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2011.06.29掲載
国際ユニヴァーサルデザイン協議会専務理事
インダストリアルデザイナー/名古屋学芸大学大学院教授
川原 啓嗣
2011年2月17日(木)~18日(金)にスペイン、マラガ市のマラガ見本市&会議センターにて開催された第2回UD国際フォーラムに招待され、基調講演を行いました。以下はその要約です。
マラガ市はスペイン南部アンダルシア自治州の地中海に面した人口約56万人の国際都市で、リゾート地として名高いコスタ・デル・ソル(太陽海岸)の中心に位置しています。2009年に第1回のUD国際フォーラムを開催し、デザイン・フォー・オール財団(スペイン・バルセロナ市)による2010年度アウォードを受賞するなど、ユニヴァーサルデザインの推進に熱心な自治体としても知られています。 (詳細はIAUD Newsletter Vol.4 No.1 2011.4をご参照ください ※会員のみ)
2月17日(木)9:30より開始された開会式では、まず主催者であるマラガ市長、そして共催団体代表の挨拶が行なわれ、情報保障として、スペイン語と英語の同時通訳、及びスペイン語の字幕表示と手話が実施されました。
10:00より行なわれた基調講演では、まず日本が世界に先駆けて超高齢社会となっている現状、そしてヨーロッパの多くの国々も、いずれ日本と同様の社会形態となること、互に協力連携して知恵を出し合い、ユニヴァーサルデザインに配慮した社会構築に向け、官民あげて着手しなければならないことを説明しました。次に、日本における最近のUD商品・サーヴィスの事例を写真や動画で紹介しました。自動車、住宅設備、ATMなどは特に関心が高く、聴衆は食い入るように画面に見入っていましたが、コーヒーブレークの間も、欧州仕様はあるのか、なぜ積極的に輸出しないのか等の質問が多く、UDへの関心の高さをうかがわせました。
11:00からは、コミュニケーションや住環境など、テーマごとに個別の講演及びパネルディスカッションが行なわれましたが、私の基調講演を終えると、英語の同時通訳サーヴィスが打ち切られ、スペイン語のみとなったため、内容はさっぱり理解できませんでした。そのため、併設の展示会場へ移動し、企業や団体の出展物を見て回りました。主にスペイン国内の企業や団体の活動を紹介する内容でしたが、乗り合いバス等、公共交通機関に関する展示には、日本より質の高い内容もみられました。
14:00から17:00の間、スペイン特有の長いランチタイムを挟み、その後、19:00まで、教育、文化、観光に関する講演等が行なわれ、初日を終えました。
2日目も、9:30より、交通、モビリティ、自立した生活などのテーマでセッションが行なわれました。昨秋の浜松における国際UD会議で招待講師として参加いただいた、スペインのフランセスク・アラガイ氏、そしてドイツのピーター・ノイマン氏も、この日、講演を行ないましたが、ノイマン氏が参加した最後のセッションには英語の同時通訳が付いていました。同時通訳サーヴィスは高コストのためか、スペイン人以外の講師が参加するセッションのみに限定していたようです。2日目は、14:00にすべてのプログラムが終了しました。
会期中、マラガ市長、市議会議員、その他さまざまな方々とお話を交わすことができました。皆一様に日本あるいはIAUDとの今後の連携を希望しており、マラガ市議会からは、次回以降の国際フォーラムを協同で開催するための協定書をIAUDと取り交わしたいとのお話をいただきました。じっくり検討させてほしいと答えるに留めましたが、この件は、我々の国際会議との関連性も考慮しつつ、会員の皆様のご意見もお聞かせいただきながら、可能性を検討する必要があると考えています。