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IAUDアウォード2015 審査講評

2015.12.22掲載

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審査観点

主な審査基準は、「ユニヴァーサルデザイン(UD)の理念が提示されているか、またそれを達成するための優れた活動が提案または実施されているか」です。UD理念の提示や具体的なアイデアの提案、そして活動の実践等を踏まえて、総合的に審査・評価しました。また、提出された資料も審査の対象として重視しました。
なお、審査観点は以下のとおりです。

  1. サステイナブルとユニヴァーサル~持続可能な共生社会創造のための理念と実践
  2. 多様性と包摂性~伝統、文化、生活様式、そして人間の多様性を理解し、少数を排除せず、積極的に包含することで、質的に豊かで幸福な暮らしを実現する
  3. 安全・安心な社会~人権を守り人間性を尊重した社会の仕組み、制度、モラルの構築
  4. 自発的、かつ持続的な対話~企業・行政・研究機関・NPO、そして生活者間の継続的な交流、及び関係の構築
  5. 世代を超えた知恵と技の継承~ユニヴァーサルデザインの普及啓発により次世代を担う人材を育成する



IAUDアウォード2015審査委員会

審査委員長:ロジャー・コールマン(英国王立芸術大学院名誉教授)
副委員長:益田文和(株式会社オープンハウス代表取締役)
委員:フランセスク・アラガイ(スペイン デザインフォーオール財団代表)
同:トーマス・バーデ(iFユニヴァーサルデザイン&サービスGmbH CEO)
同:ヴァレリー・フレッチャー(米国人間中心デザイン研究所代表)
同:荒井利春(金沢美術工芸大学名誉教授)
同:川原啓嗣(名古屋学芸大学大学院教授/一般財団法人国際ユニヴァーサルデザイン協議会専務理事)



IAUDアウォード2015審査委員長からのメッセージ

IAUDアウォード2015審査委員長/英国王立芸術大学院名誉教授
ロジャー・コールマン


審査委員長のコールマン氏

私は、アウォード審査委員長として、だれもが楽しく共用できる「Society for All(みんなのための社会)」の創造に取り組むためのすばらしいデザインや創造的なソリューションの数々を審査できることをうれしく思います。今年は、私を含む審査委員全員が、応募作品のレベル向上に、そしてユニヴァーサルデザインが現場で広く理解され、普及が進んでいるという証左を得たことに、強い感銘を受けました。

過去の審査では、高齢化という共同の課題に向き合い、高齢者や障害者を社会の主流に統合しようとする大手企業や地方自治体の強い熱意と意欲に勇気づけられ、喜びを感じました。しかし同時に、学ぶべきことの多さ、先の長さを認識することとなりました。そして昨年は、理解と成果のレベルが向上しました。うれしいことに、その傾向は今年も続いています。

今年の最優秀作品の審査基準は非常に高く、審査委員の期待するレベルも上がりました。もはや、かつてのような熱意や意欲だけでは足りません。利便性や喜びを持続的に提供するには、厳密さや組織化された方法が不可欠です。それがユニヴァーサルデザインの成熟の証です。注目すべきは、ユーザーとの純粋な協議と協力に加え、知識ベースの蓄積、企業内および企業間における専門技術の普及です。したがって、それらの重要な要素あるいは他の要素を満たしている十分な証拠がないと思われた場合は、受賞候補から外しました。

今年は、国際ユニヴァーサルデザイン協議会(IAUD)総裁として親しまれていた故寛仁親王殿下から、2013年8月以降その座を引き継がれた瑶子女王殿下が最終審査にご臨席し、選考のプロセスと各作品に関する協議にも参加されました。審査委員は、女王殿下の強いご関心と貢献を大いに歓迎し、今後のご支援と貴重な助言に期待しています。

