私事で恐縮ですが、私の母は10余年前に突発性難聴を患い、左耳が全く聞こえなくなり、障害者手帳を持っています。右耳は聞こえるし生活上の支障もほとんど無いことから、それほど気にすることもなく10余年が過ぎました。
母も「私、カラオケがうまいのよ」と町内会の活動にも積極的に参加していました。今夏、私が帰省した時、「カラオケをやめた」と聞き、「なぜ?」とたずねると、母曰く「人がいる所は雑音ばかりが頭に響くようになった。人の話もよく聞こえない」。おそらく加齢による右耳の衰えが影響しているのでしょうが、私は、母が社会とのコミュニケーションから外れていくことに大きな衝撃を受けました。
母の制止を振り切って町のお店に駆け込み、「よい補聴器はないか?」とたずねると、店員さんは、「今年欧州から入ってきた補聴器があります」。それは、これまでの補聴器と比べて極端に小さいだけでなく、その人の特性に合わせて調整できるとのこと。簡易的に調整して試したところ、母は、「こんなに良く聞こえるもの? 友人から聞いていたのと違う」と驚いていました。早速購入、半年かけて補聴器を調整するそうです。母には以前のように積極的に社会に参加してほしいと願っています。
弊社は10年前「ムーミンプロジェクト」と名付けてUD活動を開始し、「一人でも多くの人に、一人ひとりに優しく」の想いで知識を蓄積してきました。「問題であることはわかったが、具体的にどうするのか」等の議論を重ねて、2000年にUI(User Interface)マニュアルを作成、2001年にUD指針とガイドラインを作成しました。

IAUDは「UDを日本から発信」を目標としていますが、有効な情報やデータを世界中から集めること、そして色々な事実をより多くの生活者に伝えることも重要な役割と思っています。私たちIAUDには、早くUD開発プロセスやUDガイドを提起して、皆でそれを共有し、会員各社の適正なビジネス関係を築いていくことが、今求められているのではないでしょうか。微力ですが皆様と共にIAUDの発展に貢献したいと考えております。
<掲載日:2004年11月30日>