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「人とは何か?人の存在とは何か?人との繋がりとは何か?」IAUD総裁瑶子女王殿下が感動的なご講演

2016.09.30掲載

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IAUD は2016年7月27日(水)から31日(日)までの5日間、ウォルト・ディズニー・ワールド・スワン・アンド・ドルフィン・ホテル(米国フロリダ州レイクブエナビスタ市)で開催された「AHFE2016(第7回国際応用人間工学会議)」(主催:国際応用人間工学会)に参加し、総裁の瑶子女王殿下もご臨席されました。
AHFE2016は応用人間工学についての議論や情報発信、国際交流を目的としており、会期中には28のカテゴリーから255のセッションが実施され、世界60ヶ国から約1700名が参加しました。

会議4日目の30日(土)には、AHFE2016の構成要素の一つとして新しく企画された「第1回インクルーシヴデザイン国際会議」内のセッション145「 Design for Inclusion: The Japanese Perspective(インクルーシヴデザイン:日本の視点)」において、瑶子女王殿下が「Who am I? Or you? What is a person? What does our existence mean? What do we mean by connections between people? (人とは何か?人の存在とは何か?人との繋がりとは何か?)」というタイトルでご講演され、感動的な内容に満席の会場からは大きな拍手が起こりました。

以下、全文を公開いたします。
英語でのオリジナルスピーチはこちら



人とは何か?人の存在とは何か?人との繋がりとは何か?

講演する瑶子女王殿下

こんにちは。このたびは、この会議に私を招待して下さって、ありがとうございました。私は、ここにいる事を、とても光栄に思っています。又、ここにいる事が、とてもとても嬉しいです。なぜなら、オーランドに訪問するのは初めてだからです。

私の名前は、瑶子と申します。皆さま、ご存じかどうか分かりませんが、寛仁親王の二番目の娘です。父は「異端児」と言われたりもしておりましたが、一応「ヒゲの殿下」の愛称で様々な方々に親しまれていました。それでも誰の娘だろう?と思う方がいらっしゃいましたら、日本の皇族の中の、女王で「瑶子」という人が来た!と思って頂ければ充分です。

では、これから私のスピーチを始めさせて頂きます。
このたびは、国際インクルーシヴデザイン会議に招待頂きまして、ありがとうございました。私は、学校での成績が主要な科目ほど悪く、留学経験も全くないので、ほとんど英語を話すことが出来ません。それにも関わらず、この会議に呼んで下さり、光栄と言うべきか、私に試練を与えて下さって、ありがとうございますと言うべきか悩むところです。しかし今回、この会議でスピーチをすることとなり、私は英語で話すことを決めました。この会場も、会場にいらっしゃっている方々も、英語が共通語であることは間違いないと思いましたし、国際ユニヴァーサルデザイン協議会総裁として、この場にいるという責任ある立場でもあるわけですが、ほとんど英語の話せない私が、どんなに聞き苦しい英語の発音をしようが、まずは、この会場の中にいる皆さんに「私の想いを、伝えたい。」という氣持ちが、少しであっても伝わることに一番の意味があって、どんな人間であるのかを知って貰うことも重要だと思いましたし、日本国内だけではなく国外において、自分自身が、皆さんに、どう受け止められて、どう受け入れられるのか・受け入れられないのかを知るためには、同じ土俵に立つ以外ないと思いました。「出来るか出来ないかではなく、やるかやらないか」だと感じましたので、今この場に立っています。

それでは、もう少しだけ深く、私の自己紹介をさせて頂きます。私は、学習院女子大学国際文化交流学部日本文化学科に在籍し、成年【20歳】してからは、皇族として宮中行事に参加をしつつ、父の公務の代理や一緒に参加していました。大学卒業後は、父から「宮中行事に参加するのは勿論だが、お前は一般に嫁ぐ身なのだから、一般常識を身につけろ。」という話をされ、日本赤十字社の本社で常勤嘱託として働くことになりました。宮中行事・父の公務の代理に加え、日本赤十字社での仕事の両立は簡単なものではありませんでしたが、私は小学校5年生から剣道を始め、今でも続けているのですが、上下関係の厳しさや理不尽な扱いには慣れていましたし、負けず嫌いは父譲り、耐えること・氣力だけは人一倍あるつもりでいたので、入社してから退社するまで、「お飾りの存在にはなるまい」、「課せられた仕事以上のことをする」、「年齢や肩書き、性別なんて関係なく、人との関わりや繋がりを大切にする」をモットーに過ごしてきました。私を邪魔な存在、日本のことわざで「目の上のタンコブ」と言いますが、そう思っていた人は沢山いましたが、私を認めてくれていた人も有り難いことにいましたし、「一般常識を身につけろ」と言われて会社に入ったわけですから、どんなに辛かろうと現実というものを知れたこと、皇族という立場で、それが経験出来たことは、今となっては良かったと思っています。それは、皇族ではない人たちの生き方や考え方、そして悩み事など色んな話を聞いて、分からない・理解が出来ないという感情ではなく、他人事と思うこともなく、共感することが出来たということ、時として助言をすることも出来、年齢・性別・職業も問わず、その人の立場になって一緒に考えることが出来ているからです。又、個人的に嬉しいこととしては、「皇族だから」ではなく、「瑶子」という存在として、お茶に誘ってくれたり・お酒を飲みたいと言ってくれたり、悩みを相談してくれたり、楽しい時や嬉しい時は、一緒に盛り上がりたいからと言って連絡してくれて一緒に騒いだりと、私にとって、こんな嬉しいことはありません。皆さんにとっては、当たり前のことかもしれませんし、日常であるかもしれません。そんなことが?と思われるかもしれませんが、私にとっては、そうではありません。これは、私個人が感じていることや起きている事象であって、他の皇族の方々が、同じ経験や思いをされているのか、持たれているのかどうかなどは全く分かりません。全て私のことだけです。