アウォードの目的と将来という大きな問題に関しては、審査委員の一致した意見として、ユニヴァーサルデザインへの関心を高め、アウォードへの応募を促進することから、質の高いユニヴァーサルデザインの実践例、方法論、成果の推進と表彰に移行することが求められます。ただし、まだ大幅な進歩の余地がある分野については、この限りではありません。特に注目したいのは、共生社会を実現する製品とサービスを継続的に開発および改良する推進力としてユニヴァーサルデザインを理解し、全社的に取り組む姿勢を示す革新的なプロジェクト、製品、サーヴィスです。そのような共生社会こそ、IAUDを創設した寛仁親王殿下の目標でした。

私たちは過去14年間、長い道のりを歩んできました。2015年のIAUDアウォード受賞者とともに、これまでの成果を祝したいと思います。


IAUDアウォード受賞の講評はこちら



IAUDアウォード2015 大賞

2015年の大賞は、それぞれ異なる方法でユニヴァーサルデザインに対して意欲的に取り組む3つの模範的なプログラムとプロジェクトが共同受賞しました。3つの受賞団体は、それぞれの事業分野の境界に捉われず、詳細へのこだわりと成熟した思考の点で顕著な成果を上げ、ユニヴァーサルデザインの理念を熟慮の上で一貫して実践すれば何を達成できるかを実証しています。



公共空間部門
西葛西・井上眼科病院における人間の感覚に基づいた安全・安心の新たなユニバーサルデザインの取り組みと実践
医療法人社団 済安堂/鹿島建設株式会社

専門病院である西葛西・井上眼科病院では、日本社会の超高齢化、およびその結果として視力関連の問題や症状を抱える人の増加により、需要が増大しています。患者の増加に伴い、既存施設の改装と新規施設の建築が必要となりましたが、2011年3月の東日本大震災により、災害緩和の必要性が注目されていました。西葛西・井上眼科病院は、このニーズにできる限り効果的に対応するため、独自のユニヴァーサルデザイン調査グループを設置し、設計上の重要項目の検討と監督を任せるとともに、そのプロセスに情報を与え、検証するための一連のユーザーインタビューおよびテストを開始しました。その成果が、「五感に基づくユニヴァーサルデザイン」総合計画です。

院内の案内は、視覚、触覚、聴覚への刺激を組み合わせてわかりやすく表示し、特に安全や避難関連の標識は目立つよう配慮しました。また、手すりを設置し、転倒を防止するよう配置を工夫するなど、他の形での情報や機能も補足しています。これらの要素を備えた、歩きやすく、安全で、快適に利用できる建物は、利用者との話し合い、協力、検証、評価の反復的プロセスによって実現しました。そして病院は現在も、そのようなプロセスを中心として、ユニヴァーサルデザインの理念を応用した継続的な改善に取り組んでいます。

審査委員は特に、西葛西・井上眼科病院におけるスタッフと利用者の緊密な協力とユニヴァーサルデザインへの継続的な取り組み、そして病院をできる限り使いやすく、便利な場所にすると同時に患者の安全確保と災害緩和に努める意欲に感銘を受けました。


教育部門
Universal Design Education and Development(ユニヴァーサルデザイン教育と開発)
DJ Academy of Design

2004年に設立されたDJデザイン・アカデミー(DJ Academy of Design)は、ユニヴァーサルデザイン教育に全面的に取り組むインド唯一のデザイン専門学校です。同校は、設立以来、ユニヴァーサルデザイン思考と実践をインド亜大陸に導入する重要な役割を担っています。学長であるシンガナパリ・バララム(Singanapalli Balaram)教授と、その同僚であり協力者である英国ノーザンブリア大学のジム・シン・サンドゥ(Jim Sing Sandhu)名誉教授はともに、デザイン分野の世界的問題に対する国際的意識向上に努め、ユニヴァーサルデザイン思考と応用の発展に大きな影響を与えました。

DJデザイン・アカデミーは、デザイン界や業界の将来世代のデザイナーや思想家にアイデアを与え、世界の大半を対象としたユニヴァーサルデザインを開発、応用、実践させることを第一の目標としています。そして、発展を遂げた民主的な21世紀のインドで、統合された公平な社会を築くことをビジョンとしています。これを達成するための戦略には、インド内外でのユニヴァーサルデザインの擁護と提唱、デザイン関係者、業界、公共セクターへの働きかけ、インド政府によるユニヴァーサルデザイン政策の策定と実行の奨励およびサポート、そしてそれらの活動を支援し、持続するための研究センターと施設をコーヤンブットゥール(Coimbatore)のキャンパスに建設することが含まれます。

