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2004年度 第2回定例研究会開催報告

2004.07.30掲載

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商品テストから見たユニヴァーサルデザインと、住宅でのUD実践事例

7月9日、積水ハウス株式会社総合住宅研究所(京都)にて、2004年度第2回定例研究会を開催しました。56名の参加を得ました。今回は「商品テストから見たユニヴァーサルデザインと、住宅でのUD実践事例」というテーマで2名の講師をお招きしました。



写真1:会場の様子


講演会の前に積水ハウス(株)納得工房の見学会を行いました。
体験コーナーでは、実際に車椅子に乗って、通路幅や流し台の高さなどで起こり得る生活動作上の問題点や、拘束器具を装備した擬似体験により、段差の昇り降りやトイレの立ち座りなど、高齢の方や身体が不自由な方の動作上の問題点を体感することから検証することができました。


講演1 商品テストを通して見たユニヴァーサルデザイン

兵庫県立生活科学研究所 所長 河合次郎 様


「商品テストの類型」についての説明に始まり、「モニターテスト」における観察(プロトコル分析)の重要性を説明されました。「UDの概念」としては“誰でも使える+安全で使いやすい+どんな場面でも”というところが一つの理想の概念であり、その理想に一歩でも近づける努力をすることが大事であると話されました。


さらに、生活者(消費者)との関わりから感じた“改良のヒント・消費者の求めるポイント・ニーズへのアプローチ(グループヒアリング、日常生活の観察、疑似体験)”など、ご自身のアイデアを織り交ぜて話されました。最後に、「現在の技術を活用することによって解決できることがまだまだたくさんある」と話されました。


講演2 住宅産業におけるUDの実践

積水ハウス ハートフル生活研究所 部長 後藤義明 様


障害者対応住宅の研究から始まり、世界的に一番早期のUD住宅のプロトであろう「新住宅開発プロジェクト」への参加、身体機能レベルの変化に対応可能な「レベル移行住宅」に至る積水ハウスのUD研究の流れついて話されました。


積水ハウスの「住宅におけるUD」の捉え方については、「普遍的なデザインを実現することが個別性を無視することになってはいけない」というスタンスで、「誰にでも共通の安全・安心と使いやすさ(ベーシック)+障害がある場合など生活機能上の特別な要望を個別にサポート(チャレンジング)」という2つの組合せですすめているとのことでした。そして、積水ハウスの考えるUDの“性能目標とガイドライン”について、その評価項目と評価基準を、一部紹介していただきました。


最後に、積水ハウスのUDによる「住まいづくり体制」について、“モノ(安全性と使いやすさのガイドライン)、ヒト(社内資格制度・UDの専門家)、場(UD体験型拠点施設)”であると紹介していただきました。


講師の方からのお話のあと、参加者との質疑も活発に行われ、内容的に非常に充実した研究会でした。


写真2:納得工房見学会にて
拘束器具を装着した疑似体験

写真3:河合様の講演
 
写真4:後藤様の講演



【アンケートより】

  • 見学会とのセットであったため研究内容がイメージしやすく、評価側・作り手側双方の講演もバランサブルでよかったと思います。
  • 実際に体感できたこと、何よりも深く体を通して勉強になりました。
  • 納得工房全館を見学したいという興味にかられました。
  • もう少し時間が欲しかった。
  • 実例を挙げて「観察」「気づき」の重要性に気づかせてくれた点が役に立ったところだと思います。
  • 造り手の発想と使い手の発想の違いについて再認識しました。
  • 研究結果を社内規準に具体的に反映されていることに感銘を受けました。規準設定に至る研究からのプロセスの具体的事例についてのお話が役に立ちました。
  • 実践・内容をもっと詳しく知りたかったです。
  • (今後の要望として)ユーザーインターフェースに焦点を絞った話を聞きたい。
  • (今後の要望として)UDでの人材育成・カリキュラムについての話を聞きたい。
  • (今後の要望として)日本の伝統産業の中でUDにトライしている企業の話を聞きたい。
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