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2005.07.08掲載
「生活者自身が考えるユニヴァーサルデザインと企業における実践事例-2」
7月8日、INAX本社会議室(常滑市)において、2005年度第2回定例研究会が開催され、59名の参加がありました。
中部国際空港株式会社 運用管理部部長 荒尾 和史 様
講演1として、中部国際空港株式会社運用管理部部長・荒尾和史氏に『中部国際空港(セントレア)のUD施設づくりと取組み』と題してお話しいただきました。空港づくりに関しては、初期の段階から障害者団体が主宰するUD研究会が、基本設計、施工、運用トライアルまで関わることでUDの展開が図れたとのことです。講演では、設備面での配慮ポイントとして工夫した「エレベーター」「エスカレーター」「ムービングサイドウォーク(動く歩道)」「チェックインカウンター」「トイレ」その他の事例を紹介いただきました。また、それぞれの所で開港後に改良すべき点が見られるようになったことから、その対応方法についてもあわせてご紹介いただきました。想定した事象とそれを上回る事象、事前のチェックを重ねてもそこからは見えなかった事象があることをお聞かせいただいたことは、大変参考になりました。
株式会社INAX ユニバーサルデザイン推進室室長 柴田 正美 様
講演2では、INAXユニバーサルデザイン推進室室長・柴田正美氏より『INAXにおけるUD商品づくりと考え方』と題して、主に住宅系の設備関係についてお話しいただきました。INAXの事業のあゆみに始まり、UDへの取り組みの歴史、実践事例についてご紹介いただいたほか、新しい入浴スタイルと温度バリアフリーに対する考えについての説明がありました。ヒアリングからつかんだニーズとそれを実現するための研究・検証が印象的でした。
国際委員会 小山委員長
続いて、IAUD国際委員会の小山委員長と富岡委員から、4月にイギリスで開催された「Include 2005」の報告がありました。冒頭で今回の参加の経緯と目的について説明があり、日本のUD活動が欧米から見ても進んでいると捉えられている点について話がありました。それはUDの思想を反映させた製品が日本では実際に普及している点を見ても、感じ取れるところだったそうです。
その後、「Inclusive Design」の定義解説と「Include 2005』のプログラム構成について報告がありました。IAUDが参加したセッションは「Breakfast Briefing」と呼ばれるカンファレンスのカテゴリーで初日に行われ、昨年のブラジルUD国際会議での発表と同様、日本企業におけるUDの実践事例について発表があったとのことでした。カンファレンスの中で大変興味深い試みだったのが、今回初めて採用された「24H Inclusive Design Challenge」と呼ばれるもので、24時間以内に同じテーマに対して「Inclusive Design」のソリューションを作成してプレゼンテーションを行うもので、今回は5チームの参加があったとのことです。
最後に、この会議に参加して感じた良いと思われる点を、2006年の国際会議開催事務局と相談して取り入れて行きたいと話がありました。
フリーライター 松森 果林 様
講演3では、フリーライター・松森果林氏より『聴こえない世界と、UD社会づくり』と題して、ご自身の活動と聴覚障害者のコミュニケーション方法(読話、単語を表す手話と指文字、手話通訳、要約筆記、パソコンによる文字通訳)、そして聴覚障害者へ行った「生活の中で必要と思われる音情報アンケート」についての紹介、情報保障への考え方等について、お話しいただきました。この中で、音環境への配慮についてお話しされた4つの工夫、「音声情報は文字情報へ」「音は光に、振動に」「作動中が視覚的にわかる工夫」「危険が視覚的にわかる工夫」がポイントであるように思いました。また、最後に「障害のある人は、ある意味で皆さんにとって人生の先輩であるかもしれません」「企業の人である前に一人の生活者であるということを忘れないでほしい」と話されたところが印象的でした。
最後のグループ討議『講師をまじえて』では、2つのグループに分かれ、2人の講師それぞれを囲んでのディスカッションが行われました。講演を聴いた上での質問や、普段疑問に思っていることなど、たくさんの質問に講師の方々は答えられていました。