審査委員は、ユニヴァーサルデザインのメッセージを広め、他の機関が後に続くよう激励しようとする同校およびその主要スタッフの高いエネルギーと意欲に感銘を受けました。DJデザイン・アカデミーは、国際的な結び付きや協力関係を充実させることで、インドにおけるユニヴァーサルデザイン思考の発展に重要な役割を果たしています。2015年3月の大規模な国際会議では、ユニヴァーサルデザイン宣言を発表するとともに、世界的な問題やそれらがデザインに与える影響についての国際的な意識向上に貢献しました。


事業戦略部門
らく楽アシスト ~あん心してらくに楽しく使える製品開発の取り組み~
三菱電機株式会社

三菱電機は、2010年から製品開発の柱としてユニヴァーサルデザイン戦略を推進しています。らく楽アシストは、安全に使える、簡単に使える、楽しく使えるという3つの理念に基づき、できるだけ多くの人に簡単に楽しく使ってもらえる製品開発を目標とした取り組みです。

コンセプトから販売までの製品開発全体にこれらの理念を応用することで、安全、簡単、楽しく使えるという目標に必須の要因、機能、特性が明確化されました。これは、総合的な社内ユニヴァーサルデザイン(UD)システムとガイドラインの開発によって達成されました。これは、インクルーシヴデザインのマネジメントに関する英国規格BS7000-6に定められたデザインプロセスに類似しています。三菱電機のユニヴァーサルデザイン(UD)システムは、新製品の開発プロセスに全面的に統合され、パッケージ、製品に関する資料、マニュアル、カタログを含めた製品のライフサイクル全体に適用されています。これには、社内評価、検証、認定方式のほか、継続的改善プログラムの一環として、ニーズの特定から使用中の評価まで、開発の主要段階におけるユーザーとの入念な協議が含まれます。

審査委員は、3つの主要理念を構造化されたプロセスで適用し、ユーザーフレンドリーなデザインの重要な特徴を明確にしたこと、そしてそれらの特徴を共生的で抵抗のない形で実現したことを高く評価しました。また、会社全体で意欲的に取り組み、三菱電機の業務と製品にユニヴァーサルデザインを見事に組み込んでいることを歓迎しました。





IAUDアウォード2015 金賞


地域計画部門
DeafSpace Design Guidelines(デフ・スペース:聴覚障害者のためのデザイン・ガイドライン)
Deaf Space Project

耳の聴こえない人が、空間を体験したり、個人や集団のニーズに合わせて空間を変更したりする方法には、昔からほとんど注意が払われてきませんでした。そしてこの情報不足から、建築設計は聴覚障害者のニーズに十分に対応できていませんでした。この知識格差を埋めるため、デフ・スペース・プロジェクト(DeafSpace Project)は、ギャローデット大学(Gallaudet University:ワシントンDC)での独自の建築プロジェクトに基づき、聴覚障害者の感覚に訴える空間と環境づくりに必要な指針とデザイン上の推奨事項をまとめた「デフ・スペース:聴覚障害者のためのデザイン・ガイドライン」を発行しました。

本の元となったデフ・スペース・プロジェクトは、基本的な設計と研究のスキルを身につけた聴覚障害者が、自分の体験を記述し、建築家や照明デザイナーのチームとともに日常的な困難や状況に対するデザインソリューションを提案した極めて共生的な共同デザインプログラムです。プロジェクトの最初の成果は、ギャローデット大学の学生寮(Living and Learning Residence Hall VI)などの建物の設計に影響を与えました。

審査委員は、そもそものデフ・スペース・プロジェクトと学内の建物が聴覚障害者または難聴の学生や教職員向けに設計されていますが、発行された総合デザインガイドラインの内容は、聴覚障害者や難聴者がどのように空間を体験しているかの具体的な理解を助けると評価しました。この発行物は、建築的空間と環境の社会的利用と認知に関する重要な問題を提起することにより、あらゆる年齢と能力の人々のために広く応用される可能性を秘めています。


