワークストーリーを見て、自分だったらどうだろう、と考えることができます。

ワークストーリーの特性上、特に高齢の方のお話が興味深く、これまで高齢の方々にお話を伺ってきました。



シニアの就労 「シルバー人材センター」

「シルバー人材センター」は高年齢者の自主的な団体で、臨時的な仕事を請負や委任の形式で行なうもので、全国に約1300か所、会員数は約72万人となっています。
私たちは、シルバー人材センターで働いている人を、定例会や2014年の国際会議でのワークショップにお呼びしてお話を伺い、ワークストーリーを作ってもらいました。

お呼びしたのは、特別な人ではなくごく普通の方ですが、皆さんすべてが非常に豊かな経験をしていました。
そして、「誰にでも何回かつらい時期がある」「今が嫌、というだけならその仕事は辞めない方が良い」「いくつになっても働くことに喜びがある」など、後輩へのエールを伺うことができました。

しかし、シルバー人材センターにも課題がありました。多くのシルバー会員の希望は事務の仕事ですが、実際に依頼される仕事は清掃や草むしり、駐輪場の管理など、大きな違いがあり、会員数は2009年をピークに頭打ちの状態にありました。
そこで、全国シルバー人材センター事業協会とリコージャパンの協業により、高齢技術者のITスキルを活かした、新しい仕事を提供できるようになりました。
PCやプリンタの設置作業の仕事を切り出して、正社員が残業する代わりにシルバー会員に任せることで、企業側はコスト的に負担が少なくなります。

一方、シルバー会員は肉体的な負担の少なく、専門的スキルを活かした仕事ができます。また、月に何回かスーツを着ると心身ともに元気になり、働く喜びが見出せるなど、シルバー会員の声も知りました



今後の展開

住空間プロジェクトとコラボレーションして、仕事だけでなく、暮らしまで広げて検討していきます。
また、2020年に新しいワークスタイルの提言ができるよう、様々な特性を持った人が気持ち良く働けるための仕掛けを研究します。

さらに、結婚、育児、転勤、事故・病気のときの「次なる一歩」のために、ワークストーリーのライブラリー化などの活動を行っていきます。




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