会場の様子

さて、国際ユニヴァーサルデザイン協議会【IAUD】についてですが、IAUDの主たる目的は、「一人一人の人間性を尊重した社会環境づくり」であり、人々が日々の生活を困難なく快適に過ごす未来を目指すというものです。この活動には現在、正会員として81社・準会員として13団体・賛助会員として71名に、ご賛同・ご協力を頂いています。1番大きな発表の場としては、2年に1回、「国際ユニヴァーサルデザイン会議」というものを行っていますが、主な事業としては、IAUDアウォード・48時間デザインマラソン・ユニヴァーサルデザイン検定というものがあります。IAUDアウォードは、民族・文化・慣習・国籍・性別・年齢・能力等の違いによって、生活に不便さを感じることなく、一人でも多くの人が快適に暮らしやすいユニヴァーサルデザイン社会の実現に向けて、特に顕著な活動の実践や提案を行っている日本国内だけでなく海外にある団体・個人を、厳正なる審査員の方々【海外の方々を含めた】の眼によって表彰をします。48時間デザインマラソンは、48時間という限られた中で、いくつかのチームに分かれ、ユニヴァーサルデザインを生活者と共に考え、具体的なデザイン開発と提案を行うワークショップで、「一人一人の人間性を尊重し、使い手中心の考え方を重視したものづくりや、社会環境づくりを目的とした研究」の推進を軸として、ユニヴァーサルデザインの探求や普及、将来のユニヴァーサルデザインの創造を担う開発者の人材を育成するというものです。UD検定は、ユーザーの多様性やユニヴァーサルデザインに関する正しい知識を、商品やサーヴィスを提供する人たちや街づくりに携わる人たちだけではなく、幅広く、「使う人たちにも身に付けて貰うこと」を目的に、テキスト発行や講習会、検定試験を行って、IAUDが目指す社会づくりに貢献してくれる人材の育成をしています。その他にも、研究部会と称し、業種・業態を超えて、大きく「衣食住・空間・教育・余暇」という視点からユニヴァーサルデザインを追求し、魅力のある製品・サーヴィスとは何かなどを考え、それを実現に向ける活動や、IAUDの様々な活動を国内及び国内外へ発信するための広報活動として、情報交流センターも設置しています。

簡単ではありますが以上がIAUDの活動内容なのですが、前総裁であった父は、特に力を注いでいたのが「障害者福祉活動」です。父の考え方というのは、「100%の障害者はいないし、100%の健常者もいない。」です。どういうことかというと、「人間は皆、身体又は精神のどこかに障害部分を持っていて、なおかつ健常なる部分をも併せ持っている。ユニヴァーサルデザインとは、誰でもが豊かで快適な生活を送るためのものである。」ということです。私には、もっと分かりやすく言ってくれていて、「俺は、声を出すことや読み書きをすることは出来る。障害者手帳も持ってはいないが、相当な機械音痴だ。これも列記とした障害者だ。ようちゃんは、勉強全般が苦手だろ?それも障害者だ。人には、それぞれ得意不得意があって、完璧な人間なんていない。障害者手帳を持っているから障害者で、障害者手帳を持っていないから健常者という考え方はおかしいんだ。」、「例えば、手に障害を持っている人がいるだろ?その人は、手の指を動かすことは出来ないかもしれないが、足の指を使って字を書いたり絵を書いたりすることが出来る。それは素晴らしいことだし、すごい才能だと思わないか?俺たちには出来ないだろ?」、「だけど現実問題として、どこかに障害を持ってしまったことで、俺たちにとっては簡単に出来ることでも、物理的に出来ない人がいることも事実だ。そこで俺たちがするべきことは、その人たちが、いわゆる健常者と言われている人たちと同じように過ごせる環境や、障害を持ってしまったことを悲観して生活するのではなく、奥底では想っている自立したいという氣持ちや、すでに自立をしたいと発信している人たちのために、後押しをすることだ。」と言われてきました。

ここの会場にいらっしゃる方々は、研究者の方や技術者の方が大半だと思います。私は勉強も出来ないですし、機械を作ることも出来ません。でも、ユニヴァーサルデザインに対する想いや、人に対しての思い入れの深さなどは充分にあるつもりでいます。IAUDで、私が話しをする際、父の考え方にプラスして、「ありのままの自分と向き合い、そして人との繋がりを持ち、助け合い補っていくべき」と、お伝えしています。父が言っていたように、この世の中に完璧な人間などいません。IAUDは、様々な業種や業態の企業・団体・個人の方々が会員になって下さっています。本来であればライバル企業であったり、繋がりを持ちたくても簡単には持てないところであったり、自分の在籍している企業や団体、個人だけで活動していたら、絶対に得られないことや見えないことが、このIAUDに参加していることで出来るのです。IAUDは、不可能を可能に出来る希望の場所であると、私は思っています。

私は、IAUDに深く携わるようになって、沢山の人たちと出会い、沢山の考え方に触れ、刺激を受けてきました。最初の頃は、父のDNAを受け継ぐ身として、父の想いを絶やすことなく沢山の方々に伝えなくてはならないという想いだけで精一杯でした。でも今では、自分の想いも併せて伝え、行動することが出来始めているのではないか?と思っています。だからこそ招待をして頂いて、ここで話しているのだと思います。今回私がスピーチしたことで、国際インクルーシヴデザイン会議とIAUDに深い繋がりが出来ることを心から願って、私のスピーチを終わらせて頂きます。ありがとうございました。

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