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2010.12.14掲載
IAUDアウォード2010は5ヶ国から28件(海外6件)の応募があり、2010年10月、選考委員会による厳正且つ公正な審査の結果、4件が優秀賞に決定しました。そして、「第3回国際ユニヴァーサルデザイン会議2010 in はままつ」において、4件の優秀賞の中から大賞が選考され、表彰式及び受賞者によるプレゼンテーションが行なわれました。
ご参考(JICAのホームページ): http://www.jica.go.jp/topics/2010/20101117_02.html
「第3回国際ユニヴァーサルデザイン会議2010 in はままつ」の3日目(11月1日)にIAUDアウォード2010の表彰式が開催されました。大賞の発表に引き続き、山本卓眞IAUD会長による表彰状授与が行なわれました。
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大賞:独立行政法人 国際協力機構、フィリピン国家障がい者協議会 | 優秀賞:株式会社NTTドコモ |
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優秀賞:NPO法人 まちの案内推進ネット | 優秀賞:株式会社 日建設計 |
表彰状授与に続き、選考委員長のロジャー・コールマン氏よる講評がありました。
選考委員を代表して申し上げます。応募の質が全体的に非常に高く、選考が困難でした。また、内容も個人的なプロジェクトから大企業による大規模なプログラムまでと幅広く、分野もデザイン調査や教育、ユーザー主導による地域に根付いた現実的なものなど、様々でした。
特に印象的だったのは、活動にユーザーのための図表・サインのデザインや国際的にも画期的なプロジェクト、また逆に地域社会に根付いたものなど、多くの点が反映されていたことです。最終的に、以下の4団体が優秀賞の受賞となりましたが、選考は非常に困難でした。
まず、株式会社 日建設計が受賞した『「五感で感じるユニバーサルデザイン」・建築空間での展開~南アルプス市健康福祉センターでの試み~』は、デザインの質に関して素晴らしいものでした。大規模な専門企業が、UDの概念と実践をいかに広めていくかを提示したことは、今後大きい影響を与えていくでしょう。照明や音響といったデザインは、全体的観点から取り組んだのでしょう。まさに五感で感じられる内容でした。このような前向きなプロジェクトは、UDの理論と実践を企業やコミュニティに普及するきっかけになるでしょう。
次に、株式会社 NTTドコモの『 「ドコモ・ハーティスタイル」の推進』は、世界を代表する大企業が、デザインの改善を継続的に行ってきた過程を明確に示しています。様々な特徴をもったユーザーや、その他の方々にも便益を享受できる機能が多く盛り込まれていました。特に、販売店舗のデザインやスタッフの対応を通して、包括的に顧客サービスを提供することを重視してきたことに、我々審査員は感銘を受けました。この販売店舗は、日本中で良い実践例として機能しながら、効果的に店舗デザインと顧客サービスの水準を上げていくでしょう。この点で、同社は国際的にも同業種の中で傑出しています。さらに、多くの企業が顧客との接点を最小限にしようという中、そのことを重視している点でも、素晴らしいものだったと思います。
3件目であります、NPO法人まちの案内推進ネットによる「公共交通利用における移動支援情報の提供システムモデル構築」は、交通機関に見られる深刻なギャップを提示しています。それは、あらゆる年齢層やさまざまな能力を持つ人が、異なる交通手段をシームレスに移動できるために、適切で統一された情報提供が欠如しているということです。交通機関のシームレスな展開は、海外でも不可欠です。この活動は、よく研究されたデザインの解決策を提供し、さらには業者や施設管理者とも実証をしており、幅広くアプローチをしていくための、普遍的な要素が盛り込まれています。さらに、ボトムアップ、ユーザー中心の内容でもあります。このアイデアやアプローチが、他の国々に普及することで、公的交通機関を使用する頻度がさらに高まっていくでしょう。
以上、これらの活動と、独立行政法人 国際協力機構(JICA)・フィリピン国家障がい者協議会による「フィリピン国内の地方における障がい者のためのバリアフリー環境形成プロジェクト(障がい者に優しいまちづくり)」のどちらを大賞とするのか、選考は非常に困難でした。 JICAの作品は一見、他の活動と比べてバリアフリーアクセスと車椅子ユーザーに焦点を当てており、厳密にはUDの話をしていないと思われます。しかし、米国やヨーロッパなどの先進国では、早くからバリアフリーデザインが取り入れてきましたが、UDの普及にはある程度の時間がかかりました。よって、農村地域やフィリピンなどの国々では、バリアフリーに焦点を当てることは問題ではなく、そのレベルから始めることがUDを広める第一歩として必要になります。さらに、バリアフリーの知識を持つものから、持っていないものへと知識を移転するプロセスについても、取り入れたことは、我々に感銘を与えました。この活動は、障がい者権利の促進と、他の受賞団体の活動にはない、貧しい農村地域でのアクセシビリティの必要性を国際的に共同研究した、世界クラスの実証プロジェクトです。特に、公平性を促進し、ユーザー自身が話し、考え、行動していくように促したことが重要です。
公平の推進はUDにとって主要概念です。この受賞活動を通じて、この国際UD会議中に何度も提起された問題に対応する際に、日本が方向性を決定づける役割を担っていることが明らかになりました。知識の移転が自分たち自身を救えるということが、どのようにUDが世界の問題や懸念にうまく対処できるのかの、良い模範となったため、選考委員はこの活動が大賞に値すると判断しました。
最後に、応募活動のレベルはどれも非常に高く、選考委員の結論は簡単ではなかったことを申し添えます。優秀賞の方、おめでとう。他の活動も、UDの範囲や人々の生活をよりよくするための可能性を実証しました。
表彰後、受賞テーマに関するプレゼンテーションが行なわれました。
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優秀賞:「ドコモ・ハーティスタイル」の推進に関するプレゼンテーション | 優秀賞:「公共交通利用における移動支援情報の提供システムモデル構築」に関するプレゼンテーション |
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優秀賞:「五感で感じるユニバーサルデザイン」・建築空間での展開~南アルプス市健康福祉センターでの試み~に関するプレゼンテーション | 大賞:フィリピン国内の地方における障がい者のためのバリアフリー環境形成プロジェクト(障がい者に優しいまちづくり)に関するプレゼンテーション |
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