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移動空間プロジェクト 2015年度成果報告

2016.07.06掲載

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伊藤 聡一 主査

活動の歩み

伊藤 聡一 主査

「誰もが行きたいところへ、安全に、快適に移動できること」をテーマに、これまで「シームレスモビリティ」の実現に向けて活動してきました。

移動の継ぎ目(シーム)における「情報の分断や散在」が問題と捉え、それを解決して、情報の継ぎ目を感じない移動環境を目指していきたいと考えています。

2004年より、移動情報UD調査を主要駅や空港で実施してきました。また、移動情報UD調査シートの作成を作成しました。

そして、2014年の国際会議でのワークショップ実施を機に、より開かれた形でワークショップを開催して、調査と交流を軸に活動をしています。



調査手法の概要と改善点

基本としている従来の手法は、2人1組によるタスク実行型聞き上げ調査です。行動観察とヒアリングで調査シートに記入していきます。


図:調査手法の概要と改善点

事前にメンバーで調査し、シナリオの設定をします。それに基づき、被験者と街を歩くことで、その方が何を見てどう感じたのか調査します。シナリオに基づいた調査結果は集計、分析もしやすいため効率的に行えます。

しかし、事前にシナリオ設定しているため、想定外に生じる問題や、気づきに対応できないことがありました。そんなとき、オープンな形でワークショップを行うことで、私たちも気づくことができるようになりました。



ワークショップ「公共空間の移動をしやすくする情報について考える」

2015年9月にメディアのUDPJと合同で、アリゾナ州立大学の学生とワークショップを実施し、公共交通の案内や標識の問題点や良い点などを見つけるフィールド調査を行いました。

学生にはカラーUDの視点で色弱模擬フィルター「バリアントール」を装着してもらい、実際に障害者がどのような見え方をしているのかを体験してもらいました。
この時は大きなシナリオを設定せず、自由な意見を発信してもらい、我々も一観光者として回るようにしました。

ワークショップでは、外国人も含め自由闊達な意見交換があり、多くの気づきを得られました。


図:ワークショップ with アリゾナ大学


ワークショップ「バスピクトグラムの有効性」

2016年2月には横浜市相鉄いずみの線緑園都市駅で、実証実験で使われていたバスのピクトグラムの有効性を調査し、外国人を含む旅行者や地元の人達にとってのバスの利用しやすさを検証しました。

メンバーと一般参加者(スペインからのインターン含む)と緑園都市を中心にした周回バスを利用し、その後のワークショップで気づいた点を挙げました。

そして、案内情報の統一・連携、適切かつ分断されていない案内情報の表示、案内情報そのものが誰にでも見つけやすく、理解しやすいことなど、公共交通案内情報の充実へのニーズの強さが明らかになりました。


図:バスピクトグラムの有効性調査


今後の活動方向性

これまでは、シナリオベースで行ってきた調査を続けてきましたが、2015年度のワークショップで得た、新しい外からの自由な意見を取り込める空気を大事にしていきたいと思います。

そして、様々なアウトプットに繋がる、参加しやすい活動にするために、プロジェクトに参加してもらえる環境作りを目指します。

そのため、参加者に還元できる経験と、各自のアウトプットに活かせる柔軟性を持つことや、参加者の時間や作業負担を軽くする、プロジェクト内外の交流機会を増やすことを検討しています。

また、活動にダイバーシティをもたせて充実した内容にするために、開かれたワークショップやフィールド調査と、専門的な立場からの深化や研究のバランスをとっていきます。

これまで続けてきた移動情報のUD調査の継続と改善を進めるとともに、外部の多様な方々の参加機会を増やしたり、新しい研究テーマや課題発見のための視察の機会を設けるようにします。




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