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キョーフの電信柱


私は東京の木造家屋が立ち並ぶ過密地帯に住んでいる。大地震でも起きて火事になったら、大火災になるのが心配だ。普段から、消防車が入れないのではないかと思っているからだ。阪神・淡路大震災を思い出すと、ぞっとしてしまう。

駅に向かう道を歩いていて、いつも疑問に思っていることがある。車2台がすれ違うのがぎりぎりの道で、白線で区別された自動車道と歩道の境界。なんでも道路交通法で定められた「路側帯」と言うのだそうだ。

歩行者は、「やむをえないとき以外は、この白線の内側を歩かなければいけない」ことになっている。小心者の私は、車にぶつけられたときにこちらの正しさを主張できるように、できるだけ白線の内側を歩くようにしていた。

ところが、何か所か、境界を分ける白線の真上に、どーんと電信柱が立っている。そこだけはやむをえず、車道の部分を歩かざるをえない。こんなときはどうすればいいの? もしちょうどそのとき車にぶつかったら、やっぱり私の不注意ということになるのだろうか? いわんや、歩くスピードの遅い杖をついた高齢者や、車椅子の方はどうなるわけ? 

と、かねがね疑問に思っていたのだが、先日、テレビのワイドショーを見ていたら、東京都東部の、あるJRの駅の光景が映し出された。なんとその駅では、線路をはさんだ両側のエリア間のアクセスが悪く、地下道があまりにも遠いため、多くの住民が駅舎の中を突っ切って反対側に行く。それも多くの人が自転車に乗って。

しかも、その住民が突っ切るところは、改札と切符売り場の間のスペースなのだ。駅の利用者は、切符を買うと、びゅんびゅんスピードを出して走っていく自転車の群れに直角にぶつかり、まるで江戸時代の大井川の川渡しのごとく、流れをかきわけ、やっとこさっとこ改札までたどりつくのだった。す、すごい……。

白線の上の電信柱なんて、あれに比べりゃ小さな問題なんだわ、と思うけれど、やっぱり私の日常にとっては歩道をふさぐあの電信柱が問題なのだ。

(文:気になる子)

※この文章は、2004年7月30日発行のゆうまぐ[第4号]に掲載されました。

<掲載日:2004年07月30日>