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2005年度 第1回定例研究会開催報告

2005.06.15掲載

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生活者自身が考えるユニヴァーサルデザインと企業における実践事例


5月19日、松下電器産業パナソニックセンター東京において、2005年度 第1回定例研究会が開催され、97名の参加がありました。

写真1:会場の様子

特別講演「参加における専門家の役割」

一級建築士事務所アクセスプロジェクト 主宰 川内 美彦 様


特別講演として、川内美彦氏より『参加における専門家の役割』と題してお話しいただきました。

UDに関する現在の動向に始まり、UDの定義についてのご自身のこだわり、川内氏の著書における読みやすさへの工夫について、そして「住み続けられる住宅とは」についてのお話しと、ブラジルの都市クリチーバにおける都市づくりの例を紹介されました。
中でも印象的だったのが、「そのものだけをいくら改良しても、そのものが置かれる環境がそれを受け入れるようになっていないと、せっかくの工夫が役に立たない。単体とシステムと全体を見渡す必要がある」と話されていたところでした。そして、専門家の役割として、住民参加型のプロジェクトなどで、参加のプロセスにおいて問題の原石を見つけられるか、市民の言葉から本質的に何を言っているのかを見失わないか、見つけた原石を使えるように磨き上げられるか、というところであると話されました。 (写真2:川内美彦氏)


講演1 「見えない世界」

(株)トミー 社会環境部共用品推進室 高橋 玲子 様


講演1では、高橋玲子氏により『見えない世界』と題して、ご自身の日常生活について朝起きてから夜寝るまでの行動と思うところをお話しいただきました。

冒頭の「企業の方は新しい技術があると、障害のある人や高齢者への技術の転用を考えてくださっているように思いますが、それはとても大切なことですが、障害者や高齢者が毎日生活している中での身の周りの小さな手がかり(音、匂い、風、気配、感触)、そういうものを手がかりにして身の周りの環境と一体化して生きている。その技術は環境にとって代わってしまうものにはなりえない。環境を補足するものであってほしい。今まで感じていた感覚が感じられなくなってしまっては、危険にもつながるだろうし、人間と自然との間に技術が入り込んでしまっては生きづらくなってしまうという面もあるかと思われる」というお話が印象的でした。 (写真3:高橋玲子氏)


講演2「NECのUD実践事例」

(株)NECデザイン ソリューションデザイングループ ユニバーサルデザインセンター クリエイティブマネージャー 池田 千登勢 様


講演2では、池田千登勢氏による『NECのUD実践事例』と題して、NECのUDの考え方、NECデザイングループのUD活動について、商品開発のプロセスなどを細かくお話しされました。

NECデザインでは、デザイナーばかりでなく全従業員に対してUD教育を行っているということで、UDの啓発活動に力を注いでいる様子がうかがえました。 また、商品開発事例を交じえて、UDガイドラインの整備とモニター制度の活用、検証と評価を繰り返すことでのスパイラルアップを実践しているところも話されました。

中でも、商品開発の話の中で、「ユーザビリティ評価の落とし穴」について注意すべき点として挙げられ、例えて「木を見て森を見ず」という言葉を使われていましたが、一人のユーザーの意見が一つの意見としてあげられ、異なるユーザーそれぞれが持つ要望が上がってくる。その集合が何百件も見つかったとき、それをいかに整理して、商品に適切な解としてつなげ、商品をつくっていくか。そのためには、そこにリーダーが必要となり、見極めのできる専門家が必要であると話されていました。(写真4:池田千登勢氏)


IAUD情報保障委員会報告


IAUD情報保障委員会報告では、蔦谷委員長と株式会社アルモ設計の森本氏から、現在進めている『聴覚障害者への情報保障のあり方調査』についての中間報告がありました。

調査の目的を「IAUD関連イヴェントでの適切な情報保障を行うためのガイドライン作成のための基礎調査」として、「2006年国際会議での適用を目指す」というものでした。

今回の調査では聴覚障害者にフォーカスを当てて実施したが、今後の予定としては、視覚障害者や運動機能障害者へも調査対象を広げたいと話されていました。今回の報告については、会員サイトで公開予定であるとのことです。(写真5:情報保障委員会 蔦谷委員長)


グループ討議「講師をまじえて」


最後に、グループ討議『講師をまじえて』では、会場内で3つのグループに分かれ、3人の講師それぞれを囲んでディスカッションが行われました。普段疑問に思っていることや意見交換など活発に話がされていました。(写真6:グループ討議の様子)





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