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労働環境PJ

2013.04.10掲載

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山川八寿樹氏

活動目標とこれまでの活動

山川八寿樹氏

様々な特性をもつすべての人が、気持ちよく働ける未来の労働環境を考えることを目標にして活動しています。
京都での国際会議では、誰もがコミュニケーション取れる環境をめざし、会議におけるUDの研究を実施し多様性に配慮した会議のUD冊子を作成及び会員に向け発信しました。 また2010年の浜松での国際会議では、セキュリティのUDとして、個人認証のUDを研究しあらゆる認証シーンに沿ったUD提案の情報発信を行いました。
さらに、2011年度からは新たなテーマに向けた活動を、ユニヴァーサルワークスタイルをキーワードにして実施して参りました。




情報交流会の実施


新テーマに向けて、私たちは東日本大震災後、節電対策、帰宅難民、通勤困難、仮設住宅、就職困難など様々な課題が浮き彫りになる中で、誰でもどこでも働けるロケーションフリーな働き方への関心が一気に高まったことに着目しました。 そこで、私たちはユニヴァーサルなワークスタイルを実現している関連団体と情報交流会を実施しました。

(1) NPO法人エイブル・アート・ジャパン:多様性や特性を活かしたワークスタイルの先進事例

表現力のある障害をもったアーティストと制作物を販売する企業をつなぐ著作権ビジネスや、障害者と同等の立場でアートを鑑賞するワークショップなどを実施しており、障害の有無に関わらず、クリエイティビティを多様性の一つとし労働観を変えるワークスタイルを実践しています。

(2) co-lab二子玉川:コワーキングによる共創ワークスタイル事例

企業・自治体・有識者・地域住民などセクターを超えて交流するオープンイノベーションのための共創の場で、コワーキングによる共創ワークスタイルを実践しており、多様な特性を活かした新たな雇用機会やワークスタイルを実現しています。

(3) “cococi”Coworking Space:育児女性のエンパワメント地域密着型のワークスタイル

「育児」と「仕事」をゆるく繋ぎ、両立できそうで両立しにくいこの2つを可能にした「マルチレイヤな暮らし」を実現する仕組みを提供しており、多様な経験や才能をもつ女性たちによる地域資源が集まるコワーキングスペースを実践しています。



新活動テーマ

新活動テーマ

これら先進事例の活動や、震災の背景などを受け、私たちはユニヴァーサルな働き方であるテレワークという働き方に着目し研究を進めております。 テレワークにもモバイルワークやサテライトワークなど多岐に渡りますが、現在普及しそうでしていない在宅勤務を中心に研究を進めてまいりました。



在宅勤務とは


現状の在宅勤務の分類

様々な先進的な働きかたの見学事例やキーワードをこのような図にマッピングしてみました。 縦軸は下から上にいくに従ってケアからモアへというマイナスをゼロにする考え方から、0からプラスに持っていくという考え方です。 横軸はより仕組みや実用性か、人や感性的か、という軸でマッピングしました。 現在の在宅勤務は、この不便さを解消するだけの実用的な要素が強く、左下の象限の中に位置づけられ、そこに何か課題があるのではと考え、テレワークに関する3つの調査を行いました。



テレワークに関する調査実施

(1) テレワーク意識調査として、WEB調査

テレワークを実施したい人はおよそ7割ですが、実際実施経験のある方は1割強と、テレワークに関するモチベーションは高いが実施経験者は少ないことがわかりました。

(2) テレワーク利用者へのインタビュー

テレワークの経験のある電機メーカー社員2名にお話しを伺い、統計情報からは得にくい新たな気づきを得ました。

  • 通勤困難<職場メンバーとのコミュニケーション
  • 厳格なルールによる自由度の低さ
  • 障害者に対する様々な配慮が不足
  • 週に一日在宅勤務するのが限界
  • 『在宅勤務』 = 『自宅出張』 という新たな捉え方

これら利用者の現場の状況を深堀していき、UDの観点でまとめることは非常に有益であることがわかりました。

(3) ワークショップ実施

テレワークを積極的に実施しているNTTデータ様のテレワーク実施者とスマートハウス「観環居」でワークショップを実施しました。
住宅の見学後、「この家でテレワークを実施したら?」という現場体験からの問いを、ワールドカフェというブレスト形式で「私ならこう解決します!」と、解決の方向性を自分事として検証しました。



「テレワーク×UD」に関連する4つの分析と2つの課題


「テレワーク×UD」に関連する4つの分析

調査その結果、コミュニケーション・ICT環境・在宅環境・モチベーションという4つの大きなキーワードが浮かび上がってきました。
特に注目すべきは、ちょっとしたコミュニケーションや支え合い、寂しさや気分の切り替えなど会社のオフィスからは出てこないような人の気持ちに関する課題が多く出てきたのと、仕事の環境を自分で整えることの難しさが浮き彫りになりました。 また分析から、普及の妨げになっているのは制度に関する課題と人に関する課題の大きく2つあげられることがわかってきました。
私あっちはこの「人」に着目し、今後広まっていくテレワークに関する課題のUD的解決を探っています。



今後の活動

今後は、現在の在宅勤務の位置づけを多様性に配慮した新しいテレワークとし、不便さの解消だけでなくあらゆる多様性や特性を活かした働きかたを創造していきたいと考えております。 さらに、私たちはこれまでの「課題を解決する」というマ課題抽出を終えて、これからは「新たな可能性を見出す」という段階に来たために、「テレワークのUD+」に着眼して、「インスピレーショナルなワークショップ」を開催します。 先進的な働き方を実施しているトップランナーをゲストに迎え、5月にワークショップを開催し、「テレワークUD+」アイデア創出を実施します。



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