第7回国際ユニヴァーサルデザイン会議 2019 in バンコク

メニュー

日本は人に優しいデザインをする国

2013.03.14掲載

LINEで送る

写真:陳 麗喬氏

陳 麗喬

香港建築センター副所長:香港

■インタヴュアー:秋谷 英紀(トヨタ紡織)
■日時:2012年10月13日 18:30~

プロフィール


―2003年にIAUDが設立され来年で10年になりますが、この10年で、日本のユニヴァーサルデザイン(以下 UD)がどのように進化したとお考えになりますか?


陳 麗喬(以下 陳):正直申し上げまして、以前はUDの事についてあまりよく知りませんでした。ですので、この10年間でどれだけ発展したかと言われますと、存じ上げないので答える事はできません。
ただ、以前は新しいデザインの方向性の1つだという風に考えていました。香港や中国と比較しまして、日本はUDという意味では進んでいる先進国だと思います。この理由と致しましては、日本は元々人に優しいデザインをする、人の事を良く考える国だと思うんですね。例えばトイレのデザインもそうですし、様々なデザインにそれが反映されています。日本のデザインはとても人に優しいものです。そういった日本人の性質、それから日本が今高齢化社会に突入している、この2つの理由でUDのリーダーになっているのではないかと思います。
デザインにおきましては、ノルウェー、スカンジナビアの国もかなり進んでおりますけども、世界全体が同じようなUDの方向に進んでいくと思います。その中で一歩進んでいる、先んじているというのはすばらしい事だと思います。



―2つ目の質問です。UDに関して、アジア地域における日本の役割はどうあるべきだと感じていますか?


陳:日本にはやはり強い分野というのがあり、車の製造や電化製品がそうだと思います。展示センターにも行かせて頂きましたが、やはりこれらが日本が他国よりも強い分野だと思います。日本はこういった2つの強みを大切にするのも大事だと思いますが、IAUDのような組織を設立なさっているというのも非常にすばらしい事だと思います。この組織は世界から注目を受けていると思います。 私はUDよりも、どちらかというと、サスティナブルデザインの方がメインです。私自身常に新しい分野に関して学ぼうという姿勢ももっておりますし、ビジネスとデザインを組み合わせていく事が大切だ、という事もよく理解しているつもりです。明日もお話させていただきますが、サスティナブルデザインや環境デザイン、こういったものが昔は割とマイノリティとして扱われておりまして、あまり興味を持っていただけませんでした。しかし今は市場で非常に伸びており、利益も大きく上がりつつあります。市場に出る事で急に人気が出るという事ですね。グリーン・デザイン・ムーブメントなど、マイノリティだったあまり人気がなかったものが、突然人気を得るというのを見てきておりますので、UDも同じような動きをとるのではないかと思います。小さい所から始めて、急に多くの方々が認知しだして、人気が出るというような動きをたどるのではないかと思います。まあ確かに今はちょっとまだ、デザイン的には良くない所があるかもしれません。しかしそこに新しいデザインやアイデアを入れる、たくさんの人々のニーズを取り込む事によって、更にデザインを良くしていけるのではないかと思います。日本が、こういった急に人気出るという動きの火付け役になると、私は思っています。



―東日本大震災を機に、日本やアジアに住む方々の安全・安心に対する意識が大きく変わりました。「今後起こりうる自然災害から安全に命を守る」「震災後に取り組むべき安心した日常生活の回復」は、日本にとって切実な課題です。こうした「命を守る」「安心した日常生活の回復」という観点とサスティナブルな社会実現へ向け、どのように取り組んでいくべきだとお考えでしょうか?