公共空間部門
Talking tactile model Berlin(音声対応ベルリン触地図)
Technical University of Berlin

ヨアネウム応用科学大学(FH Joanneum University of Applied Sciences:オーストリア)との協力およびユーザーとの広範囲にわたる共同作業により、ベルリン工科大学(Technical University of Berlin)は、革新的な音声対応ベルリン触地図を作成しました。目標は、目の不自由な観光客が行きたい場所への道を調べる既存の立体模型を大幅に改善し、ユーザーに建物の説明を提供することでした。このため、大型の立体環境というコンセプトを拡大し、音声や拡大要素を加えるとともに、RFIDナビゲーションやスマートフォン統合などの最新技術を採用することで、複数の感覚で捉えることのできる展示物を目指しました。こうして、弱視者を含む視覚障害者も健常者も楽しめ、だれにでも詳細で豊かな情報を提供する都市の立体展示が完成しました。

4年間の研究開発プロジェクトは、ドイツの視覚障害者協会との緊密な協力で実現しました。技術とデザインにおける主要ユーザーと専門家の共同作業は、創造的な相乗効果を生み出し、大型の構造体や環境をすべての年齢と能力の人に提示する新しい境地を開きました。

審査委員は、ベルリン工科大学の音声対応ベルリン触地図を、「触覚の」、つまり触って感じることのできる都市模型の既存概念を大きく拡大する革新的な作品と評価しました。音声やアニメーションを加えることで、目の不自由な観光客にとって、基本的に動かない模型の価値が大きく高まります。さらに、純粋に共生的かつユニヴァーサルな形でインタラクティブな体験を加えたことが、触地図の魅力を高めています。


共創デザイン部門
www.seniori365.fi internet wellbeing service for seniors and their caregivers –all aid in one place.(www.seniori365.fi:シニアと介護者のための総合的なインターネット福祉サーヴィス)
Laurea University of Applied Sciences

seniori365.fiは、高齢者やその家族の健康、福祉、社会活動を促進するために、ユーザーやサービスプロバイダーが無料でアクセスできるデジタルプラットフォームです。適切な家庭用製品やエスポー(フィンランド第2の都市/地方自治体)周辺の多様な地域サービスを紹介する窓口として、seniori365.fiは、高齢者とその家族に幅広い情報源を提供し、独立と社会参加を促進しています。このコンセプトは、ユーザーにもプロバイダーにも評価が高く、エスポーで成功を収めたため、フィンランドの他の自治体でも採用される予定です。

seniori365.fiは、2012~2014年の間に、ラウレア応用科学大学(Laurea University of Applied Sciences)の学際的な学生グループによって開発されました。学生たちは、高齢者のニーズと懸念を綿密に調査した上で、さまざまな研究、ユーザーの関与、共創の方法を使い、共創デザインの演習としてデジタルサービスのコンセプトを考案しました。開発作業の後は、ユーザーによる広範なテストと検証を行い、ウェブサイトの構造、使いやすさ、見た目、コンテンツに変更を繰り返しました。

審査委員は、共創デザインを通じた世代間協力の優れた例としてこの取り組みを歓迎するとともに、創造性豊かな若者が、現在から未来において社会的に重要な現実問題に対処しようとする意欲に感銘を受けました。


事業戦略部門
商品と販売体制造りの両面で福祉車両を普及促進する取り組み
ダイハツ工業株式会社

幅広い運動能力に合わせ、多彩な福祉車両を販売するダイハツ工業は、顧客へのアドバイスとサーヴィスに一貫したアプローチが重要であることを認識していました。このため同社は、「フレンドシップ」福祉車両シリーズに試乗でき、気軽に相談できる「フレンドシップショップ」のコンセプトを販売店ネットワークに導入しました。販売店が「フレンドシップショップ」に認定されるには、店舗内がバリアフリーであること、特に車椅子利用者に対応する販売スタッフが福祉車輌取扱士の資格を取得していること、顧客が専門家のアドバイスを得て自分で車両を評価し、試乗できること、という3つの重要な基準を満たす必要があります。
現在、100以上のダイハツ販売店が「フレンドシップショップ」に認定されていますが、同社はこれを最終的に日本全国で600店以上に増やすことを目指しています。

