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ユニヴァーサルデザイン・イヴェントの可能性



スペシャルオリンピックス(SO)は、165ヵ国以上で250万人の知的発達障害のあるアスリートと70万人のボランティアが参加する国際的なスポーツ組織です。2007年10月には、「スペシャルオリンピックス夏季世界大会・上海」が開催されました。日本からも11競技にアスリート82名、コーチ・役員38名が参加しました。この大会では、より多くの人が楽しめる工夫が随所に見受けられたので紹介します。


1.参加ボランティア自身の成長

日本語を学ぶ学生が、通訳や生活面でのサポートをしてくれました。かわいいボランティアに恋するアスリートもいました。初めはとまどっていた学生も、お別れのときには涙していました。ボランティア自身が心のバリアを取り除き、アスリートから学ぶよい機会です。


2.ホストタウンプログラム

選手団が現地の環境に慣れ、各国の文化を学ぶことを目的としたプログラムです(今回は中国・西安)。世界遺産の観光、中国の家庭にお邪魔してのギョーザづくり体験など、競技以外でも楽しむことができました。本番の競技までの準備期間として、とても重要です。


3.会場表記の工夫

競技場では、中国語、英語の併記が一般的でした。同時に絵記号が有効に使われていました。体操競技では、「ゆか」や「平均台」など種目ごとの絵記号がありました。絵記号で演技の順番が確認できたので、言葉が読めなくても安心でした。


4.ディビジョニング(クラス分け)

年齢、性別、競技能力などに応じてクラス分けすることです。同じ競技能力レベルの者同士が競い合うことで、アスリートの成長を促すのが目的です。SO競技会では、予選落ちがありません。アスリートは全員が決勝に進み、勝利のチャンスが与えられます。


5.表彰の工夫

各ディビジョン1位から8位まであり、全員が表彰台に上がって1位から3位までには金銀銅メダル、4位以下にはリボンが贈られます(今回はパンダのぬいぐるみ付き)。SO表彰式は、最下位から順に表彰され、最後まで拍手が鳴りやまないような工夫がされています。


6.ヘルシーアスリートプログラム

医療診断を受ける機会が少ないアスリートは、専門医による目、耳、歯、足型などの検診を受け、アスリート本人やファミリーに結果を伝えてもらえます。一緒に行った視力の弱いアスリートは、その場で眼鏡をつくってもらいました。検診結果は医学的にも貴重なデータになるようです。


7.取材チーム

世界初、知的発達障害者だけのプロ撮影クルー「ビリーブクルー」。彼らは、NHKからの発注で、世界大会の撮影やインタビューなどを行いました。アスリートたちもインタビューに答えやすかったようです。

(11月19日月曜日、20日火曜日の両日にわたり、20時から20時30分まで、NHK教育テレビ「福祉ネットワーク」にて放映予定です。)


8.多くの協賛

ドラえもんのピンバッジ、現地でのPHS、飲料、ユニホームなどなど、多くの企業から援助をいただきました。資金、物資、人手、時間、応援、「できる人が、できる限りの支援をし合う」そんな大会でした。感謝の思いでいっぱいです。


私はこの大会を通じて、多くのことをアスリートから学ぶことができました。また、このような工夫や配慮は、障害者スポーツだけにとどまらず、さまざまなイヴェントをユニヴァーサルデザインの視点で見直す切り口になるのではないかと感じました。

将来的に「世界中で障害の有無に関係なくスポーツを楽しめる」そんな期待がもてる大会でした。

★スペシャルオリンピックス日本公式ブログ
http://blogs.yahoo.co.jp/specialolympics_nippon/MYBLOG/yblog.html?m=lc&p=16


(文・SO応援者)

※この文章は、2007年11月15日発行のゆうまぐ[第70号]に掲載されました。

<掲載日:2007年11月19日>