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現在地 : ホーム プログラム構成 KS-01: 多様性の包摂
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多数世界の視点から見たインクルーシヴデザイン

ジム・S・サンデュー

ノーサンブリア大学名誉教授:英国

Jim Sandhu

President, Inclusive Design Research Associates Ltd. : UK.

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自らの経験を踏まえて、インクルーシヴデザインの歴史的経緯とその概念の発生と収束を概観する。さらに、インクルーシヴデザインに対する欧米のさまざまなアプローチを分析し、それらが発展途上国に及ぼしている具体的な影響を比較する。ユニヴァーサルデザインは貧困諸国にほとんど影響を及ぼしていないというのが、ジム・サンデューの論旨である。すなわち、ユニヴァーサルデザインが最も重点的に取り組んでいるのは、高識字率と技術に関するある程度の理解とを前提とした先進諸国におけるデザイン上の問題であり、そうした前提条件は貧困諸国の大半のポテンシャルユーザーには欠けているからである。全世界を包含することを意図したはずの「ユニヴァーサルデザイン」の主張の重大な限界がここにある。

サンデューは、ユニヴァーサルデザインの成果を主張する声の裏には、国家において絶大な力を持つ広報の力があると主張する。実際には、ユニヴァーサルデザインの主唱者の大半は多数世界(マジョリティの世界)についてほとんど理解も経験もないため、実に狭い範囲を網羅しているにすぎない。

講演では、深刻な貧困と非識字の問題だけでなく、発展のパラドックスも抱えるインドに例を絞って考えてみる。これらの特質は、多数世界に典型的なものだ。ここで指摘される対比や矛盾は、インクルーシヴデザインを活用して非識字、貧困、飢餓、失業、家のない人のための保護施設などの削減を図る上での大きな障害を物語るものである。

一体性—新たなグローバル・パラダイム

シンガナパリ・バララム

DJデザインアカデミー教授:インド

Singanapalli Balaram

Professor, DJ Academy of Design : India

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世界は、かつてないほどの変化を遂げている。近い将来、「多数世界」(マジョリティの世界)が最も大きな勢力を得ることだろう。世界最大の民主主義国であるインドと、世界最大の人口を抱える中国の二国が、世界の進展の鍵を握る。
こうした背景から、包摂性、人と人との関係、人と自然の関係、そして持続可能性を融合して一体性を生み出す戦略的ツールとしてデザインを位置づけることが必要不可欠である。この一体性こそが、ユニヴァーサルデザインの新たなグローバル・パラダイムである。

優れたデザインとは、現在のために、また将来のために、社会のニーズに対応したものである。今こそ、将来のより大きな人道的な観点から、デザインの「能力」を再定義するときである。「多数世界」の文脈においては、経済・社会・開発に関わる重要な障害に取り組まないまま、単に物的障害に対応しているだけではたいして役に立たない。家を持つ余裕もなく、路上で寝ている人々のために「すべての人に適合する」住宅をデザインしても意味をなさない。この現実は、ユニヴァーサルデザインの責任である。この憂慮すべき問題に取り組み、意識の向上を図ることが不可欠である。
この目標達成に向けて希望をもって前進しよう。


(2010年10月16日現在)
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国際ユニヴァーサルデザイン会議2010 事務局
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