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メディアのUDプロジェクト

2013.04.10掲載

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池澤 努氏

課題と目標

池澤 努氏

UDの視点でコミュニケーションの媒介となる様々なメディアの変化をとらえ、新たな社会的課題を見つけ出すことを課題にしており、メディアにおけるUDの課題を関係機関に発信し、情報保障への社会的配慮を促すことを目標としています。
テーマを「メディアにおける色」に設定し、色に関して日々起こっている不便や危険という現状を踏まえ、2009年より始めた「多くの人に伝わるイメージ配色の研究」と2011年より始めた「多くの人に伝わるグラデーションの研究」の、2つの研究テーマに取り組んでいます。




研究テーマ(1) カラーUD配色イメージ・スケール

カラーUD対応した配色イメージ・スケールを提案することで、デザインの可能性を広げ、色弱者にイメージと配色の関係性を伝えることを課題としています。
一般色覚における「配色とイメージを伝える言葉のマッチング」に関しては、「配色イメージ・スケール」という研究成果を、日本カラーデザイン研究所が公開しています。私たちはこの配色イメージ・スケールに、色弱者が識別できる配色を掲載することで、色弱者にイメージと配色の関係性を伝えることができると考えました。



カラーUD配色イメージ・スケール<第1版>策定


カラーUD配色イメージ・スケール 2010年暫定版

2009年から開発したカラーUD配色イメージ・スケール<暫定版>を2010年に完成させ、2011、2012年度では精緻化して<第1版>を完成させました。
<第1版>の完成までには、カラーユニバーサルデザイン機構の協力を得て、色弱者による検証を行いました。
多様な色覚を持つ人にとっても見分けやすく、イメージがひもづいたこのカラーUD配色イメージ・スケールは、配色バリエーションの提言ができ、デザインの可能性を広げる機会を提案できました。
さらに、一般色覚の人が配色に感じるイメージを色弱の人に知らせるツールにもなります。
この取り組みを通じ、カラーコミュニケーションの可能性を提示することができました。



研究テーマ(2) カラーUDグラデーション

先の東日本大震災で、気象情報や自治体発行物ハザード情報の「色使い」(グラデーション)が統一されていないことがわかりました。
気象情報やハザード情報の色使いが情報源や提供者によって異なるため、誤解を与える可能性があります。さらに、色弱者には、見分けられない色使いになっているものが多いことも確認しました。
そのため、汎用的なカラーUDグラデーションを開発し、気象情報やハザード表示に活用されることを目標に開発を進めてきました。


カラーUDグラデーション

2011年は、官公庁、自治体などが発行するハザード情報の収集・分析を行い、連続性のある12色の汎用カラーUDグラデーションを開発し、2012年には、色分けによる区別がより明確になるよう10色に色数を減らした汎用カラーUDグラデーションを完成させました。
汎用カラーUDグラデーションの精緻化では、色弱者のシミュレーションやカラー分析、状況や用途による使い方を想定したバリエーションの検討、事例への適用を行いました。



気象情報の配色提案

汎用カラーUDグラデーション開発の知見をもとに、気象庁が進めていた「気象庁ホームページにおける気象情報の配色に関する設計指針」の策定に協力しました。


事例への展開  降水量におけるグラデーション提案

具体的には、検討当時の気象庁の「降水量強度分布観測データ」の表示などに、汎用カラーUDグラデーションを適用した色使いの提案やメンバーによるモニター協力を行いました。
また、「気温」「震度」の観測データの表示にも汎用カラーUDグラデーションを適用した色使いを提案しました。


事例への展開  降雪量や風速への展開

上表が気象情報に最終的に採用された色使いになります。この決定に関しては、調査に使用された複数の配色案のうち、複数案をIAUD「メディアのUDプロジェクト」から提供し、評価の高かった配色案をベースに微調整がなされ、2012年5月24日に気象情報の配色に関する統一化の指針が発表されました。



今後の活動

より多くの人が同じ情報を受け取れることをめざし、「現状のグラデーション配色への警鐘」「カラーUDグラデーションの啓発」「ハザード情報以外のグラデーション活用の可能性の探究」を行っていきます。


余暇UDPJ

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「第4回国際ユニヴァーサルデザイン会議2012in 福岡」開催報告

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