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日本のUDは大変高い水準にあるが、情報面の強化をしてほしい

2015.09.05掲載

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写真:シルヴィオ・サグラモラ氏

シルヴィオ・サグラモラ

欧州障害フォーラム代表:ルクセンブルク

■インタヴュアー:北村 和明(IAUD情報交流センター長/株式会社岡村製作所)
■日時:2014年11月13日 12:20~

プロフィール



―ご自身の国のUDについて特徴をお聞かせください(誇れる点や既に普及している点)


シルヴィオ・サグラモラ(以下 サグラモラ):まず、私どもの国ルクセンブルクではUDという言葉の代 わりにデザインフォーオールと言っており、どちらかと言えば政治的、社会的側面からの取り組みとなっていて、産業レベルではまだ定着していません。

この点は政治家がデザインフォーオールについて語る場 合にやや問題となることがありますし、国民はその概念と結びつけて考え方を理解しているのですが、この用語に関する実質的な知識水準はかなり低く、この概念が体系的には実 践されていないという問題があります。



―デザインフォーオールの普及を進めるためにどのような苦労をされているのでしょうか。


写真:シルヴィオ・サグラモラ氏

サグラモラ:私が所属している欧州障害フォーラムは、ルクセンブルクの全国的な情報センターのような機能を果たしています。その役割の中でも特に力を入れている活動は、障害をもつ人々のインクルージョンの推進に向けて、デザインフォーオールの取り組みをどう適用するかについての研修などです。

例えば、顧客である国営鉄道会社に対しては、新たに採用された従業員向けの研修を実施しています。その中には障害をもつ方々もおり、これは受講者にとって非常に重要なことだと考えています。

障害者の方々が色々なタイプの障害物によってどう排除されているかを、より一層理解できるためです。ただし、障害者のニーズだけでなく、異なる多様な人びとのニーズにも注目するようにしています。そうした障害物を無くすことで、質を高め、皆にとって快適な暮らしを作っていくことができると説明しています。



―今回の会議で発表を聴き、企業の展示をご覧になって、日本のUDに対してどのような印象をお持ちでしょうか。


サグラモラ:私自身はまだ日本のUDについて十分知らないと感じていますが、この会議で分かったのは、日本で実現されている水準が非常に高いということです。
ルクセンブルクと比べてもそうですし、EuCANネットワーク(アクセシビリティネットワークのための欧州コンセプト)の調整役を務めていて訪れた他の国々と比較してもそうです。私が日本で見たものは、ヨーロッパ諸国で見たものより高いレベルにあります。

先ほどUDは社会的、政治的側面からの取り組みが多いと言いましたが、日本の場合はもっと体系的な形で実際に導入されていると思います。デザインフォーオールとUDは非常に多様な技術的解決策を通じて認識でき、それが日本の特異な点だと思います。



―東京の街をご覧になって、UDの普及具合をどのように感じられましたか。


サグラモラ:とても良い印象を持っています。ただ、一つだけ気づいた問題は標識です。情報によっては日本語しか用意されておらず、海外から来た人には少し分かりにくいと感じました。
その一方、電車や地下鉄については、色と数字を使ったシステムの仕組みを一度理解すればとても利用しやすいですし、英語の情報もあり、良いと思いました。街なかでも言語の問題を改善できれば良いですね。

今回の国際会議中に、アウォード2014を受賞した展示パネルを拝見しましたが、残念ながら日本語のみのものがありました。そうなると図版しか理解できないため、内容がとても興味深くても、言葉のせいで詳しい情報を入手できないのは残念に感じました。



―2020年には東京でオリンピックとパラリンピックが開催されます。それに向けてIAUDが何を準備すべきか、ご意見とアドヴァイスがありましたらお願いします。


サグラモラ:私が日本に来て感じたのは、誰もが本当に熱い期待を抱いているということです。皆さんがオリンピックとパラリンピックをもっと結び付けたいと考えているのは素晴らしいことだと思います。

また、オリンピック委員会のヴィジョンもウェブサイトで読みましたが、将来の世代に大会の遺産を引き継いでいくという内容で、感銘を受けました。将来について考えることはとても大切なことだと思いますし、そうした考え方は素晴らしいと思います。

アドヴァイスとしては、先ほども触れましたが情報面です。例えば道案内をする設備があると良いですね。それ以外の面については、非常に高い水準をもう既に達成していると思います。




―ありがとうございました。



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