バナー:国際ユニヴァーサル研究講座 受講生募集中

メニュー

住空間プロジェクト

2014.04.10掲載

LINEで送る

小泉 しをり 主査

活動テーマ「UDプラス」の考え方

小泉 しをり 主査

縦軸が心理面の軸、横軸が身体面の軸です。段差を無くしたり、少ない力で使えたり、判りやすい表示にしたりと、生活する上での様々なバリアーやストレスといったマイナスの部分をゼロにしていく活動をUDの基本とすると、身体的、心理的に適正な負荷や刺激を与えることで、ただ使いやすいだけでなく、「使って楽しい」、さらには、心身の機能の低下を防ぐ、機能を向上させる、といった快感や達成感を追求する新たな視点を、私たちは「UDプラス」と呼び、研究を進めています。



UDプラスのコンセプト概念図


「UDプラス」視点での先進事例視察

1. コドモ里山ラボ


コドモ里山ラボ

東京都八王子市の分譲地内にあるキッズデザインをコンセプトとした住宅です。 クルドサック(行き止まり回転路)を囲む4棟の住宅からなる街区で構成され、各住戸からは、子どもの遊び場にもなるクルドサックを見守ることができます。
また、キッズデザインで実績のある異業種5社のコラボレーションにより、キッズデザインを実際の生活空間で体験できるようになっています。
さらに、子どもの家庭内の事故を防止するために、安全・安心の配慮もなされています。

参加メンバーの気づき

  • UDのディティールは確保しつつ、子どもが元気に遊びまわれる仕掛けがよい。
  • 子どもの生きる力を育むということは、勉強ができればよいということではなく、人が成長するための基盤を大切にすることが大事、という新しい考えを見た。
  • 家だけでなく、地域・コミュニティ・歴史といったものとの「つながり」に感銘を受けた。子どもの「今」と「未来」につながっていくものだと感じた。

キッズデザインハウスということで、子どもの安全・安心といったUD配慮面を確保するだけでなく、「子どもの生きる力を育んでいく」ための空間的しかけや工夫が随所に盛り込まれており、私たちが提唱してきたUDプラス的な概念を具現化した事例だと感じました。



2. 三鷹天命反転住宅 視察&ワークショップ


三鷹天命反転住宅 視察&ワークショップ

「三鷹天命反転住宅」には、2007年にもメンバーで視察に行き、その後「UDプラス」という新しい視点のUD研究を進めるきっかけとなった調査物件です。それから6年が経過し、この物件を見ていないメンバーも増えてきたことから、今回はワークショップを兼ねた見学会を実施しました。
ワークショップの講師は、実際にこの住宅に住んでいて、「からだを使ったワークショップ」のエデュケータをつとめていらっしゃる榎本寿紀氏にお願いしました。 全部で9戸の集合住宅は、内外装に14色の鮮やかな色が施され、一部屋一部屋の色の組み合わせが全く異なっています。
ワークショップでは、素足になって床を歩きまわり、目隠しをして歩きました。はじめは手探りだけが頼りで、人との感覚も上手くはかれないため、ある場所に密集してしまうこともありましたが、次第に足の裏の感触や、音、手触りなどで、視覚以外のものを手掛かりとして、自分のいる位置を把握できるようになりました。
この家には水回り以外には収納がありません。その代わり、天井につけられたフックから吊す方法が、この家の「収納方法」になります。
しばらく過ごすうちに、自然と真ん中のキッチンを囲んで話が弾んでいたり、ひとつの部屋を自分の居心地のよいように、クッションなどを持ち込んで、イドコロづくりをするシーンが見られるようになりました。

参加メンバーの気づき

  • 60m2程度の広さだが、空間のつながりがあり、全く狭さを感じさせない。
  • 空間自体に特徴があり、目をつぶっても空間把握がしやすい。
  • 目隠しをすると、ものとしての感触だけでなく、温度や空気の流れ、音、匂い等、五感を通じて多くの情報が入ってくるのを体感できた。普段、視覚情報にほとんどを頼っており、他の感覚の多くを無視していることがよくわかった

UDプラスを考える上で、人間本来の能力を呼び起こし、維持向上させることが、もっとも重要であるということを再認識でき、今後のUDプラス活動に活かしていきたいと思います。



今後の活動

以上の2案件に非常に共通すると感じたのは、空間に「五感」を刺激し、「五感」を使う要素が多いことです。これまでもUDプラスについて仮説をたてて、研究してきましたが、本年の活動より「五感」の要素も加えて、さらに活動を深めていきたいと考えています。



研究部会の概要

インデックスへ戻る

移動空間PJ

関連記事

ページトップへ戻る