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「多くの人に楽しんでもらえる〈ユニバーサルイベント〉を」伊藤芳晃 理事(丹青社)


今回は「わたしとUD」ということで、私の生業にも関わる「ユニバーサルイベント」という概念についてお話したいと思います。

最近のイベントや展示会では、高齢者や障がい者への対応の実施が増えてきております。しかし、真の意味でのイベントのUD化が、促進されているとは思えないのが現状です。そのような状況の中、私たちは「ユニバーサルイベント」という考えを提唱するようになりました。

「ユニバーサルイベント」の概念は、21世紀の新しいイベントの概念と方法論を模索する上で、最も重要なもののひとつであると言えます。なぜなら、それはイベントの本質的な存在理由である「人々がひとつの時間と空間を共有するための概念と方法論」と「人々の豊かで効果的なコミュニケーション体験のための概念と方法論」の2つの要素を併せ持つものだからです。

大多数のイベントは、元気で若い人を対象にして基本構想が計画されており、さまざまな不便を持つ人への対応はあくまでもその後づけとして考えられています。しかし、出展者や来場者の方々には、元気な人はもちろんのこと、目の見えない人、耳の聞こえない人、歩けない人、杖が必要な人などのさまざまな人々が、イベントというひとつの場所に集まってきます。

このことを前提におくと、基本構想の段階から、さまざまな特徴を持った人々が対等な立場で参加でき、コミュニケーションできるようなイベントを考えていく必要があるといえます。それによってイベントのあり方や意義も、今までのものとはまったく違った新しいものになるのではないでしょうか。

イベントとは、よりよい社会の実現を目指して新しい情報発信をしていく場として、大きな役割を担っています。これからのUDの考えによるイベントとは、単にリレーションを工夫すればよいとか、施工をきちんとすればよいというものではありません。イベントの基本構想を組み立てる段階から、より多くの人の声を
反映させながら、できるだけ多くの人に楽しんでもらえる「ユニバーサルイベント」を考えていかなくてはなりません。

そのためには、イベントのつくり手である私たちが、まずはきちんとUDという考えを理解し、イベントという場を通じて、世の中に情報発信していく必要があるかと思います。

<掲載日:2004年09月15日>