2019.11.25
第2回 IAUD住宅学生コンペ 佳作作品①
2018.11.19掲載
佳作:
「水が引くまで、、、」
大阪工業大学大学院工学研究科
建築・都市デザイン工学専攻
岡本 大樹、山本 博史
コンセプト:避難動線で暮らす住宅
大近年、豪雨などの自然現象により、突然に人々は家を失っています。それは単に財産として家を失うのみではなく、家に蓄積された記憶さえも失うことを意味し、これは住宅が自然現象から断ち切るためのシェルターとして造られてきたからだと考えます。
そこで私たちは自然現象を受け入れ、雨と共に暮らす住宅を提案します。水を内部まで引き込み、浸水空間としても生活を維持することで、豪雨の際に一度に全てを一度に失うことはなくなります。気象による自然現象と共にある少し不便なこの住宅は、家族同士の協力関係をつくり、住人は歓びを得ながら生活を営んでいくでしょう。
審査委員による講評①
審査委員長:古瀬 敏/静岡文化芸術大学 名誉教授
具体的に東大阪という土地を選び、浸水水位5mまでを考えて、いざとなれば最上階まで逃げる。それまでの浸水水位に応じてどこまで使えるかを考えて空間を組み合わせて、平常時には順次上がっていく途中が暮らしを演出する空間になるという提案である。氾濫水位より上に居住空間をもっていっていわば人工土地にするというのは全員の合意が必要であり、現実的には敷地からの高さ制限がある場所ではつくれないので、次善の選択としてはありうるかもしれない。ただ、最大水位時には住宅のなかのほとんどの機能がダメになるだろう。
審査委員による講評②
あえて災害を建物内に引き込むという提案で、日常と非日常の表現で非常にインパクトがあった。実際に浸水した場合、生活が成り立つかといわれれば場所は確保できるという点のみなので、災害を引き込むということであれば、その上でのデライトも示して欲しかった。スキップフロアによる大胆な空間構成や傾斜した外壁は印象的であった。建物内のコア部分が螺旋階段となっているが、螺旋階段である理由や、コア部分の計画そのものに説得力があるとよかった。また、様々な身体状況の方、特に高齢の方が増える今後について、考えを及ぼしていただけたらと思う。さらにコミュニティを誘発するための仕掛けが仕込んであると納得性が増すように思う。平面図とパース、断面図で不明な部分があり、段差の処理や表現にはいっそう配慮いただけるとよいと思われた。
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