審査委員は、運動上の障害のあるすべての顧客に一貫したサービスと環境を提供するというダイハツ工業の意欲を高く評価しました。高齢化社会において社会的共生と独立した生活を促進する点で、これは日本のユニヴァーサルデザイン社会に向けた重要な前進です。


住宅設備部門
おきラク手すり
パナソニック株式会社

風呂場の手すりの重要性は十分に理解されているものの、高齢や障害のイメージが強いという点で、消費者には依然として抵抗があります。この問題に対処するため、パナソニックは、利用者や専門家と検討を繰り返し、総合的な性能要件を確立するとともに、利用者のニーズや希望を詳しく理解しました。この結果、開発された手すりは、小物を置く棚を兼ねており、快適で安全な手すりであるだけでなく、浴室の小物を整理できる収納棚としてもスタイリッシュで機能的にできています。

目標は、高齢者や障害者にとって転倒の危険のある浴槽の出入りなど、一連の動きをしっかりサポートすることでした。デザインの最適化には、パナソニック独自のデジタルヒューマンテクノロジーを活用し、高齢者や障害者を含む代表的な多世代家族の協力を得ました。手すりはユニットバスに一体化されることから、固定の強度や利用における信頼性も確保されました。

審査委員は、この製品が、現代のバスルームにおいて見過ごされたり、不十分に対処されたりしがちな安全性に対して、シンプルでエレガントなソリューションを提供したことを高く評価しました。高齢化社会に対応した製品であることも称賛しています。


プロダクトデザイン部門
日本の暮らしに合わせた統一コンセプトの家電シリーズ「Jコンセプト」
パナソニック株式会社

30,000戸以上を対象とした大規模な消費者調査に基づき、パナソニックは、高齢者のニーズ、希望、ライフスタイルに合わせた新しい家電シリーズを開発しました。パナソニックは、50歳以上の消費者に重点を置きつつ、年齢や能力を問わず、幅広い消費者に使いやすい機能を持たせるため、ユニヴァーサルデザイン思考を応用しました。利便性、使いやすさ、操作性を重視し、サイズと重量を縮小するとともに、構造面では耐久性と細部に注意を払い、デザインはシンプルで流行を追わないものとなっています。

目標は、操作を簡単でわかりやすくし、ユーザーに要求する機能を少なくすることでした。このアプローチの成功は、製品シリーズに含まれる洗濯機、エアコン、冷蔵庫、掃除機、スチームオーブンレンジ、小型炊飯器のそれぞれがIAUDアウォード2015で高い評価を受けたことに実証されています。

審査委員は、パナソニックが、入念に調査を重ねたアプローチにより、使いやすさとシンプルさの点で本当に高齢者にやさしく、ライフスタイルに合わせたユニヴァーサルな家電を開発していると感じています。パナソニックの目標は、日本の暮らしに調和した製品シリーズの開発でしたが、審査委員は、結果として国際的に幅広い消費者に訴求する可能性のあるデザインになっていると考えています。





IAUDアウォード2015 銀賞


住宅・建築部門
FabCab - Eco-friendly, Universally Designed Homes(ファブキャブ:環境に優しいユニヴァーサルデザインの家)
FabCab

人口の高齢化と環境的な持続可能性は、現在から未来にかけての2つの重要な社会問題です。ファブキャブ(FabCab)は、自由にパーソナライズできる組み立て式住宅システムによってこれらの問題に対処しました。顧客が標準デザインを踏まえて好みの基本要素を選ぶと、各部材が製造され、認定業者が現場でそれらを組み立てます。標準デザインには、高齢者にも障害者にもやさしく、環境的に持続可能な一連のユニヴァーサルデザイン機能と付属品が含まれます。目的は、すべての人の健康的なライフスタイルを促進し、サポートすると同時に、廃棄物を減らし、省エネと資源効率の向上に努めることです。

