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2006.07.09掲載
6月22日、「安全で健やかな暮らしを支えるユニバーサルデザイン」をテーマに「ユニバーサルデザイン ビジネス・シンポジウム 2006」の第1回として「食のUD」を取り上げ、東京のトヨタユニバーサルデザインショウケースで開催された。聴講者は約300名。
主催:日経デザイン、特別協賛:トヨタ自動車、協力:IAUD他
会議に先立ち、主催の日経デザイン・勝尾岳彦編集長より、「食事は身体の維持のほかに、コミュニケーションのために大切なこと」との挨拶があり、引き続き講演・事例発表が行われ、最後にUD食の試食会が行われた。
「アルツハイマー病」で脳の側頭葉が委縮し、記憶の機能が低下する認知症は、食事によって防止・改善できることが免疫学研究で明らかになっている。血液検査では総脂質や飽和脂肪酸、生活習慣ではアルコール摂取過剰が、認知症の危険因子である。一方で、魚類や野菜が認知症の防御因子として挙げられる。(解説の後、家庭でできる認知症予防のメニューなどを紹介。)
静岡県は「県民暮らし満足度日本一」と題して、UDを県政の基本にすえ、1999年よりすべての人が暮らしやすいように「まち・もの・環境」つくりなどを進めている。例えば、スーパーマーケットは車いすで買い物ができるように陳列を低くし、展示等の文字も大きくした。旅館・食堂は糖尿病・腎臓病に配慮した減塩メニューを用意している。食べやすい食器・立ち座りが楽ないすなども開発している。
食物摂取障害は大きく分けて、噛み砕くことが困難な「咀嚼」(そしゃく)障害と、飲み込むことが困難な「嚥下」(えんげ)障害がある。キューピーでは咀嚼障害の程度に対応した4種類の柔らかさの調理済み食品を用意した。この4段階表示は業界標準に準拠している。咀嚼障害向けには、とろみ調整食材を用意した。パッケージも介護食品のイメージを払拭し、食欲のそそるデザインを採用した。
包装・容器関連の使用性評価試験方法を定めたJIS規格が近く発表されるが、凸版印刷はパッケージのUD評価を長年実施しているので、そのポイントを紹介する。消費者段階では「購入」「使用」「保管」「表示」「廃棄」「けが防止」の6場面ごとに評価する。改善具体例として、触って中身を区別できるようにフタの形状を変えたビン詰め、右利き・左利きのどちらでも開けやすい開封ジッパーなどが挙げられる。