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日本デザインの良さはにじみ出るエレガンスと調和

2013.03.14掲載

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写真:ラーマ・ギーラオ氏

ラーマ・ギーラオ氏

王立芸術大学院ヘレンハムリンセンター副所長:英国

■インタヴュアー:秋谷 英紀(トヨタ紡織)
■日時:2012年10月12日 18:30~

プロフィール


―2003年にIAUDが設立され来年で10年になりますが、この10年で、日本のユニヴァーサルデザイン(以下 UD)がどのように進化したとお考えになりますか?


ラーマ・ギーラオ(以下 ギーラオ):IAUDは非常に力強い成長をとげていらっしゃると思います。力強く活動を始められ、そのまま勢いが衰えることなく継続していらっしゃると捉えています。世界の他の地域では、小さな活動から始めて、そこからどんどん勢いを得ていく形で発展してまいりました。

このIAUDにおかれましては、寬仁親王殿下のご参加を得られたという事、そしてメンバーの方が一生懸命仕事をされたという事で、130社にものぼる日本企業のご参加を賜る事をできました。
ですから、私が世界中を旅した際の話をいたしますと、他の国の人々は日本のユニヴァーサルデザインの達成に感心する声が聞こえてまいります。「どうやってそういった事を可能にされたんですか」という風にも聞かれます。非常に強い組織、強い決意、そして強い価値観を持って、活動されたからではないでしょうか。ですので、他の外部の方々も参加したいなという気持ちを強められるんだと思います。政府、寬仁親王殿下のお嬢様の瑶子女王殿下がご参加でいらっしゃったと思います。このように皇室関係のご参加を頂くという事、そして政府の関与があるという事、日本企業の参加があるという事、非常に成功への図式としては強いものがあると思います。



―2つ目の質問です。UDに関して、アジア地域における日本の役割はどうあるべきだと感じていますか?


ギーラオ:アジアという枠組みではなくて、グローバルな視点で捉えられたらいかがかと、私は思います。この日本には、非常に素晴らしいデザインの製品が多く見受けられます。課題というのは、日本の会社が良いデザイン製品である事をどのように他の国にアピールしていくか、これが重要だと思っております。車やトイレ、キッチンにしても、これらをグローバルな展開をされたらいかがかと思います。例えばヨーロッパでも日本のトイレを買いたい、という方はたくさんいらっしゃいます。アジアのマーケットの中でという風にだけ考えるのではなく、日本企業が世界中の方々に素晴らしい技術・製品があるんだ、という事を伝えていかれる、コミュニケーションをとっていかれる、ということが大切だと思います。そして、そのような違う市場においても役に立ち、売れる製品にする事、例えばアメリカ、ヨーロッパ、アフリカ、インド、ロシア、どこに行っても売れるようにされること、これが大きな課題ではないでしょうか。

いくつか追加させて頂きたいと思います。日本はリーダーシップの役割を十分に果たしていけると思います。この会議にも過去3、4回伺っておりますけども、その間にどのように成長・変貌をとげてこられたか、目の当たりにしてきております。最初は機能的であることから始まったものが、だんだんそこに気持ちがこもるようになってきました。日本のデザインであるという、その香りがあちこちにするような、そういうデザインが台頭してきていると思います。私は今デザイナーとして申し上げていますけども、日本のデザインは非常に魅力がありますし、世界中に台頭してきていると思いますよ。

―私も日本人デザイナーの1人として、とても誇りに思います。これはとても個人的な事ですが、あなたのコメントは私の仲間に大きな勇気と歓びを与えてくれます。


―東日本大震災を機に、日本やアジアに住む方々の安全・安心に対する意識が大きく変わりました。「今後起こりうる自然災害から安全に命を守る」「震災後に取り組むべき安心した日常生活の回復」は、日本にとって切実な課題です。こうした「命を守る」「安心した日常生活の回復」という観点とサスティナブルな社会実現へ向け、どのように取り組んでいくべきだとお考えでしょうか?


ギーラオ:サスティナビリティ 持続の可能性については、3つの要素があると考えています。1つ目が環境、2つ目が経済、3つ目が社会的な要素であります。

1つ目の自然災害時の環境については管理をする事は非常に難しいと思います。私共の管理が可能なのは社会的な部分、そして経済面だと思います。この2つについては再成長をしていく為に管理をしていく事は可能だと思います。そして社会的な部分においてユニヴァーサルデザインというのは大きな役割を果たし得ると考えています。

中心的な価値観というものが重要だと思います。私は何回も日本を訪問させて頂いて、その度に感じることは、他人や他人の持ち物を大切にされ、敬意を払われるという素晴らしい面があるということ。私のいう日本のデザインテイストは、エレガントさ、シンプルさという風にいえると思います。例えばレクサスもそうですし、パナソニックの製品もそうであります。ですから、こうした価値観は人との関わる中で使われれば、非常に価値があるものだと考えております。そして、復興への道しるべになるのではないでしょうか。



―1つだけ個人的な質問よろしいですか? 私はミラノに住んでいます。ミラノはエレガントでシンプルな都市だと思います。多くのデザイン、スタイリングカラーが溢れています。ミラノのエレガントでシンプルなものと、今あなたがおっしゃった日本のエレガントとシンプルとは何が違うと思いますか?


ギーラオ:良い質問だと思いますよ。私にとってはイタリアのデザインというのは、見てすぐ分かる、そして目に付きやすいという所に焦点があるように思われます。その製品を見た瞬間に非常に美しいと感じ、その美というのは明らかで瞬時に分かるものです。しかし、日本の美というのはエレガンスに通じるものがもっと多いという風に思っております。抑制された中ににじみ出てくる美のようなもの。例えば日本の空港についたときに、私たちが肌で感じるようなものと似ていると思います。例えば、空港に飛行機が着くとグランドスタッフの方が通路に並ばれてお客様のお迎えをされます。このような時に自分が尊重されているなと感じる、これが私の申し上げるエレガントな美しさであります。イタリアのデザインの場合はですね、何か言いたい事があってデザインしている、そしてその言いたい内容というのは非常に力強いものであり、このような違いがあるように思えます。

写真:ラーマ・ギーラオ氏もう少し説明をしたいと思います。例えば、アルファロメオをご覧になった時、胸にグッとくる美しい車だという風に感じると思います。目にした瞬間にハートにくるような美しさだと思います。それに比べますとレクサスの場合には、全てが正しくデザインされていて、信頼できる車だと思います。全てが調和されデザインされています。しかしこの美しさに気付くには、イタリアの車と比べますと、少し時間がかかるように思います。毎日、目にしてその良さにじんわり気が付いていくような、それが日本車の魅力ではないでしょうか。イタリアの車というのは、好きか嫌いか二分される車だと思います。フェラーリやランボルギーニと同じです。



―今後さらに日本におけるUD活動に期待されることはありますか?


ギーラオ:恐縮ですが、私からのお願いと申しますか、皆様に望んでいる事を申し上げたいと思います。

UDの活動というものは、日本の価値観を持って大きくなって頂きたいんです。日本で大きくなるんですけども世界の他の国々ともつながった形でやって頂きたいと思います。物事がグローバルになると、その行く先々でそれぞれの地域の価値観というのがもちろんあるわけです。全体として社会や人間性を良くしていきたい。
良いものであれば、グローバルになって頂きたいというのがありますが、その中で地域色を失わないような形で進めて頂きたいと思っております。これが私からのお願いです。


―ありがとうございました。



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