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特集:towards2010「危機と好機の時代に考えること」2/2

2010.05.24掲載

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3.サステナブルデザインに統合されたUD

UDは過去15年以上にわたって徐々にではありますが着実に認知されてきましたが、日本以外では主としてアクセシブルデザインに付随する隙間の概念のままです。長期にわたり、特に最近5年間は環境サステナビリティがグッドデザインの中心として著しい信奉を得ているのを見てきました。世界の多くの国々では、サステナビリティは環境・社会的・経済的サステナビリティの3つで構成されていると考えられています。米国建築家協会の環境委員会によると、「サステナビリティは将来にわたりあらゆる生物の持続的繁栄を目的とする」としています。サステナブルデザインは、このヴィジョンに沿ってコミュニティ、建築物、商品作りを探求しています。

今まさにサステナビリティという傘の下にUDを導く戦略的価値や実践的な機会を考察するときです。社会的サステナブルデザインは総じて好感をもたれているのに、実質が伴わないため、サステナビリティの3つの要素の中でも最も曖昧なものになろうとしています。UDは現実的、本質的であり、また21世紀のデザインは年齢や能力など人間の多様性の事実に注目しないと、サステナブルではあり得ないという真実にこたえられません。


4.今後のステップ

今後の方向は明白です。しかし問題をグローバルに捉え少々別の方法で考える必要があります。IHCDの現在の重要なプロジェクトのひとつに「都市環境でのUDのケーススタディをグローバルに収集」し、ウェブ上で皆に公開することがあります。都市環境のデザイン専門家たちは、概して製品デザインやテクノロジーで我々が見てきたユーザー中心でユニヴァーサルなデザインとは同じ展開に向かっていません。彼らの関心はほとんどの場合、バリアフリー/アクセシブルな要件に留まっています。

多くの異なった地域で多くの異なった種類のグッドデザインの事例を皆で共有することは、UDがグッドデザインであることを明らかにするひとつの良い方法です。ケーススタディの最良の手本では、環境サステナビリティやUDへの掛かり合いを継続的に同時に実現させていることが分りました。それらの優れた考えに鼓舞され、環境サステナビリティやUD が相互に補うことで新たな思索をもたらすのではと期待しています。ケーススタディから2~3 例ご紹介します。

Eco-Mod House、米ヴァージニア大学 建築学科のデザインビルド計画の一例
明るい白と淡い木目のリビングルームとキッチン。大きなガラスの入ったドアと天井から床までの大きな窓が見える。


フランス・ボルドーの路面給電方式(架線なし)の新型路面電車
傾斜したフロント部、大きな窓とドアの車体はあたかも電力なしで滑るように動く。
列車の一側面には歴史的な彫像と大きなゴシック建築の教会。


福岡・七隈線
ベビーカーの赤ちゃん連れの女性がホームから電車に乗り込むところ。
進路は素材と色に変化をつけているが、乗り降りは完全に平坦ですきまは小さい。

最近は困難で苦悩に満ちた時代であり、皆が望むように早く回復へ変化することは望めません。従来のやり方がこれ以上無理だと分るまで、変化に抵抗するのは人情というものでしょう。UDは今、より強固で重要になると思います。しかし研究開発や生産への投資は正しいことであると強く主張しなければなりません。UDは社会のあらゆる面で自立やコミュニティ参加を支援する費用対効果の高い手法として常にデザインのポテンシャルであり続けてきました。日本では今日それを他国以上に実現させました。

現在の危機から一歩前に踏み出しいくつかの優先事項を提案し、UD運動をいかに守り発展させていくかを考えたいと思います。IAUDの持つリーダーシップと能力は世界で他に類をみません。アジェンダを再活性化させることで重要な推進力となり得ます。

― 社会的、文化的違いを尊重し、UDを世界に売り込み宣伝する多角的な方法を見つけましょう。新しい市場へ働きかけるための新しい方法を探りましょう。日本は社会全体でUDを成功させ、類をみない市場を創り出しました。UDという言葉を聞くことも理解することもできない社会に対して、あらゆる種類の卓越したUD製品を持ち込む方法を見つけることが肝要です。社会的サステナビリティとして環境サステナビリティとUDを結びつける選択肢を評価することは戦略のひとつとなります。

― サクセスストーリーを世界で共有し、次の段階へ向け刺激を高めていく。会議は最先端技術を学習するには素晴らしい機会ですが、また次世代のアイデアやミッションを引き継ぐ次世代の若者への触媒となるべきです。彼らをコンペやその他の良い機会に参加させてください。多くの若者にとって旅行が叶わないこの時期は、デジタル技術を通した経験の共有は今まで以上に重要になると思われます。

―これまで環境サステナビリティの考え方を進めるのに役に立ってきた強力な経済モデルとよく似ていてUDを擁護する強固な経済モデルはまだできていません。UDを採用する利益とそれを避けて生じる損失をどのように測れば良いのでしょうか?





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