2019.11.25
IAUD住宅学生コンペ 入賞作品①
2017.11.20掲載

入賞:
「街の小さな拠り所」
日本大学 理工学部建築学科/高須 信博
コンセプト:縁側のある暮らし
現在の都市部では、過密混雑地域になればなるほど住戸が外部との関わりを極力排除し、街での発生する活動も遮断し閉じられた空間になっている。そのため日本の伝統的な住空間とは異なり、近隣住民とのコミュニティや周囲の環境などとの関わりも軽薄になりつつあることがわかる。 そこで日本で古来から用いられている外部と内部をつなぐ役割を持つ「縁側」を用いることで、そこから街への関係を広げていけるように計画した。縁側において風や匂い、自然を感じ、近隣住民と談笑するなど、人と人、人と環境を結ぶ、歓びがある暮らしを提案する。
審査委員による講評①
審査委員長:古瀬 敏/静岡文化芸術大学 名誉教授
下町の人間関係を形に表そうとする計画と言えよう。他にも同様な応募案があったが、この案は比較的よくまとまっていた。ただし中央の机は大きすぎてスケールアウトしている。また、地下階の防災空間は水害には無防備ではないか。災害に対してどう守るかを考えるとき、数十年に一度の地震だけを問題にするのではなく、もっと頻繁なできごとも意識すべきで、とくに昨今では短時間の集中豪雨が都会では多いことも考える必要があろう。
審査委員による講評②
審査副委員長:後藤 義明/岡山理科大学 教授
中央の大きな机が売りであるが、表現されている使い方ではリアリティがない。地震時の退避場所としても使えるとしているものの、新しく作る住宅はすべて耐震性を備えているはずなのであえてパニックルームのようなものを用意する必要はないと思われる。とはいえ、この部分が段差のある中庭デッキとして縁側的な使い方、バッファーゾーンとしていろいろな使い方ができそうな可能性を感じる。災害対策でも水害時にこの部分が浮いて対応できそうである。
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