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「手すりはUD、手すりの花を咲かせよう!」竜口隆三理事(TOTO)


私は、お話させていただく機会には必ず、「住宅に、街に、手すりの花を咲かせよう」とお話します。
大半の方は、手すりはバリアフリーと感じておられると思いますが、それをユニヴァーサルデザインに変えなければならないと思うのです。


TOTOではUDの一番の売りを「生活シーン検証」と考えており、毎日毎日お子さん連れのお母さん、妊婦さん、お年寄り、いろいろな障害をお持ちの方等、いろんな方を検証スタジオにお招きし、検証を行っております。

お年寄りにトイレや浴室での立ち座りの行為を行っていただきますと、手すりを持ってすうっと立ち上がられるのですが、私どもが「手すりがあると便利でしょう」って確認しますと、決まって「手すりなんか使ってませんよ」という回答が返ってくるのです。

「嘘を言ってはいけません。ビデオに手すりを握ったシーンが残ってますよ」なんて言ったら、モニターに協力していただけませんから言えません。お年寄りの見栄なんでしょうか。「手すり=虚弱高齢者」というイメージがあり、私達からみれば少し介助が必要な方でも「自分は元気・自分より困っている虚弱老人が居る」と考えておられるのです。



写真:インテリアに合わせた手すり

ところが駅では、お年寄りが堂々と手すりを使っています。お年寄りだけで無く、幼稚園児・大きな重い荷物を持った人・スキーで捻挫し松葉杖を使っている人・妊婦さん・読者のみなさんもほろ酔い加減でのけぞりながら手すりを伝いますよね。駅の階段手すりは、「年齢・障害の有無に関係なく誰でも使う手すり」だから、お年寄りも安心して気兼ねなく使用するのだと思います。

実は私の家で、義母との手すり戦争が勃発しました。義母は、いろいろ持病があり体力が衰えてきたところにメヌエール病を患い、歩いていると突然ふらっと転倒してしまうようになりました。トイレの中で転倒されたら大変と思い、手すりを取付けたところ、「私を馬鹿にしていないかね。早く手すりを外してちょうだい」と言う始末…。聞くと「どこにも手すりが付いてないのに、何故うちだけ……」、だから馬鹿にするなという発言になったのです。残念ですが、これが実態と思って間違いないでしょう。

お年寄りは膝・腰が曲がりにくくなっていますので、手すりがないと紙巻器をしっかり握って、あるいは窓台にしっかり指をかけて立ち座りしているのです。お年寄りがご自分から「手すりが欲しい」と言うことは、絶対にありません。誰もが皆、歳を重ねお年寄りになっていくのですから、いずれ自分が必要になると意識し、「転ばぬ先の手すり」を早め早めに設ければ、お年寄りが安心して生活できる住宅に変わっていくのです。みんなが安心して生活ができるのです。

トイレに紙巻器があるのが当り前のように、手すりがあるのが当り前の世の中に早く変わってほしいと願っております。 これからも「手すりの花を咲かせたい」と啓発活動を続け、「手すりはUD」と認知されるよう努力して行きたいと考えております。

<掲載日:2004年10月15日>