審査委員は、特に持続可能性とユニヴァーサルデザインの点で詳細へのこだわりを称賛し、ファブキャブが提供する総合サービスの性質も評価しました。また、高齢の家族が愛する者たちの近くで独立して生活できるようにするという意味でも、高齢者用住宅としても、高齢化社会に価値のある製品と考えました。


ウェブデザイン部門
デザイニングWebアクセシビリティ - アクセシブルな設計やコンテンツ制作のアプローチ
株式会社ビジネス・アーキテクツ

アクセシブルなウェブサイトのデザインは、現在から未来にかけて非常に重要です。ウェブサイトのデザインは急速に変化しつつあり、ガイドラインやアクセシビリティの条件は、想像性豊かなデザインを妨げるコスト要因と見なされることが少なくありません。残念なことに、アクセシビリティの低いウェブサイトデザインは排除と能力の剥奪につながり、日本など一部の国では大きな問題となっています。この問題に対処するため、ビジネス・アーキテクツの技術部門は、主に日本を対象としたウェブアクセシビリティに関する書籍を出版しました。この目的は、企業やウェブサイトデザイナーに対し、通常のワークフローの一環として質の高いアクセシブルなデザインが可能であり、大きな追加コストなしに顧客満足度を高められると伝えることです。

審査委員は、実際の作業例に基づいて解説する書籍の直接的で実用的なアプローチを称賛しました。書籍という自由な形式により、読者は、制約を感じることなく、ウェブサイトのアクセシビリティに関する基準や指針を理解できます。デザイナーにとってアクセシブルで使いやすい形式で、問題解決やワークフローに関する実用的なアドバイスも提供されています。


非常時配慮デザイン部門
電池がどれでもライト (BF-BM10)
パナソニック株式会社

この懐中電灯は、単1形から単4形まで4種類の電池に対応します。普段は懐中電灯として機能し、LEDテクノロジーのおかげで電池寿命が非常に長いというメリットがあります。長さ135mmと小型で軽く、大型ハンドルがあるため、あらゆる年代のユーザーにとって使いやすく、安定した形状によって縦置きでも使用可能です。重要なのは、緊急時、特に停電が長引いた場合などに、あらゆる電池に対応する機能を生かし、当面使わない他の電化製品に入っている電池など、手元にある電池を利用できることです。

審査委員は、パナソニックのデザインチームがユーザーの声に応え、LEDテクノロジーに変更を加えて重量とサイズを大幅に削減すると同時に機能性を高めたことに特に感銘を受けました。この2つ目の製品の成功は、ユニヴァーサルデザイン思考を継続的な製品改良に応用している良い例です。


コミュニケーションデザイン部門
遠隔要約筆記支援システム
NECソリューションイノベータ株式会社

遠隔要約筆記支援システムは、教室内と外のデータの双方向の流れを確立し、聴覚障害者と要約筆記者をインターネットで結びます。サポートの依頼を受け、要約筆記者を学生に割り当てることも可能です。このシステムは、専門知識が求められる大学や専門学校において、要約筆記者の慢性不足を解消するために開発されました。人手不足に加え、要約筆記者の交通費やスケジュールを含めた地理的な制約も問題でした。時間の限られた学生や元学生でも、あるいは地理的所在地に関係なく自宅でも要約筆記者として働けるようにすることにより、このシステムは、コストを削減すると同時に、特に専門知識を備えた要約筆記者を利用できる機会を大幅に増やします。

審査委員は、インターネット技術と時間/リソース管理システムを統合し、エンドユーザーのニーズと要約筆記者の空き状況に対応するシームレスなサービスを高く評価しました。これは、多大なユーザーニーズを満たす革新的かつ需要の高いシステムです。


プロダクトデザイン部門
The Bradley Timepiece(ブラッドリー タイムピース)
Eone Timepieces, Inc.

