果てしない物語…もしくは全体論的方針を信ずる

トマス・バーデ
ユニヴァーサルデザイン協会代表: ドイツ
若者と高齢者、健康な人と病人、障がいのある人と障がいのない人、そして最後になるが重要なこととして、文化的背景が異なる人々のそれぞれの世界には、数多くの違いがある。しかしながら、デザインの分野におけるひとつのテーマ、すなわち優れたデザインの製品、適切に計画された建築、そして個別のニーズに対応するように設計されたサービスを提供すること、これが、そうした世界すべてに共通する根幹である。
「ユニヴァーサルデザイン」という用語で説明される課題の重要性は、一般にはまだ十分に浸透しておらず、それが何たるかは真に理解・把握されるに至っていない。また、社会の数多くのさまざまな領域にまだ導入されていない。ユニヴァーサルデザインは、デザイン分野にとって、今後数十年にわたり最優先されるべき課題である。ドイツには、人口動態的な影響を踏まえて製品、建築、サービスを開発し、評価する長年の伝統がある。この潜在能力を将来に十分通じる、商業的に実現可能な結果重視の戦略へと転換させるためには、なすべきことはなお多くある。
ドイツにおけるユニヴァーサルデザインの基本
ワイマール宣言*の署名者は、次のように述べている。
- ユニヴァーサルデザインは、人に重点を置く。
- ユニヴァーサルデザインは、単なるデザインテーマではない。
- ユニヴァーサルデザインは、学際的課題である。
- ユニヴァーサルデザインは、あらゆるユーザに提供されるものである。
- ユニヴァーサルデザインは、プロセスであって、基準ではない。
- ユニヴァーサルデザインは、社会的包摂を促進するものである。
- ユニヴァーサルデザインは、将来に関する問題を扱う。
- ユニヴァーサルデザインは、教育システムに早い段階から継続的に定着させなければならない。ユニヴァーサルデザインは、政界と産業界の啓発に取り組む。
- ユニヴァーサルデザインは、経済成長を確保し、促進する。
*ワイマール宣言は、2009年11月(2009年は「バウハウス創立90周年」に当たる記念年)にワイマールにあるバウハウス大学で開催された第1回ユニヴァーサルデザイン会議の主要成果として、ユニヴァーサルデザインの専門家85人が宣言としてまとめたものである。