自分の母親は89歳になり、耳が遠くなっている。電話がかかってきても、呼び出し音が聞こえない。玄関のチャイムは、ほとんど聞こえない。テレビの音量は最大で、スピーカーが壊れそうな大音響だ。
補聴器を使えば、もっとよく聞こえるだろうと話をしたら、実は3台持っているそうだ。なぜ使わないのかと聞いたら、「使い方がわからないから」だと言う。私は、補聴器の使い方なんて、難しいはずがないと思っていたので、「教えてあげる」と軽く引き受けたが、現物を見てびっくり。
本体がライターほどの小型で、電源スイッチや、ボリュームボタンは、つめでなんとか操作しなければならないほど小さい。また、表示文字も小さく読みづらい。音質調整らしい切り替えスイッチがあるが、アルファベット1文字で、意味が分からない。
この補聴器の対象はおそらく、聴力だけが弱く、視力、指先には問題がない人なのだろう。母は、両目が白内障にかかっているし、指先も思うように動かない。補聴器を使う人は、きっと視力も弱いだろう、という気づきがほしかった。自分自身の反省材料にしたい。
(文・カルロス)
※この文章は、2005年10月14日発行のゆうまぐ[第28号]に掲載されました。
<掲載日:2005年10月19日>