ブラッドリー タイムピースは、健常者も視覚障害者も同様に使えるよう開発されました。眼鏡と同様に、現代の腕時計には実用性とファッション性が求められます。すなわち共生的な腕時計のデザインは、健常者と視覚障害者にとって便利なだけでなく、着用者の気分を盛り上げるものでなければなりません。この必要性が共生デザインまたはユニヴァーサルデザインの中心にあります。機能性に望ましさや好ましさを組み合わせることが必要です。これによって初めて、何らかの障害のある人とない人を分けることの多い心理的な距離を越える製品やサービスが実現します。ブラッドリー タイムピースは、高品質のスイスムーヴメントと、盤面に描かれた同心円上の溝を動く磁石とボールベアリングの組み合わせにより、エレガントで革新的な形でこれを実現しました。

審査委員は、デザイナー、エンジニア、そしてテストユーザーである視覚障害者が共創的なユニヴァーサルデザインチームとして協力し、このエレガントで洗練された製品を生み出したことを称賛しました。


プロダクトデザイン部門
コードレススティッククリーナー 『インスティック』 HC-VXE20P
三菱電機ホーム機器株式会社

コードレススティッククリーナー「インスティック」は、小型でシンプルなデザインで、掃除機と空気清浄機の2つの機能を兼ね備えています。この製品の目的は、掃除の負担と不便さを軽減し、子供にも高齢者にも掃除を簡単にすることです。これは、製品の体積と重量を大幅に削減し、大きな手でも小さな手でも握りやすい持ち手にすることで達成されました。2つ並んだボタンでシンプルに操作でき、スタンド兼空気清浄機は最小限のスペースに置けるよう設計されています。空気清浄機と兼ねることで、部屋や廊下に出しておくことができ、収納スペースが不要となります。

審査委員は、製品の空気清浄機能、利便性、ユニヴァーサルデザインに感銘を受け、掃除機と空気清浄機の両方の機能を持たせるというアイデアが革新的で省スペースにつながると評価しました。軽量で操作と掃除が簡単であることも高齢者や子供に親切です。


プロダクトデザイン部門
オフィスシステム「スイフト」
株式会社岡村製作所

従来、オフィスデスクの高さは固定されていて、従業員の体型や身長の差はほとんど考慮されていませんでした。椅子の高さを変えれば多少は個人のニーズに対応できますが、雇用/勤務形態の変化に伴い、柔軟な職場環境に対するニーズが高まっています。岡村製作所は、高さを調節できるデスクとテーブルのシステムにより、座っても、労働科学研究所が推奨するように立ち姿勢でも作業できるようにすることで、この課題を克服しました。昇降はボタン1つで操作でき、安全機能も内蔵しているため、どちらの作業姿勢にもデスク/テーブル面をスムーズに合わせられます。

審査委員は、十分な研究に基づいて設計されたオフィスシステムの人間工学的性能と健康上のメリットの両方を高く評価しました。また、デザインがエレガントで、現代の雇用/勤務形態、特に高齢の従業員およびユーザーニーズの多様化に対応する点も称賛しています。


プロダクトデザイン部門
球ランタン (BF-AL05シリーズ)
パナソニック株式会社

パナソニックの球ランタンは、毎日、多用途に使える便利なライトです。電池式で簡単に持ち運べる球ランタンは、ベッドサイドやキャンプでも重宝し、手元に置いておけば緊急時の役に立ちます。電池寿命が非常に長く、最大で1,000時間使用できるため、停電時にも安心です。また、明るさを2段階に切り替えられるため、子供部屋や夜間の授乳時、あるいは押入れその他の暗いスペースに必要に応じて吊り下げて使うことも可能です。LED照明ですが、やさしい光と電球の形状が親しみやすい印象を与えます。

審査委員は、このシンプルな多機能型照明が魅力的かつ実用的であり、信頼性と耐久性を備えた非常用の懐中電灯としても優れていると評価しました。電球を軽くタッチするだけという操作の簡便性も、全体的な使いやすさに貢献しており、日用品にユニヴァーサルデザインを応用した良い例と言えます。





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