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快適で長居したくなるミュージアムの怪


先日、ある地方にできたばかりの新しいミュージアムに行く機会があった。わたしは、ゆっくりと博物館を観て回り、静かな時間を過ごすのが好きなのだが、最近はなかなか出かける機会がなく、久しぶりにミュージアムを訪れることに、また新しい考え方で建てられたという施設自体のあり方に、自然と期待感が高まった。しかし、あとでこうした気持ちが裏切られることになるとは、思ってもみなかったのだ。

そのミュージアムは、当地の歴史を扱っており、まず最初に案内されたのは、吹き抜けの薄暗い大映像ホールだった。驚いたことにホールを取り巻くように作られた螺旋状の長いスロープを登りながら映像を鑑賞する。この幾層にも連なるスロープを登りきらないと次の展示室へは行けない構造になっているのだ。最新の複合演出空間なのだが、わたしは暗い中を延々と続く勾配に疲れと心理的な不安が重なり、とにかく早くこのスロープ地獄から抜け出したいという気持ちになってしまった。

展示室では、確かにここでしか観られない立派な展示品が並んでいた。しかし、またもや薄暗い空間が続き、展示品の前には読みにくく情報量のない解説パネルが続く。施設の案内嬢が、にこやかに情報を補足する解説サーヴィスをしてくれるのだが、次々と説明してくれるので、彼女について行くためには自分なりに考えたりその場に佇んではいられないのだ!

穿った見方をすると、この施設はより多くの来館者を滞留させずに早く外に吐き出すことを一番の機能として追求しているのではないかという気すらしてしまう。もしかすると、不思議な展示空間や案内嬢のおもてなしも含めて、そのようなデザインコンセプトででき上がった施設かもしれない。だとすれば、それは成功である。本当のところは、謎なのだが……。

(文:チャーリー)

※この文章は、2004年8月30日発行のゆうまぐ[第5号]に掲載されました。

<掲載日:2004年08月30日>