「すい臓が悪い」。昨年の秋、ちょっと背中が痛いので病院に行ったら、そう診断されました。
肝臓を悪くするようなことは、普段から散々やっているのですが、すい臓は痛めつけた覚えがないのでビックリ。ドクター曰く、肝臓を悪くするようなことをしていると同時にすい臓も痛めつけているのだそうです。そんなわけで忘年会シーズン直前に(!)厳重な禁酒命令が下されました。
アルコールの他にもう一つ、厳重に遠ざけるよう注意されたものがあります。それは「油モノ」。
油っこい食べ物とは具体的にどんなものなのか、ドクターに聞いたところ「ピザ、ハンバーガー、フライドチキンなどの揚げ物。肉は避ける。魚もトロはダメ」とのこと。どうやら子どもが好きそうなおかずを避けていればよさそうなので、おじさんの日常生活にはそんなに支障がないだろう、と簡単に考えていたのですが…。
まず、家での夕食を魚中心、油なしのメニューにするよう、妻に「油断ち宣言」をしました。ところが、我が家には高校2年生と小学5年生の息子がおり、私が「油なし、魚系」のメニューにすると、それとは別に育ち盛りの息子用に「揚げ物、肉食」メニューを用意することになります。2種類の夕食メニューを用意しなければならない妻からは「早く完治して手間を減らすように」と、すごいプレッシャーをかけられています。
さらに難しいのが外での食事。平日の昼食は社員食堂を利用しているのですが、改めて観察してみると、揚げ物、肉類のおかずが多く、魚系は週に1〜2回の焼き魚くらいしかありません。ラーメンは実は油タップリなので禁止。仕方が無いので、焼き魚定食、かけそば、かけうどんのローテーションで回しています。
一番困るのが、休日に息子と外出したときの昼食です。子供と一緒だと「立ち喰いそば」というわけにもいきません。そうなると、子供の嗜好に合って、どこに行っても必ず駅前に1〜2軒あるような巨大チェーン店に入ることになります。ところが、そういう店のメニューは、自分が禁止されているものばかり。そうなると…一番油分の少なそうなメニューを選ぶしかありません。「ビーフとチキンだったらチキン…それだったらフィッシュの方が良いか…でもチキンとフィッシュは揚げているから焼いているビーフの方がまだいいか…そういえばフライドポテトも油だなぁ…」などと、レジの前で延々と悩むことになります。
健康な状態だと気が付かなかったのですが、今の日本で「油断ち」して生活するのは、かなり大変で不自由です。今後、高齢化の進展や生活習慣病の影響で、私のような境遇の人はますます増えていくでしょう。そうなるとユニヴァーサルなメニュー開発というのは、「食のUD」の大きなテーマであり、デフレから脱却したい外食産業にとっても大きな鉱脈になるはずです。
成人病や肥満を心配しないでよい、健康的なメニューもいいけど、早く完治して、胸やけするような濃厚な天丼が食べたい!
(文・修行僧)
※この文章は、2006年1月30日発行のゆうまぐ[第34号]に掲載されました。
<掲載日:2006年01月30日>