2014年5月22日
一般財団法人国際ユニヴァーサルデザイン協議会(IAUD:総裁 瑶子女王殿下)は、2014年11月、福島県および東京都において「第5回国際ユニヴァーサルデザイン会議 2014 in 福島&東京」を開催いたします。
ユニヴァーサルデザイン(UD)とは、できる限り多くの人々に利用可能なように最初から意図して、機器、建築、身の回りの生活環境などをデザインすることです。
2003年11月に発足したIAUDは、その設立趣旨の中で「一人一人の人間性を尊重した社会環境づくりをユニヴァーサルデザインと呼び、使い手と作り手の関係を再構築することで、社会のすべての面に適用されるべき人間中心のしくみ作りを急ぐ」と提言しました。しかし、3年前に起こった東日本大震災により、人間性の尊重や人権以前に、基本的な生命の安全が脅かされているという現状を再認識し、2012年に福岡市で開催した第4回目の国際会議では「安全・安心 〜ユニヴァーサルデザインの基本を考える〜」のテーマを掲げ、様々な意見交換を行ないました。関東大震災を経験し、数年内に再び起こると想定されている首都圏直下型地震に対し様々な対策を講じている東京都にとっても、また被災からの復興・再生に取り組んでいる福島ほか東北各県においても、この問題は決して無視できない最重要課題の一つであり、引き続き衆知を集め考察を深める必要があるでしょう。
さらに、2020年にオリンピック・パラリンピックを開催する東京には、高齢者、障害者、子供や妊産婦、あるいは言葉や生活習慣の異なる外国人観光客などを含めた多様な人々にとって、安全で暮らしやすい都市基盤を整備していく責任があります。そのためには、まず年齢、性別、国籍や能力の違いなどで、たとえ災害など非常時においても不当に排除されることのないよう、社会のあらゆる局面で人間の尊厳や多様性に配慮したデザインを徹底しなければなりません。その際、求められるのは、「思いやり」や「おもてなし」など日本特有の文化や歴史の中で培ってきた「和」と「寛容」の精神であり、まさに「Diversity & Inclusion(多様性の包摂)」を根本原理とするUDの精神そのものなのです。
このような、日本人にとっては当たり前の価値観は、世界の人々にとっては驚きと新鮮な刺激であり、世界の混迷を救う御託宣とも受けとめられています。UDの実践は、我が国の国民すべてにとって有益であるばかりでなく、世界モデルとして確立し地球規模に展開することで、ひいては地球環境と人類の持続可能な未来に大いに貢献することなのです。
第5回目となる今回の会議では、「ユニヴァーサルデザインのグローカル展開〜東京2020オリンピック・パラリンピックへ向けて〜」とのテーマを掲げ、国内外の参加者の活発な意見交換と相互交流を通して、持続的かつ自発的な行動を促しながら、より質の高いUD社会の実現をめざします。
ぜひ、これらの趣旨をご理解賜り、さまざまな立場の方々の幅広いご支援とご協力、そして積極的なご参加を切にお願いいたします。