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日本人の暖かい心やおもてなしがグローバルなUDを確立する

2015.08.05掲載

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写真:フェルナンダ・ジョルダニ・バルボサ・ハラダ氏

フェルナンダ・ジョルダニ・バルボサ・ハラダ

人間中心デザイン研究所 客員デザイン研究員:米国

■インタヴュアー:北村 和明(IAUD情報交流センター長/株式会社岡村製作所)
■日時:2014年11月12日 12:20~

プロフィール


―ご自身の国のユニヴァーサルデザイン(UD)について特徴をお聞かせください(誇れる点や既に普及している点)


フェルナンダ・ジョルダニ・バルボサ・ハラダ(以下 ハラダ):私は現在アメリカに住んでいますが、出身はブラジルです。
ブラジルには、ユニヴァーサルデザインによる空間や製品、またこの問題に関する研究の実施、あるいは政策や環境の変更について、必要性を訴えている人たちもいます。しかし人口からすればまだ一部に限られています。建築家やデザイナーなど関係する職業の人たちですね。
UD自体の理解はもっと広まっていると思いますが、UDはまだサンパウロなどの大都市に限られ、変化は小規模な一部のものに留まっています。ブラジルは非常に大きな国ですから、こうした変化がもっと広がり、単なる物理的変化を超えて、人びとの態度的行動や知識、政策にも及ぶべきだと思います。幸い、インクルーシヴな空間づくりの推進を意図した規則(法律)はありますし、触発された人びとがユニヴァーサルデザインに基づく空間と姿勢(全体のコンセプトとして)の推進を提唱しています。でもまだ始まったばかりです。

私が知る限り、アメリカの方がUDの問題に長く注目してきました。ですから理解が深くアクセシブルな場所も多いですし、障害をもつ人びとをあらゆる点で差別から守るADA(障害をもつアメリカ人法)などの法律もあります。



―アメリカの場合もUDは法律に従って進められているのでしょうか。


ハラダ:障害をもつアメリカ人法(ADA)は1991年に制定され、以来アクセシビリティの理解の向上に寄与しており、UDの基準となっています。そういうわけで、社会的・物理的インクルージョンを推進すべく人びとの行動を変容させてきました。
ただ、UDに対応しているのが単に法律だけとは考えられません。それは動的な思考プロセスだからです。むしろ、場所、物事、情報、コミュニケーション、政策を設計するための枠組みであると言えます。私はこれが世界中で共通の枠組みとなること、今後何を作ってもインクルージョンの概念が基本になることを期待しています。そもそも誰もがお互い違っているのですから。



―アメリカやブラジルと比べて日本のUDの印象はいかがでしょうか。


ハラダ:日本に来たのはこれが初めてです。本で読んだり、来日経験のある友人たちから聞いたりして少し知識もあり、優れた対応策やインクルーシヴな空間を前もって想定していましたが、実際に見るとやはり驚きますね。アクセシブルな歩道から、コミュニケーションが言葉だけでなく単純で分かりやすい絵文字によっても可能だということを示す標識まで、どこへ行っても素晴らしいソリューションに出会いました。例えば隣の科学未来館で見た、優れた案内表示には感心しました。入館すると、床にしるしがありエレベーターの場所がすぐ分かるようになっていて、自分がどこにいるか容易に把握できたのです。個人的にはもっと大きく描かれていればさらに分かりやすかっただろうと感じましたが、標示のコンセプトは秀逸だと思いました。
とは言えどんな場合でも改善点はあるもので、日本でもやはり良いデザインと悪いデザインが混じっていると思います。例えば私は東京に来た初日に、ホテルからお寺と公園に行こうとして道に迷ってしまいました。時間が3時間しかなく地図を一枚持っていただけだったので、迷うのは心配でした。でも通りの標識は全部日本語で記されていて、何と書いてあるか全く分かりません。自分で道を知る手段は他に無く、迷わないためには、歩いたブロックを数えて自分が地図上のどこにいるかを見失わないようにするしかないと気づきました。でも結局は景色に目を奪われて、ブロックの数が分からなくなりましたけどね。外国人や観光客向けの対応として、例えば英語の標識を設置すると良いのではないでしょうか。そうした標識があれば、自分のいる場所を把握しやすかったと思います。



―2020年に東京でオリンピックとパラリンピックが開催されます。これは今回の会議のテーマでもありますが、海外の方の視点から、2020年に向けたグローバルUDの構築について、都市計画やIAUDへの期待を含めご意見やアドヴァイスをお聞かせください。


写真:フェルナンダ・ジョルダニ・バルボサ・ハラダ氏ハラダ:東京オリンピックとパラリンピックをこの会議のテーマに選んだのは素晴らしいことだと思います。日本をさらにアクセシブルで皆に好意的な国にしようという熱意の表れですね。
UDの概念を基に改善を行うということは、デザインが広い範囲の人びとに届き、自信、快適さ、統制感をもたらすことを意味します。海外からの訪問客はオリンピックとパラリンピックを観戦するだけではなく、公共交通機関を利用し、飲食や観光も行います。ですから何か変更を考えるなら、空間をよりインクルーシヴなものとするため、態度的行動や政策、環境、情報、コミュニケーションなどあらゆる面を分析し、より利用者にやさしい対策と設備を用意して国外からの訪問客を迎えることを目指すべきでしょう。
環境面を変えること以外に、言語は取り組むべき大きな問題です。言葉以外の要素を利用した何か別の種類の対応が可能な良いインターフェイスがあれば、街中でさまざまな活動に参加する多くの観光客を助け、支援できるでしょう。
日本は日本人という膨大な人的資源を活用すべきだと思っています。私は滞在中さまざまな状況で人と会い、その見事なおもてなしを経験する素晴らしい機会を得ました。どこへ行っても皆親切で、私たちを温かく迎えてくれました。私が思うに、2020年までにグローバルUDを確立するにあたり、日本の人的資源が大いに国の助けになるでしょう。人の行動は変えるのが最も難しいものの一つですが、それは確実にもう日本に存在しています。


―ありがとうございました。



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