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21世紀のためのデザインIII、UDに関する国際会議報告 ツアー全体 総括

2004.12.20掲載

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IAUD企画監修のリオ国際会議ツアーを終えて

国際委員会 委員長 小山 登(トヨタ自動車)


これまでに海外出張(旅行)は、1980年にニューヨークへ単身で行って以来、数多く経験してきましたが、今回のようなツアーというものに参加した経験は無く、まして企画・監修というのは初めてのことでした。国際委員会の委員長という立場で、団長として見よう見まねでのスタートとなりました。


出発までは、経験豊富な東松副委員長に多大な尽力をいただき、何とか出発にこぎつけられましたが、25名という大勢で、しかも地球の裏側の南半球にあるブラジルまでという長い旅ですので、はたして無事に成果を上げて帰国できるのか、内心心配をしておりました。


実際にツアーが始まると、その心配はすぐに吹き飛んでしまいました。というのも、参加者の皆様は、UDの志を一つに結束しており、それぞれのキャラクターを遺憾なく発揮して、真面目に協力的で、時としておかしく、ツアーでの各自の役割を果たしてくれました。


このツアーのハイライトであるAE(Adaptive Environment)主催の国際会議は9日、ラテン感覚のブラジル時間(30分位の遅れはあたりまえ、スケジュールの変更は日常茶飯事など)でハラハラする中、長々と陽気なブラジル国歌の斉唱で始まり、ゲストスピーカー達のスピーチへと続きました。その中でも、戸田評議員会議長によるともひと親王殿下のメッセージ披露は、IAUDを強くアピールするのに十分なものでした。ブラジル開催ということで、予想されたように参加者の数は少なめでしたが、各団体・各組織のキーパーソンに与えたインパクトは大変大きなものとなりました。


続いて会議2日目の10日午前中には、IAUDセッションを開催しました。戸田評議員会議長のキーノートスピーチで幕を開け、日本の135社以上の企業が真摯にユニヴァーサルデザインに取り組んでいることが多くの出席者の共感を呼び、その後の6社7名による講演では、各社のUDへの取組み内容が発表され、多くの人々に感銘を与えていたようです。特に、出席者の多くからは、各企業の代表として、比較的若い人達からUDの取組について発表されたことが印象的とのことでした。(全体に、会議の出席者は高齢な各団体・組織の代表的な人々が中心といった感じでした。)


写真1:IAUDセッション 会場とのディスカッション 写真2:IAUDブース 活発な意見交換が行われた

セッション終了後の昼、IAUDの活動に対し、主催者より第2回ロン・メイス賞が授与され、突然のこともあってか、後藤副理事長が大喜びで受け取りました。



写真3:レセプション 国内外アドヴァイザーと交流

その夜には、市長主催のレセプションに、関係者やプレゼンターが招待され出席いたしましたが、例によってラテンタイムとやらで、私達はIAUDのレセプションのために移動しなくてはならず、始まる前に退席となりました。IAUD主催のレセプションはコパカバーナの由緒あるパレスホテルにて開催し、関係者や国内外のアドヴァイザーを招待しての楽しいパーティーとなりました。


11日の会議最終日には、個別の会員発表のサポートや、3日間IAUDとして統一の展示(9社)をした後片付けなど足早にして、帰国のフライトの都合上、クロージング・レセプションの始まりを待たずにリオを後にしました。


一方、メインの国際会議に先立ち10日間コースに参加した半数のツアー参加者は、広大でスケールの大きなブラジルの大自然を満喫でき、時間にとらわれず、常に陽気なラテンアメリカの中心であるブラジル人の源流を感じ取れたことと思います。


また、ツアー3日目に8日間コースと無事合流し、人間環境都市クリチーバを視察できたことも大きな成果でした。ユートピア構想に基づき建築家のオスカー・ニーマイエルと師のルシオ・コスタにより設計されて1960年に遷都されたブラジリアが、官公庁、商業地区、住宅地などあまりにも人工的で機械的に区分け配置されたのに対し、人間と環境を最も重視した計画的なまちづくりを実施しブラジルにおける都市計画の模範とされているクリチーバ。前者が交通渋滞や人間味の無さが指摘される中、後者はラテンアメリカで最も清潔で美しい町と言われています。その中心となるバス交通システムを管理する、都市交通公社を訪問しました。チューブ型バスステーション・ターミナルの視察、バス試乗体験を含め大変有意義でした。公社総裁と輸送部門の責任者による説明は大変ありがたく、思わぬ収穫となりました。



写真4:人間環境都市クリチーバ視察

写真5:都市交通公社にて 中央が総裁、右端が小山委員長

今回のツアーが大変に身のある有意義で楽しいものであったことは、参加者の反応で実感することができました。また、ブラジルは非常に危険であると事前に聞いていたのですが、大自然と都市がうまく共存しているかのようにも見え、魅力的に感じました。


最後になりますが、今回ツアー参加者全員が無事帰国できた喜びと同時に、地球の裏側にすばらしい大自然と都市と人々がいることを実感できたのが何よりでした。いたらない団長ではございましたが、ツアー参加者のご協力と、それそれの素晴らしいキャラクターに感謝申し上げます。


OBRIGADO !


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