陳:サスティナブルの問題は非常に難しい問題です。私は香港に住んでおり台風はありますが、大地震というのはありません。なので、お答えするのが少し難しい事ではあるんですけども、個人的に思う事をお話させて頂きます。
日本は地震にみまわれたわけですけども、これはある程度意味があったと私は評価をしております。それに、製品であれ、システムであれ、常に最悪な状態に備えなければならないということ、そしてそのような状態に対しいろいろな製品をつくり協力体制をつくっておかなければならない事は非常に大切な事です。
このように物理的な準備対応をしておく事も必要なんですけども、同時にメンタリティ、心の部分での対応も、非常に重要だと思います。地震が来る、災害が来る、悲劇が来る、世界の空が落ちてくるかもしれないなどと、いろいろ考える事はあると思いますが、楽観的に、緊張に耐えられるよう、心の準備をしておく事が大事です。

子供にもそういった教育をしておいて、万が一、地震が起こり避難生活でプライバシーがない非常にタフな生活に追いやられた場合でも、その生活を楽しめる、そういった経験を積む事で更に人生を楽しむという事ですね、こういう事も非常に必要です。大変なマイナスの部分をプラスに変えるというのができるようになるのが大事だと思います。
これは他の場所でもそうだと思います。台湾も地震や台風がありますし、フィリピンもそうです。フィリピンに至りましては、台風も地震もありますが、みなさん非常に楽しく暮らしていらっしゃいます。物理的な準備、心理的な準備、両方をして、かつ今を楽しく生きるというのが非常に大事だと思います。

中国では過去に雲南省と貴州省で土砂崩れと地震がございまして、中国政府がとった対応が非常に良かったと思っております。大きな町と村に組ませて連携させます。地震や災害にみまわれました時にはその責任をとっている連携先の大きな町が復興のお金を出し、復興を助ける責任を持つわけです。例えば、香港もいくつかの村を担当しておりまして、もし担当の村が地震などにみまわれましたら、我々が復興の責任を持ちます。そうする事により、香港の方も得るものがあります。どういった状況なのか把握でき、被害に遭われた人々を理解する事が出来ます。そして連携を組む事で姉妹関係のような良い関係が生まれます。このようなシステムが日本にあるかどうか分からないですが、このように他の町が他の地方の村や町を助ける、復興の責任を持つという連携が非常に良いのではないかと思います。この復興を助けるという内容は、金銭的な意味もありますし、人を送る支援というのもあります。そういったものを含めて連携をとって復興をしていくという事になります。

こうする事によりまして、エリアとエリアの関係というのが出来ていくと思います。このやり方がベストだとは申し上げませんけども、そばにいてくれる誰かが助けてくれるという気持ちを持てる事が非常に大切だと思います。また場合によっては、国レベルで動員をかけて、違う地域を助けるというのは、非常に良い事だと思います。



―今後さらに日本におけるUD活動に期待されることはありますか?


写真:陳 麗喬氏陳:今回初めてUD専門の会議というものに出させて頂きました。ただ、これに参加する事によりまして、短い間ですけどもたくさんの事が学べたと思います。こちらに来る前にもいろいろリサーチをしてきたんですけども、私が思いましたのは、まだ大きな人の輪が確立できていないのではないかと思います。スピーカーの方が限られているし、オーディエンスの方々も同じ方がいらしている、あまり広がってないのではないのかと思います。ですので、これから今後の長期間の努力目標としましては、スピーカーやオーディエンスの方々として、いろんな新しい方々に来ていただけるようにするというのが、1つの方法ではないかと思います。
正直申し上げまして、まだ十分な注意を引けていない、本当に著名な方々を呼べるに至っていないんじゃないかと思います。これは全てUDが比較的新しい分野だからだと思います。

昨日、48Hデザインマラソンの表彰式に出させて頂きました。2人の学生がいろいろな経緯を経て、外国人の所にいって、ある課題に対して解決に導きました。私にとってこれは目からウロコが落ちるような経験でした。それでもまだ改善の余地がユニヴァーサルデザインにはあるのではないかと思います。


―ありがとうございました。



お問合せ

ご不明点やご要望は、事務局までお問合せください。

問合せフォーム

ページトップへ戻る