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21世紀のためのデザインIII、UDに関する国際会議報告 キーノート全体会議

2004.12.20掲載

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11日 キーノート全体会議:
全世界的デザインの緊急命題:我々はここからどこへ行くのか?

専務理事 川原啓嗣(インダストリアルデザイナー)



写真:Patricia Mooreさんのプレゼンテーション 壇上左からSandraさん、Rogerさん、Patriciaさん、川原専務理事


最終日のキーノート全体会議は、病に倒れたJim Sandhu氏の代わりとして、Roger Coleman氏(Royal College of Art, UK)を中心に、Patricia Moore氏(Arizona State Univ., USA)、私、そしてSandra Perito氏(Brazil)の4人で行うこととなりました。


まず、Roger氏から主旨説明がありました。

「先進国と途上国間の大きな格差にかかわらず、我々は21世紀の社会を形成するための共通課題と挑戦すべき命題を抱えています。高齢化は社会構造を激変し、障害者の権利は社会の主軸に組み込まれつつあります。そして、環境や製品のデザインにも再考が求められ、技術革新と経済状況の急変に伴い、先鋭的で創造的な水平思考が必要とされています。先進国から学べる教訓とは何でしょうか? 途上国における必要性とは何でしょうか? 知識や経験を分かちあうことは可能なのでしょうか?」


次にPatricia氏から、「高齢化、及び年老いた消費者:北米の観点」と題して講演がありました。彼女は26才の時、4年間、老女に変装して生活した際の写真などを、言葉少なく、詩的に表現しました。老人の悲哀を切々と読み上げ、聴衆の心をつかんだようでした。


3番目は私が、「ビジネスへの応用:日本の観点」と題し、日本企業のUDの取組みを三洋電機、松下電器産業、トヨタ自動車などの商品の例を紹介しました。


4番目に、再びRoger氏から、「新世代デザイナーの教育:欧州の観点」と題して、RCAのデザイン教育に関する講演が行われました。


最後のSandra氏は、「第三世界の問題:ブラジルの観点」として、現在、ブラジルが抱える問題は多くが互いに関連した悪循環であり、UDは悪循環を断ち切るツールとなり得ると訴えました。社会保障、教育、治安の欠如、そして犯罪の多発がまた障害者を生んでいるリオの現状は、途上国で見られる一般的な現象であり、まずは未来に「希望」を持つことが大事。「希望」なくしては生きていけないとのコメントが印象的でした。


質疑応答も活発で、スペインに本拠地を置く、Design for All FoundationのFrancesc Aragall氏は、消費者個人はどのような役割を担うべきかと問いかけました。この質問から、デザイナーを含む作り手にはプロとしての社会的責任があり、使い手と作り手の対話を重ねることは重要だが、同時に使い手の個人にも社会的責任があり、これは消費者教育としてなされるべきとの一つの結論が導き出されたことは有意義でした。

(要約文責:川原啓嗣)


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