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2. デザインが可能にするもの
1960年代、デザイナーは多くの課題に直面していました。例えば、貧困の問題をどうするのか、環境保全をどうするのか、人にアクセシビリティが与えられるのかなどです。それらの課題はデザイナーをして、「QOLの意思決定者」にしていったのです。私たちの都市の形態や規模を決めていくこと、脆弱な地球という惑星を保護し持続していくこと、そしてすべての人たちが独立し、自立した生活ができることなどを通して、次第にグッドデザインの重要性に気づいていったのです。
デザイナーの役割も重要なものになっていきました。ダビンチが、当たり前だと思われていたことをあえて問うたように、今日のデザイナーは、既存の知識をもう一度再考し、再定義しなければなりません。正解を求めることが重要ではないのです。正しい問題設定をすることが大事なのです。今ほど、デザインがわくわくし、興奮するような時代はありません。
個人のニーズ、等しい人間としてのすべての人のニーズを満たすために、デザイナーに対して新しい役割が与えられているのです。デザインによって、人道愛、人道主義をもたらすという使命です。私たちが夢見て、望んで、デザインすることによって、人間愛、人道主義がもたらされるのです。
私たちデザイナーは「制限」を口にしてはなりません。あの人は歩けない、というべきではないのです。むしろ、どうしたら彼が動けるようにできるのかと問いかけなければなりません。同様に、あの人は聞こえないというべきではありません。私たちが言っていることをその人たちに理解してもらう方法を考えるべきなのです。
可能性に焦点を当てるべきです。欠陥のあるところに機会を提供し、無知のあるところに啓蒙をもたらし、行き止まりには安全な道を作るように努力するのです。もはや、その人に障害があるとか、能力がないとかは言えないのです。私たちの役割、デザイナーとしての目標・使命は、一人ひとりの能力を評価し、その人の潜在能力を高めていくことです。
写真4:情報保障は、音声同時字幕システムと手話通訳
デザイナーは「できない」ものを「できる」ようにしていく、すべてを可能にするように人を勇気づけていく人なのです。それがデザイナーたる所以であり、まさにデザインによって初めて可能となるのです。
デザインによって、その人の潜在能力を伸ばす、それがグローバルな時代のビジネスに与えられた課題であり、挑戦といえるのではないでしょうか。