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S-07

サステイナビリティ〜安全・安心な社会の創造、発展、そして継承

現在地 : ホーム セッション概要 S-07: サステイナビリティ〜安全・安心な社会の創造、発展、そして継承
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多様なユーザーとともに道具や環境の新たな原型を創造する

荒井 利春

金沢美術工芸大学デザイン科 教授

Toshiharu Arai

Professor of Kanazawa College of Art: Japan

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高齢者や障害のある人、多様な人々が安心して暮らせる社会を実現していくには、高齢者問題とか障害者問題といった対象化する視点からはバランスのとれた創造的な答えを見いだすのは困難となる。それを人間の問題、もしくは私たちの問題としてとらえた時に責任ある創造的な活動が生まれる。人間は誰もが変化し続けていく存在であり、地域には多様な人々が共生しているという事実、そこに向かい合う中から豊かな発想が生まれる。残念なことに、従来のデザインは高齢者や障害のあるユーザーがデザインのプロセスに参加する機会がないままに行われてきていた。したがって、多くのデザイナーはユーザー参加型デザインの創造的なパワーに気がついていない。高齢者や障害のあるユーザーのセンシティビティーとデザイナーのセンシティビティーが融合したときに、従来のデザイン概念を超えた新たなデザインの原型が創出される。

高度に情報化やシステム化が発達した現代社会において、デザイナーに求められるものは「作り手と使い手」といったプリミティブな人間関係の現場から時代の問題に向かい合いフレッシュな創造力を発揮することである。

高齢者や障害のあるユーザー参加による道具の開発、地場産業の育成、企業での開発プロジェクト、公共建築の設計、デザイン教育などを画像で紹介しながら、ユーザー参加型デザインの意味や、その創造力や可能性を確認し、それをいかにしたら日常的なもの社会的なものとしていくことができるか考えたい。


長寿時代とサステイナビリティ
~光と影、発想とマーケティング戦略~

白石 正明

(有)国際プロダクティブ・エイジング研究所代表

Masaaki Shiraishi

President, Japan Productive Ageing Research Center: Japan

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世界人口時計は70億6600万人を越え、1日20万人ペースで増加を続けている。80歳以上の高齢者は年4%のスピードで増大している現在、Agingはグローバルな視点抜きには語れない。
先ず国連はじめ欧米の高齢化分野の諸団体による取り組みについて、ユニバーサルデザイン関連の動きを紹介する。
Agingのインパクトがとくに人と企業、更にはまちや社会に与えている「光と陰」について検討する。人間の豊な可能性また「影」への対策にデザインの貢献が鍵となるのは当然であるが、個人のサステナビリティが社会のサステナビリティを脅かしかねないと、270年前に予見されていることを訴えたい。
企業にとって長寿社会=「新大陸」とも言える。現在の延長線上にもなすべきことは多々あるが、挑戦は「パーソナル・モビリティ」にあることはまだ知られていない。人間は「足から死んでゆく」からで、巨大なマーケットはまだ水面下にあるのではないか。
Agingの特徴は「多様化」。これがニーズの発見・開発を困難にする。UDの発想も深層心理に潜む「より人間的な何か」、いわば四次元的なものへと広げることが求められるのではなかろうか。発想と「世界戦略」を武器に着々と実績を拡大している例も紹介したい。


サステイナブルなユニバーサルデザイン

益田 文和

デザインコンサルタント/東京造形大学教授

Fumikazu (Fumi) Masuda

Design consultant: Japan

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高齢者や障害者を含む多様な人々が共存できる社会を築くことは、ユニバーサルデザインの目的である。しかし、そのためには財源や資源やエネルギーを無制限に使うことができると考えるのは間違いである。
現在我々は70億人で一つの地球をシェアしているのであって、有限な地球資源を可能な限り公正な方法で分け合わなければならない。
さらに、共存すべき多様な人々と言うとき、それは一つの国や特定の経済圏、あるいは一定の経済力を持った人々に限定されるべきではない。
そして、今や我々は人類の福祉が自然環境の破壊と引き換えに獲得すべきものではないことも知っている。
つまり、この有限な地球環境の中でモノやサービスを作りだし、可能な限り多くの人々が豊かに暮らせる社会を実現することを考えると、モノやコトには自ずと優先順位があると言わざるを得ない。その際判断基準となる尺度の一つがユニバーサルデザインだと言えるのではないか。
サステイナブルなユニバーサルデザインについて考える。


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第4回国際ユニヴァーサルデザイン会議2012 事務局
e-mail : info@iaud.net
Fax : 045-901-8417
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