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理念研究WGの活動について

2004.06.30掲載

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理念研究WGでは、IAUDの目標である「世界に先駆けたユニヴァーサルデザイン社会を創る」ための研究を行っています。商品やサービスを通じ、より多くの人々が暮らしやすい社会を実現できるようなビジョンをつくり、それを世界に発信することによって、「日本がユニヴァーサルデザインで世界をリードする」日本発のUD理念を構築・高度化することを目標として掲げています。


活動は3つのフェーズに分かれています。

  • 第1のフェーズ:「基本的な情報の収集/整理」
  • 第2のフェーズ:「議論と論理構築」
  • 第3のフェーズ:「わかりやすい表現で発表」

◎第1のフェーズでは、「ユーザー中心のデザイン手法について」「ユーザビリティ/アクセシビリティについて」というテーマで問題を認識しようとしています。


◎第2のフェーズでは、「ユニヴァーサルデザインで検討する範囲」「デザインの目的と優先順位」に着目し、フェーズ1で認識された問題の解決をはかろうとしています。


◎第3のフェーズでは、日本発のUDの考え方を世界に理解してもらうには、発信レベルでのコミュニケーションの問題を重視する必要があると考えています。日本発のUDのコンセプトは、論点が整理されたシンプルな論理に加えて、それがわかりやすく表現されていることが必要になるはずです。


5月13日に行われた第2回研究会では、大阪市立大学大学院生活科学部教授の岡田明先生をお招きし、「ユニヴァーサルデザインにおけるヒトの特性の理解と活かし方」というテーマにてお話をいただきました。
人間特性データベースの構築、設計のためのガイドラインや国際規格の整備など、国内外で進行するUD支援の最新動向と、それらを人間工学の視点から展望し、様々なニーズを持つユーザーの心身特性を設計数値に適用する手法や考え方について解説していただきました。


ここで、「段差のない住宅で生活している子供は転びやすい」というような「快適性」と「適応能」との衝突の問題が提出されました。あまりに快適でストレスのない環境で生活していると、人間はその環境に適応してしまい、心身機能の低下が起こるという問題です。


この問題について、講義のあとに行われた議論で、WGメンバーの田中さん(積水ハウス)より次のような意見がありました。


「住宅における畳の段差は、つくり手側の論理で出てきたもの。共通の床の下地に15mmのフローリングと50mmの畳だと当然段差ができる。生活者の視点で見て、何も考えてこなかったことに対して、『段差は文化』『多少のストレスがあることは必要』というのは、本末転倒と考える。どこをデフォルトとしてみるかが重要で“デフォルトとして提供するものは、より楽なもの”であるべきだろう。その後で、『文化としての段差』というのをユーザーが選択できればいい。“できるだけ楽にできる技術”は追求して当然やっていく。できるとわかった上で、どれを選択するのかをユーザーに委ねることができれば問題ない。一番楽なものが選べたり、ある程度負担のあるものが選べたり、お互い納得づくで、どれでも選べるというのが一番ふさわしい」


ここでは、ユニヴァーサルデザインで検討する範囲は文化にまで及び、ユーザーが目的を設定して選べるようなものがふさわしい、という意見が述べられているように思います。


理念研究WGでは、このような活動を通して、「世界に先駆けたユニヴァーサルデザイン社会を創る」ための研究を行っています。

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