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2006.12.18掲載
12月8日、社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)デザイン委員会の主催による「第4回ユニバーサルデザインフォーラム」が、富士ゼロックス株式会社ホールにて開催されました。このイヴェントで、IAUDの川口理事長が、先の国際会議を振り返って、「UD視点でのモノづくり―国際UD会議2006in京都での成果として―」と題した基調講演を行いましたので、その内容を紹介します。
はじめに会議の概要を紹介し、いくつか拘った点として会場の選定視点の紹介があった。京都は、歴史のある街であり、バリアが多い。しかも、会場となった国立京都国際会館は、1970年代にサミットのために建設された古い建物で、2年前に国土交通省の指導によって、スロープ等が設置されたという状況だった。しかし、京都市が「みやこユニバーサルデザイン推進条例」を制定し、京都ならではのUDに取り組んでいることもあり、「古いものとUDとの共存」を考える機会ととらえ、京都での開催を決定した。
扇子、風呂敷、畳など、日本の伝統的な道具の特徴として、「さまざまな状況に応じて多様な使い方ができる」側面がある。扇子などは、単に涼をとるための道具にとどまらず、踊りや落語の道具にもなる。さらに物自体は芸術作品でもある。こうして見ても、日本には昔からUD的なモノづくりの考え方があった。戦後に目を移すと、1950年代は家電の黄金時代で、日本オリジナルのデザインを創出するため、通産省(当時)のバックアップにより、1957年にグッドデザインマーク(Gマーク)制度が創設された。また、1990年代初頭のバブル崩壊後、デザインはコストコンシャスなモノづくりを要求され、品質の維持に苦労した時代であった。この頃、UDの概念が言わば、「逆輸入」されてきた。 21世紀に目を向けると、経験価値の時代へ、つまりデザインの時代が再来すると考えられる。それは、以下の3つの側面で語ることができる。
昨今では、UDをCSR(企業の社会的責任)あるいは、CS(顧客満足)の視点から経営戦略の一部ととらえる企業が増えている。UDに関する各種の団体も成果を上げている。IAUDはそういった団体と協力しつつ、活動している。
会議の成果や今後の課題は、まだ正式にはまとまっていないので、以下は私見を述べる。数だけで語るつもりは無いが、まず、UD2006には、世界29ヵ国から14,700名もの人が参加し、35の分科会で169件の論文発表が行われたことを申し上げたい。 成果をまとめてみると、第一にわれわれの予想を上回る来場者数であったこと、第二に全体会議、基調講演、各セッション、分科会、すべてが盛況であり、幅広い議論ができたこと、第三に展示会が高い評価を得たことなどが挙げられる。特に日本のUDに対する取り組みが、海外の有識者から高く評価され、あらためて日本のUDの先進性に驚かれていた。会議の参加者からは、具体的に以下のようなコメントが寄せられた。
また、確認できたこととしては、
などが挙げられる。
今後の課題は、「UD視点のモノづくり」の一言に尽きるが、あえてまとめるとすれば、以下の3つに集約することができる。
最後に、国際UD宣言2006全文を紹介すると共に、以下のようにまとめたい。日本は元来、ユーザー視点でモノづくりをしてきた。いろいろな時代を経て、今まさにUDという言葉のもとに、もう一度、原点に戻って自信を持ってモノづくりをしていく必要がある。