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おなかに赤ちゃんがいます


「わかるんだね・・・」
電車の中で若夫婦の会話が聞こえた。
何がわかると言っているのだろう。私は気になって仕方がなく、会話の前の光景を思い出してみた。


車内の座席はすべてふさがっていて、数人が立っている。先ほどの若夫婦が乗りこんできて、つり革につかまる。近くに座っていた中年の婦人がサッと席を譲る。どう見ても、譲った婦人の方が年上だ。若い女性は軽く会釈して座る。若い男が「わかるんだね・・・」とささやく。そうか、妊娠していることが勘で「分かった」のだ。


男性には、妊娠なのか小太りなのか、まったく区別できないので、「もし間違えたら」と思うと声を掛ける勇気が出ない。そんな男性の迷いをなくすために、区役所や保健所で「妊娠バッジ」を無料配布しているそうで、1枚いただいてきた。「おなかに赤ちゃんがいます」の文字と、ピンクのハートの中に母と赤ちゃんのイラストでかわいい。柔らかい素材でできており、安全も考えてある。


実際に車内でバッジを見つけるのが楽しみになってきた。

(文・カルロス)

※この文章は、2008年3月19日発行のゆうまぐ[第77号]に掲載されました。

<掲載日:2008年03月20日>