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「ためして、つくって、広めていく。これからのあたりまえ。東芝のUD」片上 義則 理事(東芝)


当社では、1997年から「ためして、つくって、広めていく。これからのあたりまえ。東芝のUD」をキャッチフレーズにUD開発の推進およびその取組みをアピールしています。 2002年に横浜で開催された国際UD会議を契機として、当協議会が設立され、時代の追い風をうけて、この間わずか2年ではありますが、UDという言葉が一般の方々にもずいぶん浸透してきたと思います。

当社の取組みは、1981年国際障害者年の前に遡ります。当時は、造形開発はもとより、様々なデザイン基礎研究テーマの中で、将来の布石として、「身体障害者とデザイン」、「高齢化社会のデザイン」などにも取組んでいました。70年代後半にスウェーデンへの研修員の派遣から始まり、人間工学の深耕、操作性と安全性の研究の推進などを行っていました。AV機器、家電機器、産業機器、医療機器など幅広いデザイン活動をしていますが、当時も既に使い勝手の提案が業界でも重視されていました。

1990年に業界に先駆けて発売した、「引き出す冷凍」をキャッチフレーズにした冷凍冷蔵庫は、冷凍食品の普及に合わせ、使いやすさを前面に出した製品でした。今では「引き出す冷凍」は当たり前のスタイルに定着しました。冷凍食品は、引出しタイプだと取出しやすく整理もしやすいことなどを検証しながら、デザインから開発提案したものです。開けたときの冷気効率の良さもあり、技術陣、商品企画の賛同も得られ、世に出ました。お客様からも共感を得られ、使いやすいとご好評をいただきました。当時はUDという言葉はありませんでしたが、その先取りと自負しています。

また、基礎的なデザイン作業としては、高齢者の方々にも読みやすい文字の色、大きさがどうあるべきか、報知音はどうあるべきか、ボタンの大きさはあるべきかなど、五感とデザインの研究の一環として、視覚、聴覚、触覚などに注目して高齢者基礎研究を推進し、ヒューマンテクノロジーという言葉を使い、人間中心のデザインが重要であることを標榜していました。当時の研究は現在にもつながり、非常に役立っています。現在は、2003年にヒューマンセンタードデザイン担当を設置して、より科学的なアプローチを推進しています。

身体障害者の方々の意見をお聞きしたり、製品を使ってもらったりすると、「使いやすいデザインとはどういうことなのか?」日頃気がつかないようなことを指摘してもらえることがあります。身体障害者の方々の問題を解決することが、健常者にとってもより便利なものになるということもずいぶんと教えられました。


現在では、ISO13407の採用など、検証や評価をはじめ、研究や製品開発を科学的に進めることも求められています。UDは、単なるブームで終わらせることのないように、自分の問題として真摯に捉えて、長期的な視点で継続し前進してゆくことが必要だと考えています。

<掲載日:2004年11月15日>