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2007.01.13掲載
IAUDセッションの最後には、「対話の実践はどう進んだのか」と題して、4名のパネリストによる発表とパネルディスカッションが行われました。
最初に、普及啓発WG・細山雅一主査から「IAUDが進めて来た、使い手と作り手の対話」とのテーマで、発表がありました。発表では、企業が20歳から60歳の健常者が大半を占める社会であり、作り手が自分と異なる特質を持つ人たちを忘れてしまいがちなこと、作り手がもっと多用な人々と対話し、モノづくりやサービスのあり方を考えていくべきことなどについて、言及がありました。
続いて、ワークショップWG・市場純生主査から「IAUDワークショップにおける対話から生まれるUD開発の可能性」とのテーマで、発表がありました。発表では、開発の現場においてユーザーのリアリティが欠け、ユーザーサイドから見ると現場を触れる機会が少ないことなどに触れ、このギャップを埋める手法としてIAUDワークショップの内容と成果について紹介がありました。
続いて、フリーランス・UD研究者の松森果林氏から「IAUDの対話の成果と課題は?」とのテーマで、発表がありました。発表の中で松森氏は、3年間の活動を振り返り、メンバーの意識が少しずつ高まっていったことなどを成果として挙げ、一方でもっと対話の場が必要との見解を示しました。また、成果主義にとらわれると本質的な活動を失う可能性があることに言及し、IAUDへのサービス提供企業の参加、バランスのよい会員構成などを今後の課題として挙げました。
最後に、「日経デザイン」の編集長・勝尾岳彦氏から「UDに取り組み、進化する日本の企業」とのテーマで、発表がありました。勝尾氏は、アジア各国がデザイン力をつけてくる中で、UDが日本が他国をリードする競争力の源泉になる可能性を指摘し、UDがここ数年で急速に普及してきている一方、売上比率では低いレベルにとどまっていること、まだ多くの人々が不満を抱えていることなどを具体的なデータとともに示しました。
その後のパネルディスカッションでは、「対話」をどのような視点でとらえるか、UDと経済的効率性をどのように両立させていくか、今後UDが主流となっていくためには何が必要か、IAUDの今後の課題は何かなどについて、4名のパネリストによる活発な意見交換が交わされました。