世界的取り組みの土台

フランセスク・アラガイ
デザインフォーオール財団代表:スペイン
「自由、平等、友愛」を掲げたフランス革命は、人間としての尊厳と個人の権利を認識する種を播いた。
しかし、現実には自らの権利を存分に行使できない人が大半であることは周知の事実である。貧困、インフラの不備、世界に広がる不平等、武力紛争、ひいては認識や感受性の欠如、文化に対する固定概念はとどまることがなく、いわゆる先進国と言われる国でも、社会の提供するものを存分に楽しむことができない人は多い。
人間としての尊厳を守るために戦う運動の歩みを振り返ると、以下の共通点が見えてくる。
権利:
- 幸せにとって必要な環境、製品、サービスを利用できる権利
- 個人および集団の違いが尊重される権利
- 個人・地域独自の可能性を育む権利
義務:
- 以上の権利を尊重しその行使を推進する義務
- 後世のために環境を保全し、生物多様性を保護する義務
- 社会の発展のために自分たちの能力をささげる義務
ユニヴァーサルデザイン、デザインフォーオール、インクルーシブデザイン、人間中心設計、ユーザー中心設計、Conception Universelle、Design d’Utenza Ampliataなどは、上記の権利や義務に完全に整合するものであり、上記の権利や義務を果たす実用的手段・方法をもたらすものと考える。
その呼び方は何であれ、取り組みは統一する必要がある。
そして、そのために次のような姿勢を育む必要があると考えるに至った。
- 共感(立場を変えて考える)の姿勢
- 共通の幸せを追及する革新的社会を共に実現する土台として、官民、一般市民の提携を推進し発展を共有する姿勢